俺が履くのはキッズサイズのガールズローファー 3


 放課後、ルリは三人のクラスメイトを連れて高等部の校舎に向かった。この私立学校には初等部、中等部、高等部があり、それぞれの校舎は連絡通路で繋がっている。特に中等部と高等部は部活動などで緊密な関係があり、互いの校舎を行き来する者も多い。
「すいません、ホタルお姉ちゃんいますか?」
 姉のクラスに到着したルリが訊ねると、すぐにホタルが顔を出した。初等部はもう帰宅する時刻だが、高等部はまだ授業が残っている。ホタルと話をするのであれば、今のような休み時間でなければならなかった。
「どうしたの、ルリ? こんなところまで来て」
「うん、実はね……今日の帰り、皆でお勉強会をしようって話になって……」
 ルリは振り返り、初等部のクラスメイトたちを姉に紹介した。リナ、アスカ、そしてカナメ。日頃から妹と仲良くしてくれている愛くるしい友達の姿に、ホタルは明るい笑顔を見せた。
「皆、ルリのお友達? まだ小学生なのにお勉強会なんて、偉いわね」
「うん。だから今日は少し帰りが遅くなるけど、いーい?」
「もちろんいいわよ。お姉ちゃんはついていってやれないから、くれぐれも気をつけなさい。あと、夕飯までには帰ってくること」
「わかった! ありがとう、お姉ちゃん! ソーイチお兄ちゃんもお勉強、頑張ってね!」
 ホタルの奥の席に座った聡一郎に声をかけると、「ああ、ありがとう」と聡一郎が小さな手を振り返した。初等部の女子の制服を着たその姿に、ルリの友人たちは目を丸くする。
「うわあ……あのお兄さん、本当にルリちゃんと体が入れ替わってるんだ……」
「顔はそのままで、二人の体だけが入れ替わってるんだね……あたし、ただルリが大きくなっただけかと思ってた」
「違うよ。あたしとソーイチお兄ちゃんは、首から下が全部入れ替わっちゃったの。今、ときどき病院に行って、元に戻る方法を探してるところなんだよ」
 興味津々の同級生に説明していると、ホタルのクラスの生徒たちも何ごとかと集まってきた。首が挿げ替わったルリと聡一郎の姿は、あの日から一ヶ月が経った今でも強い好奇心の対象になるらしい。
「ホタル、妹さんが来てるの? すごい……本当に小学三年生? バレー部のアタシより背丈あるじゃん」
「だから言ってるでしょ。あの子は聡一郎君と体が入れ替わってるんだって。今は聡一郎君の制服を着て、あのカッコで初等部に通ってるらしいよ。顔はホタルによく似てて可愛いのにね」
 ざわつく生徒たちの関心を集めたルリは、現在の自分の姿を見下ろした。
 黒のブレザーと格子模様のズボンという高等部の男子生徒の制服を着たルリ。聡一郎と身体が入れ替わった彼が元の自分の衣類を着られるはずもなく、鞄も含め基本的に全て聡一郎のものを身に着けている。周囲の児童たちより数十センチ長身の堂々たる体躯と、あどけない女児の童顔というギャップに、ホタルの友人たちも驚いているようだった。
「皆、ルリのことが気になるのはわかるけど、この子はまだ小学生だからね。あんまり変なことは言わないように……とにかくお勉強会のことはわかったから、早く行きなさい。くれぐれも気をつけて帰るのよ」
 遠慮のない好奇の目を向けられるルリを見かねて、ホタルが早く帰るよう促した。ルリはうなずいて姉に別れを告げると、いつの間にか聡一郎を質問攻めにしていた同級生の三人を連れて、その場をあとにした。
 無事に姉の許可は下りた。毎日利用している駅の方角ではなく、反対側にあるクラスメイトの自宅を目指してルリは歩いた。三人の女子児童とは歩幅が大きく違うため、歩く速度を合わせてやる必要があった。入れ替わった当初は何をするにも違和感に困らされたが、一ヶ月が経過して少しは成人男性の体にも慣れつつある。
「リナちゃんのおうち、今日はお父さんとお母さんはいるの?」
 先頭を歩くリナにルリは問いかけた。肩と背中に垂らした黒く艶やかな髪を赤いカチューシャで飾る彼女は、落ち着きがあって頼りになる物知りで、普段ルリが一番仲良くしているクラスメイトだ。
「ううん、今日はどっちも遅くなるの。ひとりっ子だから、家に帰ったら私だけよ」
「そうなの? じゃあ、今日は思う存分観察できるね!」
 両手を握りしめてガッツポーズを披露したのはアスカだった。ふわふわした茶色いボブカットに黄色いリボンでアクセントを加えた、活発で好奇心旺盛な女子だ。喜怒哀楽がはっきりしており、見ていて飽きないところがルリは好きだった。
「しーっ、アスカ。内緒の話なのに、そんなに大きな声で喋っちゃダメだよ!」
 と、自分も大きな声を出して制止したのはカナメ。長いお下げ髪と縁なし眼鏡が特徴の大人しい子で、常に気の向くままに行動するアスカのお目付け役を務めることが多い。だが勘違いをしたり助言を無視されたりすることも多く、しばしば二人揃って失敗していた。
 リナ、アスカ、カナメ。この三人にルリを加えた四人がクラスの仲良しグループだった。三人とも、突如として首から下が十七歳の男子になったルリを気味悪がって敬遠することなく、今まで通りの友情を保ちつづけてくれている。かけがえのない大切な友達だ。
 十分ほど歩いてリナの家に到着した一行は、リビングに案内され、冷えたジュースで乾杯した。物騒で幼い子供に一人で留守番をさせられないと考える親が少なくない昨今、ルリ以外の三人は子供だけで集まる機会を心待ちにしていたのだ。
「ふふふ……じゃあ、さっそくお勉強会を始めましょ。ルリちゃん、お洋服を脱いでもらっていいかしら」
「うん、わかった!」
 黒いロングヘアのリナに頼まれ、ルリは男子高校生の制服を脱ぎだした。灰色のボクサーパンツ一枚になった精強な少年の肉体に、三人の女児は改めて感嘆の声をあげた。
「ルリ、筋肉ムキムキでカッコいい! あたしも男の子になりたい!」
「なれるかなあ? あたしも、どうしてこうなったのか今でもわかんないけど……」
「あのお兄さんと体が入れ替わっちゃった原因、まだわからないのよね? ルリちゃんのたくましい体は今からたっぷり見せてもらうけど、ルリちゃんの体になったあのお兄さんの裸も見てみたいわ。今度うちに連れてきてくれない?」
「うーん、どうだろ? 来るかどうかわかんないけど、ソーイチお兄ちゃんに言ってみるね」
「ふふ、お願いね。今日はルリちゃんのカッコいい体を勉強させてもらうわね」
