真理奈三たび 後編

 冬の日暮れは早く、彼が窓の外に目を向けるともう暗くなっていた。冬至までどんどん昼が短くなっていく。仕方のないことではあるが、それでも日没と雲のせいで真っ暗な空ばかり見上げていては愉快なはずもない。
 彼は平凡な一戸建ての二階にある自室でカーペットの上にあぐらをかき、気乗りのしない様子で携帯電話を操作していた。
「やっと返信がきたか。瑞希のやつ、また加藤と一緒だったみたいだな……」
 あいつと一緒にいると悪影響を受けそうなんだが、と誰にともなくつぶやいて顔を上げる。
 やや鋭い目つきが特徴ではあったが、それ以外はごくごく平凡な少年だった。短く切られた髪は黒く、体格も中肉中背。顔の作りは悪くないが、人の記憶に残るほどでもない。中川という苗字は巷に多すぎるほど見受けられるし、名前の祐介も万単位で転がっているだろう。
 そんな彼、中川祐介はトレーナーとよれよれのジーンズというやはり平凡な格好で、殺風景な部屋の真ん中に座り込んでいた。
 彼が今メールをしている相手は近所に住んでいる同級生の少女、森田瑞希だった。幼い頃から幼稚園や小学校で共に過ごし、今では安直かつごく自然に男女の仲になっている。
 今日は学校の委員会の関係で少し帰りが遅くなってしまった彼だが、とりあえず先に家に帰っているはずの彼女に連絡し、一緒に宿題でもしようかと考えていたところだ。
 瑞希は内気で大人しいから、できるだけ自分がそばにいてやらないと。
 最近は友達の加藤真理奈も面倒を見てくれているようだが、やはり幼馴染として、そして一人の男としてあの少女のことが心配である。普段は冷静で無口な態度を装ってはいても、祐介は誰よりも瑞希のことを想っていた。
「なんだ、あいつまだ帰ってなかったのか? 加藤のやつ、またあいつに寄り道させやがって……」
 ケータイの画面を見つめ、軽く頭をかいてぼやいてみせる。瑞希からのメールによると、彼女はつい先ほど家に帰ってきたところらしい。あの気弱な少女のこと、友人の真理奈に半ば無理やりつき合わされていたことは容易に想像できた。
 瑞希に大事な友達がいるというのは彼にとっても歓迎すべきことではあるのだが、その友人は彼女とはまるで違って明るく積極的、そして男によくもてる女だった。破天荒な行動を好む真理奈の存在は、時として彼を不安にさせる。純情な瑞希を彼女の近くに置くことで悪影響を受けないか、とつい心配してしまうのだった。

 そのとき玄関のチャイムが鳴ったので、祐介は自室を出て下におりていった。
 瑞希からのメールの末尾に彼女がすぐここに来ると書いてあったため、確認もせずドアを開ける。果たしてそこには予想通り、制服姿の幼馴染の少女がいた。
 ……だが、しかし。
「ゆ、祐ちゃん……あは、あはは……」
「瑞希っ !? お、お前――どうしたんだ !?」
 彼女を出迎えた祐介は驚愕して立ち尽くした。
 彼の前にいるのは、まぎれもなく森田瑞希その人である。少なくとも顔と髪型はそうだ。
 だが今の瑞希は、ついさっき学校で別れたときとは随分と違った姿になっていた。
 百五十あるか疑わしかった背丈は二十センチ近く伸び、彼とあまり変わらなくなっている。小さくか細かった体や手足も見違えるほどボリュームを増し、年頃の女性らしく全体的に丸みを帯びてバランスの良いシルエットを形作っている。AカップだかBカップだか彼も知らない――というより聞くのをはばかられる――ささやかな胸も、今ははちきれんばかりの巨乳となって制服の胸元で窮屈そうに弾むばかり。腰の位置は祐介よりも高いところにありそうで、冬だというのに丈の短いスカートからはむっちり適度に肉がついた太ももが顔をのぞかせていた。
 プロポーションが完璧にとれた女の肉体。それが今ここにある。
 そして、その首から上だけはいつもの瑞希の童顔と黒髪のツインテール。アンバランス極まりない幼馴染の姿に、祐介はただ黙って硬直するしかなかった。

