夏の暑い日曜日のことだ。 昼飯に食った大盛りのソーメンとキンキンに冷えた麦茶がいけなかったのか、俺は食後すぐに腹が痛くなって、慌ててトイレに駆け込んだ。 しかしドアを開けた瞬間、中にいた先客に怒られてしまった。 「わっ !? な、何すんだよ!」 高校生の息子、誠が便座に腰を下ろした格好で、驚いた声をあげた。 用を足している最中だったのだろう。ズボンもパンツも足首まで下ろされている。 「すまん。入ってたのか」 大人しく謝ってその場をやりすごそうとした俺だったが、ふとその動きが止まる。 俺が視線を落とした先には、誠の丸出しの股間があった。 成長期の性器は雄々しく立ち上がり、表面には太い血管がビクビク脈打っている。子供の頃は皮をかぶった可愛い象さんだった覚えがあるが、今のそれは生い茂る陰毛を従えて、皮の剥けた黒々とした姿を晒し、まるで別の生き物のようになっていた。 誠は右手でその肉棒を握りしめ、粘液のついたそれを消防車のホースよろしく、こちらに向けていた。 もちろんこんな格好でクソをするやつはいない。 誠がここにいるのは排泄のためではなく、自慰のためだったのだ。 突然のことに俺は呆気にとられ、無表情と無反応の塊となって立ち尽くした。 誠も同じく、俺を見上げて硬直したまま動かなかった。沈黙だけがここにあった。 「…………」 たっぷり十秒は過ぎた頃、俺はやっと自分の本能の要求を思い出し、理解ある父親として模範的な言動を発した。 「すまん、早く代わってくれないか。腹が痛いんだ」 「あ、うん……ごめん」 誠は、幼さを残した年相応の表情でうなずいた。 ドアを閉めて待つと、誠はすぐに出てきて俺と交代してくれた。 そして、そそくさと自分の部屋に戻っていった。 「うーむ……」 リビングで妻の淹れてくれたコーヒーを飲みながら、俺は考え込んでいた。 息子がトイレで自慰に熱中していた。そのことに、何とも言えない歯がゆさを感じる。 自慰行為そのものは別にどうでもいい。誠だっていつまでも子供じゃない。健全な男子高校生であれば、そういうことに興味を持つのは当然のことだろう。 エロ本やAVの類は持ってて当たり前、オナニーだってやりまくる歳だ。むしろ逆に、全く興味がない方が困る。 それでも俺は、胸のうちからじれったい思いを消し去ることができないでいた。 「どうしたんですか? 難しい顔しちゃって」 茶菓子の用意をしていた妻が訊ねてきた。 高校の同級生だったこいつと結婚して、二十余年。 その間いろんなことがあったが、まあ充分に円満な家庭と言える。 ところがここにきて、息子に重大な問題が持ち上がった。 俺は慎重に言葉を選び、妻に訊いた。 「ああ、誠のことなんだが……あいつ、つき合ってる子はいないのか」 「どうしたんです、急にそんなこと」 「いいから教えてくれ。いないのか」 「いませんよ」妻は穏やかに答えた。「中高と男子校ですから、仕方ないでしょう」 「仕方ない、か……」 濃いコーヒーを喉に流し込み、その言葉を噛み締める。 誠は俺に似て、小さい頃から勉強がよくできた。中学に上がるとき、有名私立の進学校を受験して無事に合格。中高一貫の英才教育を受け、やがては一流大学へと進学してくれるだろう。 将来を期待される息子ではあるが、気がかりなことがあった。 進学校にはよくあることだが、そこは男子校なのである。聞いた話では教師もほとんどが男だそうで、周囲に女性はまったくいないらしい。毎日毎日、男ばかりのむさ苦しい環境でスパルタ教育だ。俺はあいつの歳で既に妻と知り合っていたというのに、今のあいつには彼女どころか、女友達一人いやしない。 いくら勉強ができても、これはいささか問題ではないだろうか。