双子の初体験

 夕食が終わった頃、少し離れたところに住む祖父から電話があった。つい先ほど突然祖母が倒れ、救急車で病院に運ばれたらしい。二人の両親はその連絡を受けると、子供たちを置いて大急ぎで出かけていった。
 ――いつ帰れるかわからないから、お風呂に入ったら先に寝てなさい。
 母の言葉に、今年中学生になったばかりの息子が神妙な面持ちでうなずく。その隣では彼とよく似た可愛らしい少女が同じ表情で両親を見送っていた。
 ――ママ、気をつけてね。いってらっしゃい。
 肩まで伸びた少女の黒髪が、心配しているかのようにふわりと揺れる。両親は双子の子供たちのことを気にかけつつも、もう中学生なんだしどっちもしっかりしているから大丈夫だ、と自分たちに言い聞かせて夜道に車を走らせた。
 結局祖母の命に別状はなかったが、夫婦は深夜まで病院に留まることになる。

 留守番の二人はリビングでテレビを見たり、部屋で漫画を読んだりしていたが、時計を見るとそろそろ風呂に入る時間になっていた。
 ――お婆ちゃん、大丈夫かな。
 そんなことをつぶやきながら二人で浴室に向かう。小さい頃からの習慣で、中学生になった今でも彼らは恥ずかしがることもなく、兄妹仲良く一緒に風呂に入っていた。
 裸になった二人はタオルを手に風呂場に足を踏み入れると、まず兄が椅子に座って妹がその後ろから湯を頭にばしゃりとかけた。そのままシャンプーをかけて手早く泡立たせ、さっと洗い流してやる。
 ――ふう。
 兄はタオルで自分の顔を拭き、気持ち良さそうに息をひとつついて立ち上がると今度は妹と交代して、自分のより長く繊細な髪の少女の頭を洗い始めた。こっちの髪は女の子らしく気を遣い、いつも彼が丹念に洗ってやっている。
 生まれてからずっと一緒に過ごしてきた双子の二人だが、最近はどちらも思春期に入りお互いの体の違いを意識することが多くなってきた。ここ一、二年で少したくましくなった兄の体と、凛々しくなってきた顔立ち。対する妹は肩や腰の線がやや丸みを帯び始め、少し胸も膨らんでいる。普段はブラジャーもしているし、この間はついに生理がきてしまった。今まで顔の造作も体格もほとんど変わらなかった兄妹も、この頃になって明確に男女の差をまざまざと見せつけられている。
 しかし彼らは相変わらずいつも一緒で、今でもこうして二人で風呂に入る。顔を赤らめる訳でも裸の姿を隠す訳でもなく、それが昔から兄妹の日常になっていた。
 ――さて、流すか。
 大事なものを扱うような丁寧な動作で、兄が妹の髪を湯で流した。じっくり時間をかけ髪を洗ってもらった妹は、さっきの兄と同様に息をはいて気持ち良さげにタオルを顔にあててごしごしと拭った。
 ――はあ、ふう。
 次は体を洗わないといけない。二人はスポンジを手に取りボディソープをつけると、同じような格好でそれぞれの椅子に座って、自分の手の届く範囲を泡のついたスポンジでこすった。今日は大して運動もしていないが、やはり子供は汚れやすいから丁寧に洗うようにと母に言われており、素直な二人は律儀にその言いつけを守っている。
 やがて妹は立ち上がり、静かに兄の後ろに腰を下ろして彼の背中をこすり始めた。そしてまた交代し、双子はお互いの体を泡まみれにした。そこに兄が洗面器を傾け、肌を触れ合わせた二人の体を同時に洗い流す。
 彼らは満足そうな表情を浮かべ、こうして全身の垢を落としきった。
 ――ふう、じゃ入るかな。
 裸の少年少女が湯船に浸かる。あまり大きくない浴槽のため、最近は二人だと少し狭く感じるようになった。だが彼らは嫌がるでもなく、湯の中でぴったり密着して座っている。
 ――ふにゃー……あったかい……。
 妹が目を細め、猫のような声をあげる。
 ふと兄が視線を落とすと、透明な湯の中で妹の裸体が丸見えだった。いくら双子とはいえ、お互いこの歳では多少なりとも恥ずかしがるものだが、彼は落ち着いた視線で妹の白い肌を見つめ、ぽつりとつぶやいた。
 ――ちょっと大きくなったかな?