 リナはにっこり笑うと、ルリのボクサーパンツに手をかけ、引きずりおろした。だらりと垂れ下がった黒い一物が姿を見せ、アスカとカナメは両手で己の顔を覆った。
「わあっ、おチンチンだ!」
「すごい……これが大人のおチンポなの? 素敵よ、ルリちゃん……」
 リナは陶酔した表情でルリの男性器を撫でまわすと、太い幹を指で持ち上げ、ゆっくりと亀頭を己の口に運んだ。
「ああっ、リナちゃん !?」
「んん……不思議な味がするわね。おしっこの味かしら? でも気持ち悪くはないわ。とってもいい気分」
 リナは空いた方の手で頬にかかる黒髪をかきあげると、目をつむってルリのペニスを頬張る。ホタルのそれと比べてたどたどしい舌の動きだったが、ルリは立ちどころに勃起した。
(大事なお友達のリナちゃんが、あたしのおチンポくわえてる。こんなの我慢できないよう)
 同じクラスになってから今年で三年目になる、大親友の女児が初々しく奉仕してくれるのは、大好きな姉を相手にするのとはまた異なる興奮をルリにもたらした。膨張した肉棒で可憐な口を目いっぱい押し広げると、下腹が疼いて早くも射精の衝動を意識してしまう。将来、きっと美人になるに違いないリナのおちょぼ口に汚い樹液を思いきり吐き出すのは、さぞ気持ちいいだろうと思った。
「リ、リナったら、すごい……あんなに大きくていっぱい毛の生えたおチンチンをくわえるなんて……」
「お、大人ってこんなことするの? 怖いよ……リナちゃんはどこでこんなことを覚えたの?」
 アスカとカナメは耳まで赤くして、おそるおそる左右からリナの口淫を観察していた。
 無理もなかった。いまだ初潮も迎えていない九歳の女児に、このような疑似的性行為の知識があるはずもない。ルリもこんな体になってホタルの指導を受ける前は、二人とまったく変わらない無知なありさまだった。
「二人とも、真っ赤になっちゃって。これくらいレディのたしなみよ。ママの本をこっそり読んで勉強したんだから」
 自慢げに語るリナにも、それほど余裕があるわけではなさそうだった。いくら耳年増であっても、実際にこのような行為にふけるのは初めてなのだろう。膨れ上がったルリの偉容に、思うように口や舌を動かせずにいるようだ。もどかしい刺激にルリは耐えたが、それも数分が限度だった。
「リナちゃん、ごめん!」
 ルリは太い腕でリナを押さえつけると、形のいい唇の隙間に勃起をぐいと押し込んだ。驚きと苦しさに目を剥くリナの瑞々しい黒髪を掴み、決して逃がさないように何度も激しく腰を打ちつける。声にならない悲鳴をあげるリナの喉奥まで犯し、ルリは親友の粘膜を隅々まで味わった。
「ああ、リナちゃんのお口、とっても気持ちいいよ。すぐに出ちゃいそう」
「うぐっ、うごご……ごほっ、ごほっ!」
「リナちゃん、出すよ! リナちゃんのお口にシャセーするよ!」
 女性の優しい扱い方をまだろくに知らないルリは、相手を気遣うことなく玩具にした末、溢れんばかりの欲望の塊を吐き出した。白目を剥いて悶えるリナの喉に思うがままに種付け、無垢な女児の腹の奥に悪臭を放つドロドロの体液を注ぎ込んだ。
 好きな女の子を牡として征服するルリのあまりの迫力に、傍で見ているアスカとカナメはまばたき一つしなかった。意識を失い倒れ込んだリナの体をソファに寝かせると、ルリは放心したクラスメイト達に充血したままの雄々しいペニスを突きつけた。
「二人とも、ちゃんと見てくれてた? じゃあ、次はアスカちゃんとカナメちゃんにも同じことをしてもらおうかな」
 ルリは紅潮した顔で大きな鼻息をしながら、怯えた様子のアスカとカナメを見比べて微笑んだ。小学三年生の仲良しグループの勉強会は、まだ始まったばかりだった。

 ◇ ◇ ◇ 

 夜、聡一郎がベッドに寝転がって漫画を読んでいると、部屋のドアをノックする音がした。入室の許可も待たずに入ってきたのは弟の英二郎だ。
「兄貴、風呂入った?」
「ああ、入ったよ」
 仏頂面で答える聡一郎に、英二郎は嬉しそうに指を鳴らすと、兄の隣に腰かけた。英二郎の手には、ルリが使っていた紺色の制帽と、縁日で手に入れたらしい安物の仮面があった。うんざりした様子の聡一郎に、弟はそれらを押しつける。
 聡一郎は事情を察してため息をついた。「また、それをつけるのかよ……」
「いいだろ? この方が気分が出るんだから」
 手渡された面は流行りの女児向けアニメに登場するヒロインの顔を模ったもので、男しか子供がいないこの家にこんな品があろうとは、聡一郎は今まで思ってもみなかった。
 聡一郎は嫌々ながら漫画を放り出すと、女児アニメの面を着け、初等部の制帽を頭にかぶった。そうしてベッドに仰向けになった彼に、英二郎が覆いかぶさる。弟も入浴を終えたようで、Tシャツとハーフパンツというラフな格好だった。
「じゃあ、脱がすから」
 英二郎はそう宣言すると、聡一郎のパジャマのボタンを一つずつ外していく。その間、兄は快諾も抵抗もせず、ただ黙って弟のされるがままになっていた。
 聡一郎がかぶっている面の両目の部分には穴が開いているが、視界の一部は遮られ、英二郎が何をしているのか、あまりはっきりとは見えない。だが、見えずとも自分が生意気な弟に寝間着を脱がされているのは明白だった。体を這い回る少年の手と間近で感じる息遣いとが、英二郎の兄だった女児の不安と興奮を煽った。
 パジャマの中から現れたのは、まだ女性らしい膨らみがほとんどない幼い女体だった。上下とも衣服を剥ぎ取られ、華奢な身体を守っているのはアニメのキャラクターがプリントされたショーツ一枚だけ。頭部を面と帽子で隠した異常な風体の女児の姿に、英二郎は満足そうにうなずいた。
 何も身に着けていない白い素肌に少年の生温かい吐息がかかり、聡一郎は思わず声をあげそうになった。
 だが、それはほんの序の口でしかない。すぐに英二郎の唇が硬い胸の蕾をついばみ、べとべとした唾液を塗りたくってくる。嫌悪の情が背筋を這いあがってくるのを感じたが、逃げても抗っても意味がないことを聡一郎は知っていた。
「乳首、もう硬くなってる。俺が来るのを待ってたとか?」
「知らねえよ、バカ。このロリコン」
 照れ隠しに罵ってみたが、当然ながらそんな言葉はいささかの効果もない。逆に男子中学生の暗い嗜虐の欲望を煽ったのか、更に大胆な行動を呼び込んだ。白いショーツまで脱ぎ去られ、聡一郎の首から下は全裸になった。