まさかとは思うが、将来変な女に騙されて食い物にされたり、もしくは間違って男色の道に進まないとも限らない。 息子を憂う心は、隔靴掻痒の苦しみとなって俺を苛んでいた。 そんな俺の悩みを見透かしたのか、妻が微笑して言った。 「大丈夫ですよ。そのうちあの子も、いい娘さんを見つけてくるでしょう」 さすがに二十年以上も連れ添っていれば、何を考えているか、完全に読まれてしまう。 だが俺は、妻の楽観論には同調できなかった。 何とか今のうち、あいつの彼女になってくれる女の子を用意できないだろうか。 男子校で年頃の性欲を持て余し、家族に隠れて一人寂しく自慰にふけるようでは、どうにも情けなかった。 「……風俗にでも連れて行こうか」 「駄目ですよ、そんなの」俺の提案は即座に却下された。 「だがなあ、せめて性欲だけでも発散させてやらんことには、可哀想だ」 「じゃあ私が、あの子の下半身のお世話をしましょうか?」 妻の言葉に、俺はコーヒーを吹き出した。 幸いにも服にはほとんどかからず、テーブルが多少汚れた程度で済んだ。 「いやいや、頼むからやめてくれ」 俺はハンカチで口元をぬぐって言った。 しかし、なんてことを口にするんだ。こいつは。 思わず、妻が息子にすがりついて性器をしゃぶる姿を想像してしまったではないか。 うちの嫁は時々、真顔で凄まじいセリフを口にするから怖い。 「あいつ、ただでさえマザコンの気があるんだから、悪化させるようなことを言うんじゃない。第一、俺の愛妻を横取りだなんて、いくら息子でも許しませんよ」 「あらあら、残念ね」 本気なのか冗談なのか、ころころ笑う。若い頃と同じ笑い方だった。 「それなら、沙織に頼んでみたらどうかしら。やってくれるかもしれませんよ」 「沙織か? あいつもそれどころじゃないだろう」 「でもあの子たち、昔から仲良かったし、きっと大丈夫ですよ」 そう言って、人差し指をぴんと立てる。小悪魔みたいな表情だった。 「わかったわかった、後で一応訊いてみるよ」 俺は小さく息を吐いて、立ち上がった。 「とりあえず、先に誠と話してくる。さっき気まずい思いしたからな」 「はいはい、どうぞ」 誠の部屋は二階にある。階段を上がった俺は、誠の部屋のドアをノックした。 「誠、俺だ。ちょっと話がある」 数秒の沈黙の後、おそるおそるドアが開いた。 「……何? 話って」 誠の瞳には困惑の色が見受けられた。もともと多感な年頃である。自慰の現場を父親に目撃され、どう反応していいかわからないのだろう。 俺は部屋に入れてもらい、誠と一緒にベッドに腰を下ろして、話を始めた。 「その、あれだ。さっきは悪かった」 「いや、もういいよ。カギかけない俺も悪かったんだから」 意外にも誠は素直だった。俺に見られたことを怒っている様子は全くなく、むしろ俺に怒られるのではないかと危惧しているようだ。 だが俺は、別に誠を叱りに来たわけではない。若干のためらいの後、問いかける。 「誠……その、なんだ。ああいうことは普段からよくやってるのか」 「いや……でもまあ、たまにする」 誠は硬い声で答えたが、「たまに」などという控えめな表現では足りないのは明らかだった。 何しろ俺の息子だ。毎日オナってても不思議じゃない。欲望のはけ口もろくになく、夜ごと通行人の女の子やAV女優の姿を思い出しながら一人寂しくシコシコしているのだろう。そう思うと不憫で仕方なかった。 誠のルックスはそこそこだと思う。ちょっと女の子っぽい繊細な顔のパーツは母親譲りだ。 頭だっていい。進学校で平均くらいの成績を納めていれば、充分優等生と言えるだろう。 ちょっと上背が足りないのとろくに筋肉がついていないのがマイナスポイントではあるが、知り合う機会さえあればガールフレンドの一人や二人、普通にできているはずだ。 