 手を伸ばして湯の中の乳房に触れたが、彼女はそれを嫌がろうともしない。毎日見てるはずなのに、風呂のときは一糸まとわぬ姿のためやはり気分が違う。兄は抵抗しない妹の体を湯船の中で抱きかかえ、胸や尻をむにむにと撫で回した。
 ――ん、気持ちいいかも……。
 少しだけ頬を赤らめた妹が息を吐き、兄にそう告げる。大人になり始めたこの年頃、やはり二人も性的な話題に興味はあった。クラスメートの男子は父や兄から青年雑誌や写真集を仕入れて自慢話をしているし、女子の側も気になる男子や好きな男性アイドルの噂で盛り上がることも多い。この双子もそういった話を周囲から聞かされ、また学校で習った性教育から男女の体の違い、そして恋愛についてぼんやりと考えることがあった。
 ――どうして、こっちにだけ生理がくるんだろう。
 ――なんで女の人の裸を見るとあそこが硬くなるんだろう。
 漠然と知識を聞かされてはいても、いざ自分たちがそうなると戸惑うものである。こうして二人は、風呂や寝る前に親の目を盗んでお互いの体を観察するのだった。
 ――あ、おちんちん立っちゃった……。
 頬の染まった兄がぽつりと言って、妹の体にこぶりな肉棒を押し当てる。ほんの少しだけ毛の生えた性器はまだ大きくはないが、湯の中でぴんと硬く張り詰めていた。上気した顔で妹がつぶやく。
 ――でも、そろそろ上がらないとのぼせちゃうね。
 ――上がるか……。
 兄も納得したように合わせ、妹と二人で立ち上がった。跳ねる湯の音が浴室に響く。そして互いの体をタオルで拭きあい、兄妹は浴室を出た。どちらもまだ顔は赤く、のぼせたようにぼうっとしている。

 ――暑いなぁ……アイスでも食べようっと。
 裸のまま冷凍庫からアイスキャンディーを取り出す二人。兄はチョコレート、妹はバニラ味のを口にくわえた。しかしカチカチに凍った棒になかなか歯が通らず、仕方なく舐めて溶かそうとする。ペロペロと白いアイスに舌を這わせる妹を見て、兄はふと思い出した。
 ――そういえば、大人の女の人はおちんちんを舐めるって聞いたっけ。ほんとかな。
 子供の二人からすれば汚いと思ってしまうのだが、まるっきり興味がない訳でもない。
 ――やってみようか。お風呂入ったところだしそんなに汚くないかも。
 先ほどの風呂場の興奮がまだ冷めやらぬ兄妹は、苦労してアイスを食べ終わるとお互いに見つめあい、裸の妹がやはり全裸の兄をカーペットの上にそっと押し倒した。彼のものは先刻に比べ少し縮んでいたが、少女がたどたどしい手つきで棒と袋を弄ぶとだんだんと元気を取り戻し、やがて一人前に硬くそそりたった。
 ――やっぱりいじると立っちゃうね。なんでだろ。
 彼女は不思議そうな顔をして、そっと兄の陰茎を撫でた。少年は気持ち良さそうに熱い息を吐きながら、妹の愛撫を受け入れている。いよいよ少女はあどけない表情で口を開くと、アイスを舐めるような動作で兄の性器の先端をぺろんと舐めあげた。
 ――う……なんか、変な感じ……。
 敏感な肉棒の先に初めて女の舌が触れ、少年が熱のこもった声をあげる。一方で、舌を使う妹の方も兄と同じ表情で目を細め、荒い息を吐いていた。半ば怯えたような慎重な仕草で、幼い舌が男根をゆっくりしゃぶっていく。普段小便を出している肉棒を手で直に抑え、彼女は小さな口でそれにかぶりついた。
 ――うあっ……!