「兄貴のマンコ、相変わらずツルツルだな。毛の一本も生えてねえ」
「当たり前だろ、体はまだ三年生なんだから。中学三年じゃないぞ、小学三年生だ」
「そうかな? でも、もう生理はきたらしいじゃん。おめでとう」
 弟の何げない発言に、聡一郎は戦慄した。「ど、どうしてお前がそんなこと知ってるんだよ。ホタル以外は誰も知らないはずなのに……」
 先日、聡一郎に衝撃を与えた、身体の大きな変化。それは借り物の幼女の体に初潮が訪れたことだった。
 女の体であればいつかは体験しなくてはならないことではあるが、今まで十数年間の人生を男として過ごしてきた聡一郎にとって、まさか自分が生理を迎えることになるとは思いもしなかった出来事だった。ホタルの助けがあって何とか乗り切ったが、やはり精神的なショックは大きい。そんなデリケートな事情を無礼な弟に知られることの衝撃は計り知れなかった。
 ルリの幼い体を奪った自分が、初潮という女子にとって記念すべき瞬間を本人の代わりに体験してしまった。この体の本来の持ち主であるルリは、まだ己の膣口から滴り落ちる経血を知らない。それに対処するためのナプキンもタンポンも使ったことがないというのに、本来は男である自分がルリの代わりに全てを経験し、知ってしまった。ホタルに祝ってもらい、祝福のケーキまで食べさせてもらったのだ。体が入れ替わってさえいなければ、ルリに訪れたに違いない大事な成長の一ページである。自分がルリからそれを奪った罪悪感は、胸の中で聡一郎を強く締めつけていた。
「どうして知ったかって? 友達の姉ちゃんが兄貴のクラスメイトで、偶然教えてもらったんだよ。高等部の女子の間じゃ噂になってたみたいだぜ。いくら隠そうとしたって、やっぱり同じ女子にはわかるもんみたいだな。あの様子じゃ、兄貴のクラスは男も女も皆知ってるんじゃないか?」
「そ、そんな……明日から俺、どんな顔して学校に行けばいいんだよ」
 聡一郎は動揺を隠せなかった。男だった自分がルリの代わりに女子小学生の肉体を所有し、その成長を己のものとして日々積み重ねている。それを周囲の皆に知られてしまったのでは、傷だらけの男の矜持が元に戻せないほど粉々に破壊されてしまいそうだった。思わず涙ぐむ聡一郎の股間を、英二郎の舌が執拗に這い回った。
 いまだ陰毛の発生しない、九歳の児童の女性器。全く遠慮の色を見せない英二郎は、そんな未成熟な女陰に熱心に唾液をまぶしてきた。敏感な割れ目とその周辺部をねぶられるたび、聡一郎の腰がびくんと跳ねた。
 こうして陰部を舐められるのは初めてのことではなかった。思春期を迎え、性の好奇心に目覚めた英二郎は、手近な異性である聡一郎に性的なスキンシップを求めるようになった。
 そもそもの原因は聡一郎である。先日、自室で自慰にふけっていた現場を弟に目撃されてしまったのだ。借り物の幼い体をもてあそんだことを英二郎は非難し、黙っていてほしければ自分の言うことを聞けと要求してきたのだ。ホタルとルリに告げ口されることを恐れた聡一郎には、その卑劣な脅迫に逆らうことはできなかった。
 見るだけ。
 最初はそう言って聡一郎の裸体を観賞していたが、すぐに手を出すようになった。硬く閉じた膣口を指先でつつき、股間を硬くして目を血走らせる。そうした危険な行為を数回重ねた末に、性器の臭いを嗅いだり、舌で舐めるようになった。
 貞操の危機を自覚した聡一郎だが、弟を拒絶することはできなかった。今や英二郎の方が腕っぷしは上であり、兄であるというプライドが邪魔をして、セクシャル・ハラスメントの被害を両親に訴えるのも難しい。異性の肉体に好奇心を持つのは健全な男子であれば当たり前のことだし、さすがに最後の一線までは超えないだろうから、ここは頑なに拒絶するのではなく度量の大きいところを見せ、弟のしたいようにさせて穏便に済ませるのがいいのではないか……。憂慮する自分自身を無理やり屁理屈で誤魔化し、夜な夜な弟に未熟な体を捧げるのが、聡一郎の近頃の日課になりつつあった。
「大丈夫だって。皆、もう兄貴のことを男とは思ってないから。クラスでからかわれることもほとんどないだろ? こんな体になって気持ち悪いと思わないのはすごいよなあ。人格者の集まりだ」
「男とは思われてないって、そんなの全然嬉しくねえよ。俺はちゃんと男に戻るつもりでいるんだからな……んっ、はあっ」
 アニメキャラの仮面の内側で、聡一郎は荒い吐息をついた。いくら幼い体でも、毎日のようにこうして愛撫されていれば少しずつ快感の味を覚え始める。聡一郎の初潮がクラスの周知の事実となっていることを突きつけられたこともあり、今夜は平静を保つのが非常に難しそうだった。
「兄貴、濡れてる。マンコからツユが漏れてきた」
「そ、そんなわけないだろ。お前の唾だよ」
「そうかなあ……ルリのマンコ、スケベな兄貴のものになっちまったからな。いつもこうして男にペロペロされてるし、生理だってすぐにきちまった。まったく、可哀想に」
「誰のせいだよ、くそっ。もう舐めるなあっ。ストップだ。トイレ……トイレに行かせてくれっ」
 尿意を催した聡一郎が嫌がっても、英二郎はねぶるのをやめない。兄が大きく股を広げて悶える姿を笑いながら、好奇心旺盛な弟は欲望のままに聡一郎を責め続ける。ハーフパンツの股間にテントを張り、舌なめずりをして幼女の肢体を味わう彼は野獣だった。
「ああっ、ひっ、もういい加減にやめろ。小便出そうだからっ」
 情けなく喘ぐ聡一郎に構わず、英二郎の舌が股間を這い回る。非力な女児の腰は男子中学生の両手にがっちりと押さえられ、逃れることは叶わない。積極的に肉の扉を開いて中をまさぐるその意地の悪い動きに、尿道口の限界が迫りつつあった。
「やめろ、英二郎。トイレだ。漏らすからトイレっ」
「いいぞ、兄貴。ここで出せ、ルリマンコから小便出せっ」
「ひっ、ひいっ。ダメ、小便出るっ。あっ、ああ、あああああ……」
 幼女は情けない水音をたて、英二郎の顔面に小水を撒き散らした。熱い衝動が体の芯から湧き上がり、小さな割れ目を通って迸る。瞬く間に聡一郎のベッドはびしょ濡れになった。
「ああ、俺……あふっ、あふっ」
 聡一郎はぼんやりしていた。弟の前でだらしなく失禁してしまったことも、まるで昨夜見た夢の中の出来事のように現実味を欠いて感じられる。横たわって荒い呼吸を繰り返しながら、九歳の女児の肉体を持つ男子高生は呆然と虚空を眺めていた。