というか、別に男子校でも努力次第で彼女はできると思うのだが、どうもこいつは、友人のツテを頼るとかナンパに行くとか、そんな意欲もないようだ。 最近流行りの草食系男子とかいうやつだろうか。本当に困ったことである。 今から外に出かけてその辺の女の子を手篭めにしてこいと言いたくなる。 俺はそうした主旨の話を滔々と聞かせてやったが、嘆かわしくも誠は父に賛同しようとせず、首を振るばかりだった。 「いいよ。別に俺、そういうことしたいわけじゃないから」 「嘘をつくな。どうせ毎日、悶々としてるんだろ」 「してないよ!」誠は強い声で否定した。 「じゃあ、さっきのアレは何なんだ。真っ昼間からオナったりなんかして、我慢できないんだろう。もっと正直になれ、誠。エッチしたいだろ?」 「いいってば! もういいから、この話はやめてくれよ!」 だんだん過激になっていく俺の発言に耐え切れなくなって、誠が叫ぶ。 しかし俺も退きはしない。俺たちは黙ってにらみ合った。 そのとき部屋のドアが乱暴に開かれ、沙織が怒鳴り込んできた。 「ちょっと、うるさいわよ! 集中できないじゃない!」 「あ――す、すまん」 俺は誠と顔を見合わせ、沙織に謝った。 沙織は俺の娘で、誠の三つ上の十八歳だ。もうすぐ誕生日だから十九か。 残念ながら大学受験がうまくいかず、今は浪人生の身分である。 世間様の学生は夏休みで遊び呆けているというのに、こいつは日々予備校のピリピリした空気の中で、一生懸命に勉強しているらしい。 そのせいか最近、やや情緒不安定の傾向が見られ、ちょっとしたことですぐ怒るようになった。 彼氏と別れたこともその原因なのではないかと、妻は言う。 なんでも同じ大学を受験して沙織だけ落ちてしまい、仲がギクシャクしたところに彼氏の方が学内で浮気をしたとか何とか。まことにけしからん男だ。 娘から悪い虫が離れたのは父親の俺にとっては歓迎すべきことではあるのだが、おかげで最近、ほとんど沙織の笑顔を見たことがない。 妻も誠も、そんな沙織を腫れ物に触るように扱っていた。 「ごめん、姉ちゃん」沙織とは視線を合わせず、誠が言った。 「まったく。静かにしてって、いつも言ってるでしょ」 沙織は不機嫌極まりない様子で、肩をいからせた。 背こそ誠と同じく低いが、細くバランスのとれた体型をしている。 タンクトップと細身のジーンズというラフな格好なので、この身長には不釣り合いに大きい胸や、綺麗な脚線美がよくわかる。 顔もややきつい印象を受けるものの、妻に似て充分に美人だと思う。 髪は茶色に染めたミディアムのストレートヘア。ふわりと柔らかな質感が魅力的だ。 親バカ丸出しだが、世界で二番目にいい女だと俺は信じてやまない。 この沙織とつき合っていながら浮気するやつがいるなんて信じられんが、まあ、よっぽどくだらない男だったんだろう。忘れてしまった方がいい。 それはともかく、沙織がここにやってきたのは好都合だ。 「沙織、お前もこっちに座りなさい。話がある」 「話? 何よそれ、あたし勉強してたんだけど」 「いいから、こっちに来い」 いつになく強い俺の口調に、沙織はしぶしぶうなずいて、誠の部屋に入ってきた。 昔は「パパー!」と可愛い声で俺を呼んで飛びついてきたというのに、最近はこのザマだ。愛娘の成長に切ない涙を流しつつ、俺は沙織を俺と誠の間に座らせ、重々しく言った。 「実は、お前に頼みたいことがある。誠のことなんだが」 「誠のこと?」 「実はさっき、トイレで誠が、その……オナニーしててな。誠もそういう歳だし、彼女もいないから、やっぱりたまってるんだろう」 「はあ?」沙織は眉をつり上げた。 まるで宇宙人でも見るかのような視線で、俺と誠を交互に射抜く。 そして軽蔑と侮蔑を声に塗りこめて、誠をなじった。 「やだ。