 兄の体が震え、ついかん高い悲鳴が出てしまった。その衝撃が伝わった少女も同じように一回びくりと跳ねたが、彼女は何とか不慣れな舌と口腔、唾で口内の男性器を責め続けていく。
 ――うう……う、くぅ……。
 柔らかなカーペットの上で裸になった子供たちが汗をかいた体で密着して、妹が戸惑いながらも兄の性器を舐め回している。両親が見たら驚愕して飛び上がりそうな光景だったが、二人に罪悪感は全くなく、ただ好奇心の赴くままに大人の真似事をしているだけだった。
 少女の口の中で兄の肉棒は硬さを増して先走りの汁を分泌し、その少女は彼の男根を舌で刺激しながら、自分の割れ目からもねっとりと雫を垂らしている。
 ――あ、あぁ……何か来るよぅ……。
 年端もいかぬ少年の忍耐は長くは続かなかった。両手で妹の長髪の頭をつかみ、待ちかねた衝動を彼女の中に吐き出そうとする。妹が身構えて口をすぼめると、彼は切ない悲鳴をあげて最初の精液を放出した。
 ――んっ、んん……んむ……。
 辛うじて口内に汁を収めた少女だったが、その表情は苦悶に歪んでいた。今にも吐き出してしまいそうな不快感が可愛らしい顔全体を覆っている。兄はすぐさまティッシュを二、三枚取ってやり、妹に精液を吐き出させた。
 ――うええぇ……。
 すごく不味いし気持ち悪い。妹の気持ちをすぐさま理解した彼は、身を起こして少女の後ろにそっと回り、その白い背中を優しく撫でてやった。少年の手にさわさわと背中をさすられ、少しずつ不快感が薄れてゆく。
 彼はそのまま腕を妹の体に回してゆっくり彼女を引き倒した。濡れた裸体が兄に抱かれたまま仰向けに転がり、少女が軽く声をあげる。下になった彼は妹の重さを感じつつ、両手で彼女の乳房を揉み始めた。
 ――ん……柔らかくて、気持ちいいかも……。
 心地よい感触に兄妹が揃って顔を火照らせる。射精に萎えた陰茎が再び起き上がり、それが妹の尻に当たる。
 ――すっごい、かちんかちんだね……。
 下から臀部を硬い肉棒で突かれ、少女は面白そうに笑みを浮かべた。その陰部からは温かい汁がとろりと垂れ、兄の腿を濡らしている。胸を揉む少年の手つきは大して上手くもなかったが、まだ性的経験のない彼女は未知の快感に身をよじって熱い声を漏らしていた。
 ――あっ、うん……ああぁ……。
 彼の指が小さな乳首を挟んでコリコリと刺激を与えると、妹は嬌声をあげて体を震わせた。
 ――うあぁっ、これ……すごいよ……!
 兄妹はとろけた眼差しで共に虚空を見つめ、劣情を貪る。その目からは恐怖も困惑の色も消え去って、完全に性欲に支配されていた。
 数十秒か数分か、時間の感覚もわからないまま愛撫を続けていた少年だったが、やがて大きく吐かれた妹の呼気に動きを止め、彼女の体を横に下ろして二人で横たわった。肩を並べ息を荒くして天井を見上げる。静かな部屋に高ぶった少年と少女の呼吸音だけが響いていた。
 だがまだ兄の陰茎も妹の女陰も収まっておらず、共に淫靡な汁が漏れている。

 ――はぁ、はぁ……どうしよう、収まんないよ……。
 そうつぶやいた兄が我慢できないといった様子で起き上がり、熱のこもった視線で仰向けになっている妹を見下ろした。その股間からは上を向いてそそり立った肉棒が張り出し、女体との結合の瞬間を今か今かと待ちわびている。
 ――す、すご……おちんちん、こんな……。
 妹は平静を欠いた声でつぶやき、上体だけを起こして両足を広げた。その腿の間には、未熟な陰唇が男を欲して汁を垂らしている。そんな妹の乱れた姿を、兄は薄く笑って見つめていた。
 ――ちょっと怖いけど、入れて……みるか。
 獣のように少女に覆いかぶさり、硬く勃起した肉棒を妹の女にあてがう。触れた途端にいやらしい汁の音が響き、二人はごくりと唾を飲み込んだ。まだ入れてもいないのに、接触した性器は熱を脳に伝え、燃え尽きそうな理性を蝕む。
 兄妹はその姿勢のまま数瞬の間じっとしていたが、じっと細めた目で見つめあうと意を決したように少年が少女の中を突き進んでいった。
 ――あ、ああ……ううぅ……!