 ところが、それで終わりではなかった。
「兄貴、俺っ!」
 英二郎に両の足首をつかまれ、聡一郎の細い体が持ち上がった。唾液と小便にまみれた股間を守るものは何もない。ぴったり閉じた幼い入口を、露になった少年のペニスが捕捉していた。
 聡一郎は仰天した。アニメキャラの仮面が外れ、自分が何をされているのか丸見えだった。
「な、何するんだよ !? やめろ、それだけはやめろ!」
「俺、もう我慢できねえ! ここまできたら、もう何をしたって同じだろ !? 俺のチンポ、ハメさせてくれよ! 兄貴だってホタル姉ちゃんと散々やってたじゃねえか! なんで俺はダメなんだよ!」
 鬼気迫る表情で性交を要求する弟に、聡一郎は恐怖を覚えた。脱力しきった非力な体では、まったく抗える気がしない。背筋が震え、火照った顔から血の気が引いた。
「頼むからそれだけはやめろ。これはルリちゃんの体なんだぞ。あの子の大事な体を預かってるのに、そんなこと……あっ、ああっ、痛えっ!」
 必死の説得は何の意味もなさなかった。英二郎の猛り切った一物は聡一郎の割れ目を二度、三度と突くと、そのまま直進して未熟な肉壺を容赦なくこじ開けてきた。身体が引き裂かれる激痛に聡一郎はうめき、息をすることさえ忘却した。
 小学三年生の可愛らしい陰唇を、中学生の充血したペニスが貫いていた。元々の聡一郎のものには及ばない年相応のサイズだが、小柄な女児の体にとっては立派な肉の凶器である。ぐぐっと奥まで押し入ってくる焼けた肉棒に、膣の肉が痙攣するのを感じた。
「おおっ、これがルリマンコの中……きつくて熱いよ」
「バ、バカ、抜けっ。ああ、血が……」
 聡一郎は涙を流し、処女の喪失に嘆き悲しんだ。ルリの体を奪った聡一郎は、ルリの代わりに初潮も破瓜も済ませてしまったのである。いくら謝っても奪われた乙女の証は二度と返ってこない。苦痛と悲嘆にひたすら打ちのめされ、女々しくすすり泣くしかなかった。
 英二郎は乱暴だった。男を受け入れたことのない幼い肉びらが無理に押し広げられ、初めての侵入者に悲鳴をあげた。悪辣な男性器が肉の器を串刺しにし、無垢な少女を貪り喰っていた。
「兄貴のマンコ、きつい。凄く締めつけてくるよ。た、たまんねえっ」
 聡一郎の処女と引き換えに童貞を捨てた英二郎は、鼻息荒く兄だった幼女を犯した。細い両脚をしっかりつかみ、上を向いた小さな膣口に何度もペニスを突き入れた。血に塗れた肉の槍が中を往復するたび、聡一郎は泣いて許しを乞うのだった。
「ひっ、ひいっ、アソコが焼ける。やめろ、もう許して……」
「ああ、もう終わるさ。これでフィニッシュだ、中に出すぞ!」
 無慈悲な弟の宣言に、聡一郎は真っ青になった。既に初潮を経た今の彼女の体は、男の精を注がれれば赤子を宿すことができるのだ。望むと望まないとに関わらず。
「ま、待て……それだけは、それだけはやめろっ」
 聡一郎は腕を振って暴れたが、完全に下半身を抑え込まれた姿勢ではいささかも抵抗にならない。恥も外聞も捨て大声をあげて家族を呼ぶ発想もなく、結局は暴走した弟を止めることはできなかった。
 幼い女性器の一番奥まで、硬いペニスが撃ち込まれた。切っ先が膨張し、噴火の兆候を犯される女に思い知らせた。屈辱と絶望とに支配される中、聡一郎は体の深部に撒き散らされる熱いマグマを体感した。
「あああっ、出てる。俺、中出しされてる……」
 悲痛な声を発する小さな体は赤く火照り、幼女から女になった祝福の証を全身で受け止めていた。熱い波紋が体の芯から広がり、手足の先を痺れさせる。今や聡一郎のものになった幼稚な女体は、男に征服された喜びと嘆きに打ち震えていた。
 ようやく解放され、ベッドに再び横たわる聡一郎。男として、兄としてのプライドを粉みじんにされ、どうしていいかわからなかった。今後ルリに会えば、いったい何と言えばいいのだろうか。どう釈明しても言い訳にしかならず、純粋無垢なルリを泣かせてしまうことは想像に難くない。絶望に目の前が暗くなった。
「ああ、気持ちよかった。兄貴とホタル姉ちゃん、しょっちゅうこんなことしてたんだな。あの美人でむちむちのホタル姉ちゃんと毎日ヤってたなんて、マジで羨ましいぜ」
 兄の処女を奪った少年は悪びれるでもなく、涙で顔を濡らした聡一郎を見下ろした。その位置と角度が、今の二人の関係を聡一郎に告げているかのように思えた。
「これからも時々ヤらせてもらうから、兄貴もそのつもりで頼むな」
「う、うう、うううう……」
 聡一郎はひとことも言い返せず、ただうめくだけだった。涙でにじむ視界が英二郎の姿を歪ませる。暴力的で憎たらしい弟よりも、無力で情けない自分自身を許すことができなかった。
 自分をレイプした男に全身をタオルで拭かれたあと、聡一郎は泣き疲れて眠ってしまった。強烈な不安が眠る彼女に悪夢をもたらし、夜通しうめき声をあげさせるのだった。

 ◇ ◇ ◇ 

「おかしい気がする」
 ホタルの呟きに、ルリはすぐには反応しなかった。カーペットの上に寝転がり、機嫌よく携帯ゲーム機で遊んでいたルリは、ホタルが同じ言葉を三回口にしてからようやく顔を上げた。
「どうしたの? お姉ちゃん」
「うん、聡一郎のことなんだけどね……最近ちょっと変なのよ」
 自室の椅子に腰かけたホタルは、思い悩んだ表情で窓の外を眺めた。夕食どきの暗い空には雲ひとつなく、細い月が太陽のあとを追ってその姿を隠そうとしているところだ。
「ソーイチお兄ちゃんがどうかしたの?」
「最近、何だか元気がないみたいで……SNSの連絡にも全然反応しないし、どうしたんだろう」
 ホタルは机の上のスマートフォンに視線を落とした。先ほど聡一郎にメッセージを送ったのだが、返事がない。最近、ホタルからの連絡を無視することが多くなった。どちらかと言えばずぼらな性格だが、以前はもっときちんとしていたように思う。学校での授業中も、うつむいて頻繁にため息をついているようだ。
 やはり不安が原因だろうかとホタルは考えた。
 あの忌まわしい肉体交換の日からはや二か月。小学三年生のルリと首から下の体だけがそっくりそのまま入れ替わった聡一郎は、いまだに元に戻ることができずにいた。毎朝、黒く小さなガールズローファーを履いて家を出て、自分より数十センチ背の高いルリと手を繋いで登校し、初等部の女子の制服姿で高等部のホタルのクラスにやってくるのだ。