あんた、そんなことしてたの? トイレ汚さないでよね、もう」 「父さん、なんで言うんだよ!」誠は羞恥に頬を染め、腰を浮かせた。 息子と娘、それぞれの反応を観察しながら、話を続ける。 「それでだ、沙織。頼みってのは誠のことだ。お前、よかったら誠の性処理してやってくれないか」 「はああっ !?」 今度こそ沙織は大声をあげて、顔を歪めた。 程度の差こそあるものの、誠も同じような表情で、驚愕に目を見開いている。 何を言ってるんだ、この親父は。暑さで頭がおかしくなったか。そう言いたげだった。 しかし俺は気が触れたのでもなければ、酔ってるわけでもない。自分なりに子供たちの身を案じて、良い方向へ導いてやろうとしているだけだ。 落ち着くために深い呼吸を一つして、再び口を開く。 「誠も成長したってことだ。年頃の男が性欲を持て余すのは当たり前だろ。下手にそれを抑制するよりも、適度に発散させた方がいい。俺はそう思う」 「だ、だからって、何であたしが誠の相手しなくちゃいけないのよ !? 姉弟なのよ !?」 沙織は顔を赤くして、唾を飛ばしてわめいた。 当然の反論にも、俺は涼しい顔で返した。 「そういう店に連れてってやってもいいんだが、まだ高校生だしな。学校にバレて退学にでもなったら困る。その点、家族なら大丈夫だって、母さんが」 「大丈夫じゃないっ! しかもなんでお母さんが普通に賛成してんのよ !? あたしは嫌よ、誠なんかとするなんて!」 「それにだな」俺は不意に、にやりと笑った。「沙織も同じだろ? たまってるのは」 「そ、そんなわけないでしょ !? 変なこと言わないでよ、セクハラよ!」 「彼氏と別れてから、オナニーの回数が増えただろ。バレてないと思ってるだろうけど、夜中にこっそりやってるの、俺も母さんも知ってるんだぞ。夕べもそうだったよな」 「な、な、何言って――」いきなり汗をかきだした沙織が、とても可愛い。 息を引きつらせる娘に、俺はさらに言葉を重ねた。 「別にいいじゃないか。ちょっと誠の相手して、満足させてやったらそれでいいんだ。それでお前の気もまぎれて、ぐっすり眠れるようになったら言うことなしじゃないか。ストレス溜め込んで寝不足じゃあ勉強の効果もろくに出ないぞ。来年こそ受かりたいだろ?」 「う……」 タジタジと後ずさりを始めた沙織を見て、俺は勝利を確信した。 あと少し押してやれば、あっけなく陥落するだろう。 そこで俺はトドメとばかりに懐から財布を取り出し、一万円札を沙織に突きつけた。 「ちゃんと誠の相手してくれたら、小遣いやる。今お前、金ないだろう」 「い、いちまんえん……。で、でも、うう……」 おあずけをくらった犬のような顔で、沙織は万札を凝視していた。 浪人してからバイト一つできなくなり、金欠に喘いでいるのは知っている。それを利用しない手はなかった。 俺は福沢諭吉をぴらぴら振って、牛か馬でも相手にするように、思いっきり沙織を煽った。 そんな挑発に沙織は逡巡と躊躇を繰り返しつつも、おずおずと手を伸ばしてくる。 そしてとうとう紙幣を掴み取ったのを見届けると、俺は誠にガッツポーズをしてみせた。 「やったな、誠! 沙織がヌイてくれるぞ!」 「ちょっと待てえぇっ !!」 しかし俺の期待に反して、誠は喜ばなかった。 はて、なぜだろう。性欲を持て余した男と女をくっつけて万事解決と思ったのだが、気難しい息子である。 だが、もう話がここまで進んでしまった以上、今さら途中でやめられない。 俺は子供たちが小さい頃そうしてたように、厳かに言い聞かせた。 「いいか、誠。お前だってもうすぐ一人前の男だ。背も伸びれば、性欲だって湧いてくる。そんなお前が陰でこっそり自慰にふけるのは、むしろ自然なことだと思う」 「そんなセリフ、真顔で言うなよっ!」 