 狭い膣の感触と汁の熱さに苛まれながらも、ゆっくりと腰を押し込んでいく。ついに結合した性器は初めての性交に音を鳴らし、淫らな旋律を奏でる。途中激しい抵抗感があったが、彼は苦悶の表情に力を込めて突き入れた。
 ――うぅ、痛いよぅ……!
 童貞と処女の喪失。少女は苦痛に涙を流し、それを見ていた少年もつい泣き出してしまう。血の滴る性器を交わらせたまま、二人は泣きながら抱き合っていた。
 ――う、ひっく……うえぇん……!
 少しでも痛みをまぎらわせようと、兄が妹の唇を奪う。よく似た泣き顔の双子の口が触れ合って、唾を交換して相手を食んだ。二人とも腰は決して動かさず、舌と唇でお互いを優しく慰め合う。あどけない少年と少女のキスの音色が辺りに響く。
 どれだけそうしていたか、ほんの少しだけ痛みが和らいだ彼女は、無理やり笑顔を浮かべて兄に腰の動きを促した。それに応えて、おどおどした半泣きの少年が怯えながらも前後に動き始める。
 ――い、痛い……痛い、けど……。
 ――おちんちん、熱くて……気持ちいい……。
 処女のきつすぎる締めつけが肉棒をしごきあげ、兄を喘がせた。初めて男を受け入れる妹の膣は赤く染まって見るも痛々しい癖に蠢く襞で侵入者を責めたて、精を搾り取ろうとしてやまない。
 これがセックスなのか。まだ中学生にあがったばかりの二人は初体験の快楽と抗いがたい興奮に包まれて、だんだんと大胆に腰を使い始めていた。たった今処女を失ったばかりの妹はそうそう感じることはなかったが、兄の方はまだ頬を涙で濡らしたまま腰を振り、気持ちよさそうに彼女の中をかき回した。苦痛と肉情に顔を歪ませ、兄妹の性交が激しさを帯びていく。
 ――はあぁんっ……あっ、やあぁぁ……!
 ――んっ、んあぁっ……くうぅぅ……!
 双子だからという訳でもないだろうが、兄妹の性器の大きさは丁度よく、ぴったり奥まで肉棒を膣に突きこむとその先端が子宮の入口を叩く。兄は野獣となって妹を犯しぬいたが、少女も嫌がることはなく精一杯男を受け入れ、未熟な膣でしごきあげていた。その顔は痛みと辛さに歪んでいたものの、舌を伸ばし息を吐いて声をあげ、心まで彼と一体になったように虚ろな瞳で喘いでいる。
 だが二人っきりのこの部屋で、兄妹の交わりはすぐに限界を迎えた。
 ――あんっ! はぁっ、はぁんっ !!
 ――う……で、出る……!
 ――出る……出ちゃうぅ…… !?
 ついに達してしまった兄は、妹の腰を掴んで欲望の限りを解き放った。可憐な少女の膣を、奥にある子宮を少年の汁が汚していく。先ほどより多量の精液を吐き出し、彼は妹を抱いたまま小刻みに震えていた。少女も焦点の合わぬ目で兄を見上げ、呻きながら痙攣している。
 ――あぁぁああぁ…… !!
 ――はあぁぁぁ……!
 萎えた肉棒を彼女の中から引き抜き、力なく少年が身を横たえた。汗と血と精液と、愛液の混合物がドロリと垂れてカーペットを汚す。二人は気を失いつつも、どこか満足そうな表情を浮かべて寄り添い合っていた。

 両親が帰ってきたとき、既に子供たちは部屋で眠っていた。
 ――お義母さん、無事でよかったわね。
 ――ああ、最初はほんとに焦ったよ。
 深夜のため静かに着替え、寝る支度をする。寝る前に茶の一杯でも入れようかと母親が思ったとき、ふとその視線が下に落ちた。
 ――あら、こんなところにシミが……チョコレートかしら。あの子たちね。もう、今度シミ抜きしないと……。
 ――まあいいじゃないか。今日はあいつらに留守番なんてさせてしまったしな。
 ――もう、あなたはそうやってすぐあの子たちを甘やかすんだから……。
 母親はぶつぶつ言いながら、熱い茶を夫に振舞った。子供部屋では、同じベッドで仲良く兄妹が眠りについている。あどけない表情の子供たちはどちらも幸せそうで、まるで同じ夢を見ているかのようだった。


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