 家族も友人たちも、いつの間にか性転換した聡一郎に慣れてしまっていた。彼女の異様な風体を見て陰口をたたく者は誰もおらず、心ない者たちから気味悪がられることもない。体育の着替えやトイレは他の女子と同じ場所で済ませているが、それを問題視する声はまったくなかった。人付き合いのいいホタルが何かと世話を焼いていることもあり、今や複数の女子のグループから友人の女の子として受け入れられている。「小さくて可愛い」とクラスメイトの女子たちから玩具にされることは時々あるが、それ以外は何不自由ない学校生活を送っているように見えた。
 だが、聡一郎が本当に望んでいるのは女子として周囲に受け入れられることではなく、元通りの男の体を取り戻すことだ。それは本人の言動や態度から明白だった。
 約二か月が経った今も、聡一郎とルリが元に戻れる見込みはまったくない。いくら病院で検査をしても、首が挿げ替わったと思われる駅前の一帯を探索しても、入れ替わった原因どころか、手がかり一つ掴めなかった。
 元の体に戻りたいと切実に願っても、女でいつづけるしかない聡一郎。気の毒な彼女も少しずつ現在の生活に適応し、可愛らしい制服や私服、ちょっとした化粧品、生理用品、アクセサリーをきちんと管理するようになった。ホタルはそんな彼女に何かと協力し、女子の生活を彩る知識を指導してやっていた。
 ホタルの親身なアドバイスに聡一郎は常に感謝の言葉を口にするが、聡一郎を誰よりもよく知るホタルの目には、聡一郎が心の底から今の自分に満足しているようには見えなかった。十七年間、健全な男として生きてきた聡一郎が、幼い女児の体で暮らすことを望むわけはないのだ。
「やっぱり元の体に戻れないのが原因で、鬱が入っちゃってるのかもしれない。心配だわ……」
「そうだね、心配だねー」
 と、ルリは深刻さの欠片もない口調で相槌を打った。その態度にホタルはいささか機嫌を損ねる。
「ルリ、あんたはどうなのよ。あんただって入れ替わったときはぴーぴー泣いてたじゃないの。その体が嫌じゃないの? ゴツゴツして汗臭い男の体なのよ」
 寝転がったルリは飾り気のないトレーナー姿で、ハーフパンツの裾から伸びる引き締まった脚を戯れに振り回していた。若く健やかな聡一郎の肉体は、頭部以外の全てがルリの所有物になっていた。
「あたしはもう慣れたよー。男の子でいるのも大丈夫。だって楽しいもん! クラスの皆も、今のあたしがいいって言ってくれるし!」
 たくましい少年の肉体を有するルリの顔だけが、天使のように愛くるしい。幼い頃のホタルの姿に瓜二つの妹は、携帯ゲーム機を手に持ったまま全身のバネを活かして勢いよく起き上がった。この二月で十七歳の男子高校生の肉体をすっかり我が物にし、今や初等部で一番体育が得意な児童になったそうだ。
 すっかり体は変わり果てたが、首から上が変貌を免れるとは限らない。病院で聡一郎とルリを診察した医師の話によると、体が分泌する男性ホルモンの影響で、ルリのあどけない顔にも髭が生えたりニキビができたりする可能性があるという。幸い、現時点ではまだそれらの症状は現れていないようだが、何もわからぬ九歳の女子児童にもたらされた運命にしては、あまりにも残酷だった。
 これから思春期を迎えるルリは、一刻も早く元の体に戻らなければ、今後の人格形成に修正不可能なほど深刻な影響を受けてしまうかもしれない。それを思うと、ホタルも聡一郎と同じように下を向いて嘆息してしまうのだった。
「はあ、いったいいつになったら、二人とも元の体に戻れるのかな……」
「お姉ちゃん、元気出して。あたしが慰めてあげるから」
 ホタルはブラウスの上から豊かな乳房を揉まれていることに気がついた。いつの間にかルリが背後に立ち、ホタルの耳に息を吹きかけていた。慌てて胸元の硬い手を押さえ、身をよじった。
「ダメよ、今はそんな気分じゃないし、それにもうすぐ晩ご飯なんだから……お母さんが呼びに来たらどうするつもり?」
「すぐに終わらせるから大丈夫だよ。あたし、大好きなお姉ちゃんの匂いを嗅いでると、すぐにおチンチンが硬くなっちゃうんだもん」
「ダメだってば、やめなさい……あっ、こらっ。んんっ」
 力で勝るルリに押さえ込まれ、無理やり唇を奪われる。口の中に舌を差し入れてくる淫らな接吻をためらいなく披露する小学三年生は極めて珍しいだろう。ある日いきなり性転換して戸惑い、泣いていたルリに性の手ほどきをし、男になったルリを自らの体で慰めてやったのは他でもないホタルだった。
 姉妹だった男女は頬を赤くしてお互いの唾液を交換した。よく似た顔立ちの二人が同じ艶めかしい表情をして、開いた口と口の間に粘液の橋を渡した。ルリの下腹部の突起がホタルに押しつけられ、体の芯が熱を帯びた。
「んんっ、ルリ……後でちゃんと相手してあげるから、そんなにがっつかないで」
「えへへ……お姉ちゃん、大好き。今日もおチンチンをハメハメしてあげるからね」
「まったくもう、ご飯もお風呂もまだなのに……」
 ホタルは唾に濡れた唇を舌で舐め、ルリと混じり合った体液を喉の奥に流し込んだ。聡一郎のように落ち込んでばかりいるのは困るが、ルリのように異性の体で気の向くままにやりたい放題というのも問題がある。
 やがて母親の声に呼ばれ、ホタルはルリと一緒に夕食をとりに部屋を出た。無論、今のキスでルリが満足するはずもなく、有り余る性欲を深夜、姉で発散するであろうことは疑いがない。同じ部屋で寝起きするルリとホタルは、その気になれば毎晩でも、誰にも邪魔されずに男女の営みを満喫することができるのだ。
 明日は寝不足になるかもしれない。中途半端に官能を刺激されたホタルは、夕食の味もよくわからないほど悶々としていたが、それでも聡一郎への想いを忘れることはなかった。
(今ごろ聡一郎も、ルリの体でエッチなことをしてたりするのかしら? でも、それはちょっと考えにくいわね……)
 性欲盛んな高校生の少年少女の肉体ならとにかく、聡一郎が手に入れたのは九歳の未熟な女児の身体である。ルリのように聡一郎が夜な夜な淫らな行為を楽しんでいるとは到底思えなかった。日頃はいい加減に振る舞ってはいるが根は真面目な聡一郎の性格から考えて、幼いルリの体でそのような不埒なことをするはずがない。今の自分の体が預かりものであり、自慰一つ思い通りにできないことも、聡一郎が落ち込んでいる理由の一つではないだろうか。