「でもな、誠。問題は、一人でヌイてしまうことじゃない。誰もヌイてくれる相手がいないこと。これが問題なんだ。わかるか? 男子校だから女の子に縁がないって、母さんも心配してるんだぞ。だから今のうち女の味を知っとかないと、一生童貞で魔法使いに――」 「もういいから黙れよ! 出てけよ!」 俺のありがたいお説教を、誠が乱暴な口調で遮った。 やれやれ、親の心子知らずとはこのことか。 仕方がないので、俺は沙織のタンクトップに手を伸ばし、裾を一気にまくりあげた。ピンクのブラジャーに包まれた巨乳が、持ち前の弾力を惜しげも無く晒す。 いきなりのことに沙織は悲鳴をあげ、誠は全身を強張らせた。 「な、何してんだよ、父さん !? そんな、姉ちゃんの――」 「いいから、お前もこっちに来い」 俺はたわわに実った果実を揉みしだいて、息子を誘った。 「本物のおっぱいだぞ。触ってみたいだろ? ほら、遠慮するなよ」 「お、お父さん……やだ、そんなとこ……」 ハーフカップの中に手を突っ込み、白い脂肪を愛撫する。 「じっとしてろ」と沙織を黙らせ、揺れる乳房の感触を楽しんだ。 沙織の胸は妻のそれより明らかに大きく、形も整っていた。実に見事なものである。 ホックを外して生の乳を揉みまくっていると、誠が真っ赤な顔で俺に言った。 「や、やめてやってよ。姉ちゃんも嫌がってるだろ」 「いや、沙織もいいって言ってるぞ。今の会話聞いてただろ、お前」 「そ、そんなの……。姉ちゃんのなんて、俺……」 その言葉とは裏腹に、見開かれた目は二つの膨らみを凝視し、若々しい性欲がズボンの股間に大きなテントを張っていた。 たとえ相手が姉であろうが、こんな美味しい状況、一人の男として我慢できるはずがない。 それに追いうちをかけたのは、沙織のか細い声だった。 「誠……い、いいよ。あたしのおっぱい、触っても」 「ね、姉ちゃん? 何言ってんだよ……」 「いいから、こっちにおいで。あたしが色々教えたげる」 「ダメだ姉ちゃん、俺は……俺は――!」 うわごとのように言いながら、結局、誠は沙織の胸に飛びついた。 だいぶ葛藤があったようだが、やはり健康な男の欲求には勝てなかったようだ。 俺は薄ら笑いを浮かべると、沙織の体を誠に委ね、そっと部屋を出て行った。 あとは若い二人に任せて、というわけではない。 むしろその逆で、リビングにいる妻を呼びに行ったのだった。 俺が部屋に戻ってきたのはすぐのことで、そのとき誠は上半身裸の沙織をベッドに押し倒し、豊かな胸にかぶりついていた。 「んふぅっ、ねえ、姉ちゃんっ」 「あんっ、ちょっと待ってってば、まこと。がっつきすぎ――!」 弟の名を呼びながら、恍惚の表情で彼の頭をかき抱く。 彼氏の一件でのストレスに加え、この数ヶ月の男日照りから、相当たまっていたようである。 それに、もともと沙織と誠の姉弟仲は悪くなかった。その可愛い弟に乳を吸われて母性本能が刺激されたのかもしれない。乱れに乱れた娘の姿は、最高に艶かしかった。 「あらあら、激しくしちゃって。若いっていいわねえ」 俺の隣に立った妻が、そう言って微笑んだ。 俺と同い年の妻は、確かに肌のつやは無くしていたし、髪の中には白いものも混じっていたが、だからといって俺が求婚したときの美は、全く損なわれていなかった。 体重だって二十年前からほとんど変わってないし、時々見せる笑顔の愛らしさときたら、子供の頃の沙織みたいだ。 俺は愛する妻に笑い返すと、ビデオカメラを構え、静かに撮影を始めた。 子煩悩な俺たちは運動会や七五三など、ことあるごとに子供たちにレンズを向け、少しずつ成長していく我が子の姿を記録に残していた。 その俺が、沙織の手ほどきによる誠の初体験という記念すべき瞬間を、撮影しないわけがない。 