 やはり、聡一郎と腹を割って話さなくてはならないと思った。悩みの相談でも、他愛ない世間話でも、下品な馬鹿話でも何でもいい。とにかく時間をかけて、聡一郎の心中を確かめるべきだった。
 ホタルは明日の予定を思い浮かべた。明日はホタルが所属する水泳部の朝練に加えて、放課後にも練習があり、聡一郎と登下校を共にするのは難しそうだ。ならば昼休みか、もしくは部活動を欠席してでも、聡一郎と二人きりで話をするべきかもしれない。
(聡一郎……何か困ってたり悩んでたりするんだったら、まず私に相談してくれたらいいのに。ときどき遠慮か見栄かわからないけど、隠し事をするから困るわ。でも私は聡一郎と一生添い遂げるつもりなんだから、あいつが困ってるなら力になってやらなくちゃ……)
 両親と妹がテレビを観ながら家族の団欒を堪能する隣で、ホタルは黙って夕食をかき込む。その表情は先ほどまでの欲求不満の女のものではなく、強い決意を秘めた顔へと変わっていた。

 ◇ ◇ ◇ 

 夕方、校舎の外に出た聡一郎を、弟が待ち構えていた。
「英二郎……」
「兄貴、一緒に帰ろうぜ。今日も兄弟仲良くな」
 そう言って紅葉のように小さな聡一郎の手を握った。
 聡一郎のいでたちは、相変わらず一般的な男子高校生のものとはかけ離れていた。白い小児用のブラウスと紺のジャケット。朱色、ネイビー、白の三色から成るチェック柄のスクールスカート。そしてリボンとフリルが可愛らしい桃色のハイソックス。小さな足を彩る黒いキッズサイズのガールズローファー……。丸い制帽こそかぶっていないが、頭部以外は紛れもなく初等部の女子の肉体であり、服装も同様だった。鞄さえ、元の自分の鞄のショルダーベルトが長すぎるため、ルリの真っ赤なランドセルを使っているのだ。
 こうして肩を並べると、英二郎との体格の差を実感する。聡一郎の身長はわずか百二、三十センチで、中学生の英二郎を見上げるしかない。
 自分が兄のはずなのに、誰がどう贔屓目に見ても聡一郎は妹だと思うだろう。聡一郎の体は九歳、英二郎は十三歳。肉体の年齢差は四つのはずだが、小柄なルリの体と恵まれた英二郎の体では、体格差がますます大きく感じられる。首が挿げ替わってからは髪を一度も切っておらず、今の聡一郎はボブヘアと呼ばれるおかっぱ頭に近い髪型になっていた。それがさらに中性的、いや、女性らしい印象を与える。
 英二郎に手を引かれて学校をあとにした聡一郎は、間もなく暗い路地裏に連れ込まれた。建物と建物の隙間にある狭い通路で、人の気配はまったくない。周りの通行人は誰も覗こうとさえしない、じめじめした袋小路だ。
(また今日もするのか……)
 ひとの目が無くなった英二郎は大胆だった。薄汚れた雑居ビルのシャッターに聡一郎の手をつかせると、彼女がはいていたチェック柄のスカートをまくり上げ、動物のイラストがプリントされたショーツの隙間から硬くなったペニスを差し入れてくる。何度も何度も合体した一対の性器が、今日もまた接吻した。
「待ってくれ。まだ濡れてない」
「嘘つけ、もうぐっしょりだぜ。本当は期待してたんじゃねえの?」
「そ、そんなことない。だからダメだって……ああっ、ダメって言ってるのにい……」
 こちらの言い分を無視して合体してくる弟に聡一郎は抗議したが、幼い女性器が既にはしたない蜜を垂らしているのは明らかだった。その証拠に、挿入されてもほとんど痛みを感じない。むしろ、身も心も満たされるような胸のときめきを自覚していた。
 兄を背後から押さえつけた英二郎は、荒々しい腰つきで聡一郎の中を往復した。自宅でも学校でも頻繁に繰り返される乱暴なセックスは、九歳の幼女の肉体に苦痛以外の感覚を教え込んでいた。
「ああっ、激しい……マンコがほじくられてる」
「やっぱり濡れてるじゃん。相変わらず締めつけがきつくて最高だぜ」
(こんな外で無理やりされてるのに、受け入れてる。俺の体、すっかりエッチになっちまった……ルリちゃん、ごめん)
 心の中で謝罪しながら、少年だった幼女は膣内を擦られる甘美な感触を楽しんだ。たとえ年端もいかない女児の体でも、性欲に正直な兄弟が好き勝手にできる女体なのだ。飽くなき快楽と好奇心にいつまでも抗うのは難しかった。毎日のように自分を求めてくる英二郎に、いつの間にか聡一郎も拒否せず身を任せるようになった。
「ああっ、んっ、気持ちいい……」膣内を力強く擦る亀頭の感触に、聡一郎は甘い声をあげた。
「あーあ、旨そうに俺のチンポをくわえ込んじゃって。ルリは知らないだろうな。大事な自分の綺麗な体が、うちのスケベな兄貴に開発されて俺のチンポの味を覚えちまったなんてね」
「そ、そんな言い方……うっ、うんっ、ああっ」
 腰を打ちつけられ、子宮の入り口を小突かれるとたちまち乱れる聡一郎。無意識のうちに自ずから腰を動かし、中学生の弟の硬いペニスを積極的に迎え入れる。二か月前まで平凡な男子高校生として恋人の少女を抱いていたその顔は、すっかり男に抱かれる女の表情になっていた。
 弟に犯される屈辱も忘れて、聡一郎は緩んだ唇から熱い息を吐き出す。ガクガク震える脚が片方、英二郎に持ち上げられ、放尿する犬のような姿勢で片足立ちをさせられた。まくり上げられたスカートの下では角度をつけた挿入が繰り返され、女児の制服を着た聡一郎を責めたてる。
「ああっ、あっ、ダメ、ダメだって。こんなの激しすぎるよ……」
 聡一郎はもたれかかった灰色のシャッターに顔を押しつけ、紅潮した顔を見られぬよう努力した。もちろん、彼があげる甘い悲鳴も快楽に震える小さな体も、密着した英二郎には隠せない。だが、それでも顔を隠さずにはいられなかった。
 小学三年生の肉壺は英二郎の硬い一物を突き立てられ、盛んに蜜を垂れ流していた。辛うじて少年のペニスをくわえ込めるようになった子供の膣は、濡れたヒダを力強く抉られるたび締めつけを増し、食いちぎりそうなほど英二郎を締めつけた。
「ううっ、そろそろ出ちまうよ。兄貴の中に注ぎ込んでやる」
 背後から聞こえる弟の苦しそうな声に、聡一郎は彼の限界を悟った。「ああ……それはダメだ。頼むから外に……」と言いながらも、聡一郎は今回も中に射精されるのだろうと思った。思春期の欲望に忠実な英二郎は、子種を兄の膣に放つのが何よりも好きだった。
 間もなく訪れる膣内射精の瞬間に、聡一郎の全身が火照り、女として高ぶっていく。それは英二郎だけでなく、聡一郎にとっても至福のひとときであることを認めざるを得ない。喜びに体が浮き上がり、今にも飛んでいきそうだ。

 ところが……。

「聡一郎っ!」
 自分を呼ぶ女の声に、聡一郎の意識は地面の上に呼び戻された。シャッターに両手をついたまま首を曲げると、兄弟以外に誰もいないはずの路地裏によく知る女の姿があった。青ざめた顔のホタルが聡一郎を見つめていた。
「ホタル姉ちゃん !?」英二郎は女児を犯すのを止め、挿入したままホタルに顔を向けた。「なんでこんなところに !?」
「なんでじゃないでしょ……あんたたち、いったい何をやってるかわかってんの !?」
「ホタル……」
 聡一郎は心臓が止まりそうな思いだった。交際している幼馴染みの女子高生に、自分が女として乱れるさまを見られているのだ。最も見られたくない相手に最も見られたくない行為を見られ、どうしていいかわからなかった。冷たい汗が止めどなく噴き出し、恐怖と羞恥に体じゅうが震えた。
 とにかく弟から離れなくては……そう思った聡一郎の体が、不意に持ち上げられた。両の太ももが英二郎に抱え上げられ、ローファーの靴底が地面から離れた。二人の性器は固く結合したままだ。
「英二郎、何するんだ !?」
「こうなったら隠したって仕方ねえ。兄貴、ホタル姉ちゃんにも見てもらおうぜ。俺たちが毎日何をしてるかをな」
「はあ !? 英二郎、お前何を言って……ひぐうっ !?」
 抗議の声は自分の悲鳴に遮られた。三十キロにも満たない聡一郎の軽い体が空中で上下に揺さぶられ、新たな体位でセックスが始まったのだ。
 後ろから両脚を抱え上げられ、体の腹側をホタルに晒すことになった聡一郎。乱れたプリーツスカートは下腹をわずかに覆うだけで、大きく開いた股間を隠すものは何もない。少年のペニスが女児のヴァギナに突き刺さっているのが丸見えだった。
「そ、聡一郎……」
「ははは、駅弁ファックだ。見えるか、ホタル姉ちゃん? 兄貴のロリマンコが俺のチンポをうまそうにくわえ込んでるだろ」
「や、やめろ、見るなホタル! あっ、ああっ、あんっ。う、動くなあっ!」
 大胆すぎる体勢で恋人に性交の現場を見られる羞恥が、聡一郎の身を焦がす。抵抗しようにも、後ろから抱きかかえられているためろくに身動きがとれない。体重をかけたピストン運動が火照った体の芯を穿ち、聡一郎から抵抗の気力を奪った。
(俺、こんな恥ずかしい姿勢で犯されて……しかも、それをホタルに見られてるなんて)
 ホタルの彼氏としての矜持も、男としての尊厳も、もはや欠片さえ残らないほど粉々に砕かれてしまった。腰が上下して肉棒が膣内を往復するたび、情けなく泣き喚いて許しを請うた。
「み、見ないでえっ。助けて、ホタルっ。あっ、ああっ、壊れるっ」
 自分の弱点をよく知る英二郎の巧みな腰づかいに、聡一郎はなすすべもなかった。一番見られたくない女性の前だというのに、小さな身体を揺さぶられると媚肉が勝手に締まり、弟との深い結合にのめり込んでしまうのだ。
 幼い女体は荒々しい牡に完全に屈服し、全身が色めいて浅い絶頂を繰り返していた。
 九歳のルリと首だけが挿げ替わって二か月余り。自慰を繰り返し、英二郎に犯され続けた聡一郎の新たな体は、持ち主の意思に反して女としての官能を身につけつつあった。本来はルリが成人してから咲かせるはずだった蕾を、聡一郎が奪って自分のものにしてしまったのだ。いくら悔やんでも悔やみきれない失態だった。
「聡一郎……やだ、奥まで入ってる。こんなに小さなアソコの奥までおチンポをハメられて……」
 聡一郎の乱れる姿に、ホタルは赤面しつつも目が離せない様子だ。あまりに衝撃的な恋人の姿に驚き、戸惑う女子高生は、女として英二郎に犯される聡一郎の目の前にやってきた。
「聡一郎、あんた毎日こういうことをしてるの? まだ小学生のルリの体で弟のおチンポをくわえ込んで、こんなに気持ちよさそうな顔をして……」
「ち、違うんだ。全部違う。こんなの嘘だ。ホタル、信じてくれえ……」
 聡一郎はぽろぽろ涙をこぼし、小さな幼児のようにしゃくり上げた。
 破滅だと思った。たとえ今は元の体に戻れなくても、いつか自分の体を取り戻し、将来を誓い合ったホタルと再び男と女として愛し合う日がやってくると、わずかな希望を抱いていた。
 しかし、このような見苦しく浅ましい姿を見られてしまっては、ホタルが聡一郎への好意を保ち続ける見込みはない。妹の体をもてあそんだ卑劣漢として軽蔑され嫌悪され、今までのように学校で聡一郎を支えてくれることも一切なくなるだろう。噂が広がれば友人たちも聡一郎を蔑み、クラスで聡一郎の居場所がなくなるのは容易に想像できた。
 全ては聡一郎の愚行と不注意にあった。ルリと首から下の肉体全てが入れ替わってしまったのは原因不明の現象ゆえだが、このような危うい事態を招いてしまったのは明らかに自業自得だった。
 取り返しのつかない悪行を重ねてしまった聡一郎を待つのは、もはや破滅と転落だけだ。ホタルは間違いなく激怒し、舌を出して喘ぐ聡一郎の頬にきつい平手打ちを浴びせ、語彙の全てを駆使して罵り、この場をから走り去って二度と聡一郎と目を合わせようとはしなくなるだろう。
 もう終わりだ。幼い頃、結婚の約束を交わした二人の仲は、今ここで破局を迎えるのだ。
「聡一郎……」
 信号機のように赤くなったり青くなったりする聡一郎の顔に、ホタルの柔らかな指が触れた。嫌悪される恐怖に震える彼女の頬にもたらされたのは、強烈なビンタでも握り拳での制裁でもなく、愛情に満ちた接吻だった。
「ホ、ホタル……?」
「聡一郎、あんたってホントにバカなんだから……」
 ホタルは目に涙を浮かべて、聡一郎の頬や耳にキスを重ねる。聡一郎の予想に反し、怒っている様子はまったくない。
 ホタルの意図を読み取れない聡一郎を、新たな快楽の波が襲った。英二郎の動きが荒々しさを増し、膣への出入りが激しくなった。九歳の女児の肉体は男に力づくで征服されることにも慣れ、嬉しそうに蜜を垂らして中学生のペニスを味わう。桜色の肌が汗ばみ、不自由な四肢が力いっぱい丸まった。
「ああっ、ダメだ。もうやめて。もうチンポハメないで……ああっ、あっ、あああっ」
「バカな聡一郎……そんなに気持ちよさそうにしちゃって、ホントに何やってんのよ……」