二人はカメラを向ける俺たちのことなど忘れたように夢中になって、肉欲の泉に溺れた。 情熱的なキスを交わし、犬のようにはふはふ鳴いて口内を貪り合う。 たっぷりと舌を絡めた息子たちは、今度はお互いの服を脱がせて胸を揉んだり首筋に吸いついたり、何とも微笑ましくじゃれ合った。 その後、沙織は経験のない誠をリードして陰茎にむしゃぶりつき、奉仕を始めた。 「んむっ、んっ」とこちらに聞かせるかのように鼻声を響かせ、誠の亀頭をもてあそぶ。 どこでこんなテクを覚えたのか知らないが、唇で性器をくわえ込んで熱心に頭を動かす沙織の姿は、若い頃の妻によく似ており、やはり血は争えないのかと俺を唸らせることになった。 耐え切れず放たれた弟の精液を嚥下し、唇をぺろりと舐め回す。 「うわあ。濃いわねー、あんたの……。飲むだけで妊娠しちゃいそう」 妖艶に笑う沙織に、誠は完全に主導権を握られていた。 「それにここも無駄にでかいし、スケベすぎ。姉として恥ずかしいわ」 「ねっ、姉ちゃんこそ……」 耳まで真っ赤にして、誠が言い返す。 「俺のチンコくわえてザーメン飲んで、相当の変態じゃん」 「ふん。気持ちよかったくせに文句言うんじゃないの。お金もらっちゃったんだから、しょうがないでしょ。こんなになっちゃったのも、全部あんたのせいよ。もう」 沙織はそう言って自分の行動を正当化したが、望んでやっているのは明白だった。 しかしこいつがここまでエロいとは思ってなかった。さすが俺の愛娘だ。褒めてやりたい。 一方の誠も、いい加減本番に及びたくなったようで、沙織との口喧嘩をやめると、射精してもいまだ萎えない股間をかかえ、もじもじして訊ねた。 「姉ちゃん、もう入れていい?」 「うん、いいよ」沙織はベッドに寝転がり、両腕を伸ばして誠を招いた。 「今日は大丈夫だから、ゴムもいらない。そのままでいいわ」 「沙織、ちゃんとつけときなさい。安全日だから大丈夫なんてことはないのよ」 そう言って娘をたしなめようとする妻を、俺が制止した。 「まあいいじゃないか。誠は初めてなんだし、最初くらいつけなくても」 「あなた! 万が一できちゃったらどうするんですか。沙織は受験生なんですよ?」 「そのときは堕ろせばいいし、産みたくなったら誠に責任取らせればいいさ。こいつらがくっついてくれたら、財産分与のとき揉めなくて済む」 カメラを回して冗談とも本気ともつかぬ言葉を口にする俺に、妻は呆れた様子だった。 「またそんなこと言って」とぐちぐちこぼしつつも、あえて二人を止めようとはしない。 可愛い娘と大事な息子の交わりを一番嬉しがっているのは、実は妻かもしれなかった。 まともな親なら奇声をあげて引き離すところを、にこにこ笑って眺めているあたりはやはり俺の妻と言えよう。それとも俺がこいつに洗脳されてしまったのだろうか。 どちらにしても狂った両親にそそのかされて、沙織と誠が禁断の果実に手を伸ばしているのは、間違えようのない事実だった。 仰向けになった沙織の上に、誠が覆いかぶさって身を重ねる。 誠は姉の裸体を見下ろしながら、いきり立った自分のを挿入しようとするのだが、冷静さを欠いた今の誠にその作業は思った以上に難しいようだった。 「あれ? うーん……え、えっと……」 いつまで経っても結合に至らず、見てる俺たちの方がイライラしてしまう。 おそらく、あと十秒遅ければ妻が手を出していたことだろう。 「は、入った」という息子の達成感溢れる声に、俺は子供たちが一線を越えたのを知った。 「やっと入ったか。どうだ、誠? 沙織の味は」 「な、なんかすごい……ヌルヌルする」声を震わせ、誠がつぶやく。 「あ、あたしの中に、誠のが入ってるんだ……」さすがに沙織の声も緊張していた。 