 ホタルは聡一郎の顎を両手で押さえ、悶える彼女の唇に自分のを重ねた。目を白黒させる聡一郎の口内に舌を差し入れ、かき回し、溢れる唾液を舐めとってくる。久しぶりの恋人同士のキスの感覚が、至上の快楽となって聡一郎の理性を麻痺させた。
(ホタル、どうしてこんな……ああ、でも気持ちいい。もう何も考えられない……)
 聡一郎の膣がひときわ締まり、一秒でも早い射精を英二郎に促した。前回の生理から約二週間が経過し、聡一郎のものになった女児の体は次の排卵の時期を迎えている可能性が高い。卵巣からこぼれ出た卵子が子宮に留まり、受精の機会を待っており、女性が一番妊娠しやすいタイミングと言える。
 頭部を失ったルリの体は、本来の所有者の知らない間に初潮を迎え、処女を失い、何度も何度も執拗に犯され、そして今、危険日の真っただ中に再び膣内射精を受けようとしていた。
 ルリのものでなくなったルリの体は、姉のホタルに見守られて浅い絶頂を繰り返す。
「おおっ、俺イクっ、イクっ。ホタルの前なのに……おお、またイクっ」
「ううっ、締まる。おら、イけ兄貴っ、また中にたっぷり出してやるからな!」
 腹の奥で膨らむペニスが、待望の膣内射精の予感をもたらした。幾度も彼女を虜にしたオーガズムが再び鎌首をもたげ、女児の肉体を有する聡一郎を快楽の波で押し流そうとする。弟と恋人に二人がかりで焚きつけられた幼い官能は聡一郎の身を焼き、ひときわ大きな頂へと彼女を連れ去った。
「出すぞ、兄貴。イクっ、熱いの出る、出すぞっ。うおおおっ」
「ダメ、マンコ壊れる。ああああ……イク、イクぅっ」
 体の一番深いところに弟の遺伝子のスープが注ぎ込まれるのを感じた。肉壺の奥に吐き出されたスペルマに焙られ、艶やかな嬌声をあげる聡一郎。甘美な痺れが彼女の四肢へと広がり、全身が多幸感に満たされる。はずみで漏れたのか、丸出しの股間からやや黄色い小水が情けない音をたてて流れ落ち、路上に黒い染みを作った。
「ああ、小便出てる……俺、中出しされておもらししてる……はは、気持ちいい。気持ちよすぎる……」
 すっかり理性を失った聡一郎の唇が卑猥なつぶやきを放った。もはや恥ずかしいとは思わなかった。かつての恋人の視線を浴びながら激しく犯され、種付けと放尿の瞬間を見られたショックで放心状態だった。体の上下から液体を垂れ流し、ホタルにこれ以上なく明るい笑顔を晒していた。
「ホタル、おもらし……俺、おもらししてるよう。おほっ、まだイク、イってる……」
 羞恥心を燃やし尽くしたオルガスムスのくすぶりは、なかなか収まりそうになかった。数十秒かかって陰部から汚水を垂れ流すと、ようやく聡一郎の体は解放された。ホタルに抱えられ、地面の濡れていない場所にへたり込んだ聡一郎は、何を言う気にもなれず、ただ呆けていた。
「英二郎」
 そこで初めて、ホタルは聡一郎の弟の名前を呼んだ。感情のない冷え切った声だった。
 憎い兄を思う存分犯しつくして満足した英二郎は、反省するそぶりも見せず、自分の着衣を整えていた。
「へへ、ホタル姉ちゃんも見ただろ? 兄貴のやつ、ルリの体になってからスケベなことをしまくっててさ。弟だからって、しょっちゅう俺を誘ってくるんだ。顔は兄貴そのままだから、正直、ちょっと気持ち悪いんだけど、俺が兄貴の言うことに逆らえるわけないじゃん。だから俺さ、仕方なくこうやって……」
「黙れ」
 ホタルの拳が頬に命中し、英二郎の体が派手に宙を舞った。何が起こったか理解する間もなく、無様に地面に転がった男子中学生は、脇腹をホタルの長い脚に蹴り上げられる。豚の鳴き声のような悲鳴をあげて這いつくばった英二郎に二度、三度と追加の蹴りを叩き込むと、ホタルは聡一郎が今まで見たことのない冷たい眼差しで少年をにらみつけ、路地の出口を指さした。
「とっとと帰れ。二度と私たちの前に現れるな。殺すぞ」
「ひいいっ、許して、殺さないで……ご、ご、ごめんなさあいっ!」
 カバンを置き忘れたまま、慌てて駆けだす英二郎。途中、転倒しながら路地裏から脱出し、もう戻ってはこなかった。
 呆気にとられる聡一郎の前に、ホタルがかがみ込んだ。鼻が触れそうなほど近くにある無表情のホタルの顔に、聡一郎は心底恐怖した。絶頂の火照りは一瞬で消え去り、反対に寒気がした。
 何を言えばいいかわからなかった。英二郎と同様の弁解をすれば、英二郎と同様の目に遭いそうな気がした。
「聡一郎」
「ごめん、ホタル。ごめんなさい……」
 半泣きになってただ詫びる聡一郎の小さな肩を、ホタルは力強く抱いてくれた。首から上は恋人同士、首から下は血の繋がった姉と妹の抱擁だった。
「私の方こそ、ごめんね。あんた、あいつに無理やりやらされてたのよね? 私が守ってやるべきだったのに、全然気がつかなくて、辛い思いをさせて……ごめん。本当にごめんなさい」
「違う。悪いのは全部俺なんだ。ルリちゃんの大事な体を俺が台無しにしちまった。もう取り返しがつかねえ。ううっ、ごめん、ごめんよう……」
「ううん、違うわ。私が守らなくちゃいけなかったの。だって、今のあんたは小さな女の子だもん。それなのに私だって、あんたと同じように、ルリとエッチなことを何度もしてたの」
「え……」
「わかる? あんただけが悪いんじゃないの。私もルリも悪い子なの。それなのに心も体も傷ついてるのはあんただけで……本当にごめんなさい。許してもらえることじゃないけど、ごめんね」
 ホタルの告白を聞いた聡一郎は、濡れた目でまばたきを繰り返し、小さな体でホタルにしがみついた。
「うえええん、ホタル、ホタルぅ……」
「聡一郎……やっぱり私、あんたじゃないとダメなの。あんたの体だけじゃ足りないの。あんたの心も体も顔も、全部が全部、大好きなの」
 涙で声を震わせて、ホタルも聡一郎をきつくきつく抱きしめた。「もう二度と元の体に戻れなくても構わない。結婚できなくなってもいい。これからは私があんたを守ってやるから。もう絶対に離れないから。私たち、ずっと一緒だからね……」
「ホタル、ごめん、俺……ううっ、ホタル……」
 聡一郎とホタルはひしと抱き合い、二人だけの空間で互いの鼓動と体温を確かめ合った。誰もいない、誰も見ていない、日の光も届かない路地裏の袋小路で涙を流しながら互いの名を呼び合い、いつまでも離れることはなかった。


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