だが二人とも、近親相姦という異常な性行為をおこなっているとはとても思えない、法悦の表情を顔に浮かべていた。 今までこいつらにシスコンやブラコンの気があるとは思ってなかったが、こうして沙織と誠のまぐわいを眺めていると、実に仲睦まじい。 「あっ、ねえっ、姉ちゃんっ」 沙織の体に埋もれて陰茎をねじ込んだ誠は、興奮した面持ちで数回、腰を沙織に叩きつけると、大げさな声をあげて早々に果てた。 肉棒が沙織の中からずぶりと抜け、白濁を撒き散らす。 さすがに童貞は早いが、沙織は機嫌を損ねたらしく、誠を叱りつけた。 「こら、あんたなに先にイっちゃってんのよ。早すぎ」 「ご、ごめん、姉ちゃ……」 情けない顔で謝罪する誠の体に、下になった沙織が腕を回してぎゅっと密着する。 「でも、まあ仕方ないか。あんたって、昔から忍耐なかったもんね」 苦笑し、誠の頭を撫でて慰める沙織の姿は、泣き虫だったこいつをあやしていた幼少の頃と全く変わっていなかった。 隣では俺と同じことを考えたのか、妻がくすくす笑っている。 その光景の一部始終が、俺の手の中のカメラに記録されていた。 これはのちのち最高のホームビデオになるだろう。AVとしては微妙かもしれないが。 「姉ちゃん……次は俺、ちゃんと我慢するから」 誠は沙織の首筋に舌を這わせ、名誉挽回とばかりにまたも愛撫を始めた。 何をどうすればいいかよくわかっていない、血気にはやる若者らしい拙いテクニックだが、誠は誠なりに姉への歪んだ愛情を、懸命に表現しようとしているのだ。 乳房を吸われ、乳首でも噛まれたのか、沙織がわずかに喘ぐ。 「んっ、誠――それ、いい……」 「こう?」 褒められて調子に乗った誠が、執拗に双丘を責めたてる。 ぷるぷる弾む脂肪の塊が唾液でベトベトになり、思わずレンズ越しに見惚れてしまった。 あの巨乳を食べたい。孕んで母乳でも出すようになれば、さぞかし甘露だろう。 久方ぶりに雄の欲求を刺激された俺は、妻のチョップで我を取り戻した。 「何を考えてるんですか。自分の娘に欲情しちゃって」 「す、すまん」呆れた様子の妻に詫びる。「でも仕方ないだろ? こんなもん見せられちゃ」 「したいなら、後で私がいくらでもさせてあげます。今はちゃんと撮って下さい」 そっけない声で言って、妻は再び息子たちに視線を向けた。 誠は沙織の性器に顔を押しつけ、舌で自らが放った精液をかき出していた。 正直、俺ならあんまりしたくない行為であるが、若さ溢れる誠にとっては、ベッドの上でのありとあらゆる出来事が興味と研究の対象となるらしい。 ぴちゃぴちゃと卑しい音をかき鳴らし、鼻先で陰核をつつく。貪欲に性器を味わう。 沙織は誠の頭を押さえ、「ひゃっ」とか「んああっ」とか可愛い嬌声をあげ続けた。 そんな初々しい姉弟の交わりを前にして、俺も自分の初体験を思い出した。 小柄で可愛くて、ちょっぴり天然の入ったクラスメートの女の子。 ささいなきっかけから話をするようになって、一緒に勉強したり、映画を見に行ったりの至極まっとうなおつき合いの末、部屋に呼ばれたときに処女を奪った。 初めてのくせにクンニであっさり絶頂を迎え、俺に中出しされながら潮を吹いてイキまくっていたエロいエロい女の子。 その子は今、俺の隣で子供たちの乱行を静かに見守っている。 「ふふっ。誠のあの顔ったら、お父さんそっくりね」 「そうか? 沙織のイキっぷりなんか、お前と瓜二つなんだが」 そんなほのぼのした会話を交わしている間に、誠と沙織は二度目の結合を開始していた。 今度はバックから挿入するようだ。むっちむちの尻に爪をたて、誠がいまだ萎えない肉棒を突き入れる。 「んあっ、あっ、まことっ」 何度か出しているからか、今回の誠はいきなり射精するような真似はせず、じっくり姉の膣内を味わっているようだ。 だらしなく頬を緩め、ぐにぐに自分の腰を押しつける姿は実に幸せそうだ。 一方の沙織は、絶頂を迎えて体全体が敏感になっているようだ。 犬のように這いつくばり、誠が身を打ちつけるたびにあられもない声で泣き喚いた。 「ひぃ――ちょ、ま、待って! ストップ! すとおっぷ!」 「はあ、はあっ、姉ちゃん、ごめん! 止めらんないっ!」 実の姉との交尾に励み、ブルブル震えて子種を植えつける誠。 そしてそんな弟に犯され、髪を振り乱して狂喜する沙織。 どちらも俺の自慢の子供たち、可愛い息子と娘だった。 二人の絡み合いはそれからも続き、座位から屈曲位まで、あらゆる体位で交わった。 特に誠は童貞だからか、この機会に今までたまった分をまとめて清算しようと、見ているこっちが不安になるほどの勢いで、沙織の穴という穴に精液を注ぎ込んだ。 しかし沙織がアナルOKだったとは知らなかった。後で痔に気をつけるよう言っとこう。 そして俺は子供たちの映像を撮り終えて満足し、妻と二人で下に戻った。 何とも素晴らしいビデオが撮れて、俺の鼻息は荒かった。特に最後のシーン、焦点の合わない虚ろな瞳をこちらに向けた沙織のアヘ顔と、弟の濃厚なザーメンをごぽごぽ溢れさせる肉壷のアップは会心の出来だ。親戚や知人に見せて回ってもいいくらいである。さすがにヤバいからやらないけども。 ビデオを片づけると、待っていたかのように妻がしなだれかかってきた。 「ねえあなた、私たちもしましょ。ね、いいでしょう?」 まさか否と言えるはずがない。俺は妻をベッドに押し倒し、久方ぶりにその肉体を貪った。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ こうして、性欲を持て余していた子供たちの欲求不満は解決した。 それからは誠も沙織も、以前のように俺たちの目の届かないところでこっそりオナニーに励むようなことはほとんどしなくなって、ヤリたくなったらいつでも姉弟で欲望を発散するようになった。 何せ親公認なのである。親の目を気にせずヤリたい放題というのは恐ろしいもので、仕事から帰ってきたら居間で沙織が誠のをしゃぶっていたり、いつまで経っても風呂から出てこない二人を呼びに行ったら、浴槽の隣で抱き合って仲良く精液まみれでのぼせていたりと、さすがの俺も呆れ果てたことが一度ならずあった。 妻はそんな息子たちを見て、「子供の頃を思い出して微笑ましい」などと言っていたが、この親にしてこの子ありといったところだろうか。俺が言うべきことでもないだろうが。 しかし誠も沙織も、毎日毎日ただ猿みたいにヤってばかりいたわけではなかった。 姉弟エッチを始めてからというもの、二人とも気持ちに余裕ができたようだ。 沙織の顔色は目に見えて良くなり、日頃の態度もとても柔らかくなった。生活にもメリハリが利くようになって、成績も上がり、そのおかげで沙織は翌年、無事に志望校に合格した。 ただ、新たな問題が一つ。 この見事なボテ腹で大学に通えるんだろうか。 ひょっとしたら入学早々、休学することになるかもしれない。 まったくこいつらは、親に手間ばかりかけさせやがって。 だが、パンパンに膨れた自分の腹を撫でて微笑む娘を見ていると、なぜかこっちまで幸せな気分になってしまう。まったく不思議なものだった。 妻と子供たちの会話に静かに耳を傾けながら、俺は休日の午睡を堪能していた。 「もうすぐ産まれるね、姉ちゃん。俺たちの赤ちゃん」 「そうね。名前もちゃんと考えてあるし、いつ生まれてきても大丈夫よ」 「どっちに似てても、うちに可愛い家族が増えるわね。うふふ、楽しみだわ」 ……今さらだが、うちの家族はみんな頭がおかしいと思う。俺も含めて。 戻る |