 そうしてドアを開けたまま、玄関先でたたずむこと数十秒。
「――くしゅん!」
 瑞希の大きなくしゃみにようやく我に返り、彼は少女を家の中に迎え入れた。はっきり言って何が何だかさっぱりで、夢でも見ているのかと思ってしまったが、グラマーな瑞希は確かに現実のものとして祐介の前に存在している。
 寒そうに震える瑞希にとりあえず熱い茶を飲ませ、二人で彼の部屋に向かうことにした。幸いにも今日は両親の帰りが遅く、彼女の異様な姿を見られずに済む。
 狭い部屋の中、瑞希と向かい合って腰を下ろした祐介は、おどおどしている彼女から断片的ながらも事情を聞き出すことができた。
「……てことは加藤の友達ってヤツに、そんなカッコにされちまったのか」
「う、うん。明日には元に戻してもらえるそうなんだけど……」
「いいから今すぐ戻してもらってこい。問答無用で」
「そ、それはできないんだって……だから明日までこ、このまま……」
「うわ、マジかよ? しかし見れば見るほどすごい違和感だな、お前……」
 幼児体型の幼馴染が、驚くほど肉感溢れる女体になって自分の前に座っている。普通の男なら興奮して襲いかかっているところだが、祐介にとって今の瑞希の姿は不自然そのもの、喜びより戸惑いの方が強く、手を出す気になどなれなかった。
 いったい彼女の両親は急成長した娘を見てどんな反応を示すのだろうか。むしろそちらの方が気になるくらいである。
(まるで加藤みたいな体になっちまって……。何がどうなってんのかわからんが、もう瑞希をあいつに近づけない方がいいかもしれんなあ……)
 祐介がカーペットの上でぼんやり考え込んでいると、不意に瑞希が彼を見つめて声をかけてきた。
「あ、あのね祐ちゃん……」
「ん? なんだ」
 正座をして彼の方に身を乗り出す瑞希。紺色のセーラー服の胸元は気持ち良く揺れ、スカートの裾からは二本の太ももがはみ出している。
 その光景に思わず唾を飲み込んでしまい、祐介は慌てて首を横に振った。
(いかんいかん、瑞希もこんな体になって困ってるじゃないか。そんなときに俺ってやつは……)
 にわかに首を振り出した彼氏を不思議そうな瞳で見つめ、彼女が言葉を続ける。
「あのね、今の私の体なんだけど……祐ちゃんはどう思う?」
「どう思うって、どういうことだ?」
「だからいつもの私と比べて、いいか悪いかって話……。こ、こっちの方がいいかな?」
 妙に真面目な表情で問いかけてくる幼馴染を見返し、質問の意図を把握しようとする。
 瑞希の顔はそこそこのレベルだが、首から下は残念ながら完璧な幼児体型と言わざるをえない。本人も祐介も普段はそのことに一切触れないが、こうして女らしい体になった今の姿を見せられるとやはりどちらも心の隅で、いつもの彼女と比較してしまう。
 ――ひょっとして瑞希は自分に、今の姿の方がいいと言ってほしいのだろうか。
 ふと祐介の頭の中でその疑問が持ち上がり、どう答えたらいいか判断を迷わせた。
「んー、そうだな……」
 たっぷり十秒は思案に暮れてから、慎重に言葉を選び出す。
「瑞希がどんな見た目でも、俺はお前が好きだ。クサいセリフで悪いけどな」
「祐ちゃん……」
「そりゃ、お前はペチャパイでガキっぽいちんちくりんだけどさ。でも俺は、そんなお前とずっと一緒だったんだぞ? 今さらそんなの気にしないって」
「…………」
 そこで彼女はじっとして祐介と見つめ合う。何も言わず何もせずに時を止め、いい加減彼が不安になってきた頃、身を引き小さくつぶやいた。
「そ、そうだよね……変なこと聞いてごめん……」
 どこか決まりが悪そうに、そしてほっとした表情で息を吐き、その場に再び座り込む。
 理屈ではわかっていても、心の底で劣等感を抱いていた自分の体。その全てを祐介に肯定してもらい、彼女は涙さえ浮かべてへたり込んでいた。
「おい、どうしたんだよ? ベソなんかかきやがって」
「ご、ごめんね……でも、なんか嬉しくて……グスッ……」
 こんなとき、真に必要なのは言葉ではなく行動だ。彼はやれやれといった表情で彼女の体を引き寄せ、そっと腕を回して抱きしめてやった。互いの体で二つの巨乳を押し潰し、背中を優しくさすって慰める。すすり泣く幼馴染を抱きながら、祐介は変わり果てた彼女の体をじっと見下ろしていた。
「瑞希……泣くな、泣くなって……」
「う……うぅ、祐――ちゃん……!」
 泣きはらした目を真っ赤にし、しゃくりあげる少女。祐介の体がほんの少しだけ離れ、今度は顔と顔とが向かい合う。二人はそのまま目を閉ざし、軽く開いた唇を触れ合わせた。
「…………」
「ん……んむっ……」
 先に舌を入れたのは瑞希の方だ。待ちかねたように旺盛な食欲を示し、祐介の肉と唾液とを味わおうと必死で暴れまわる。彼は口内で激しく動く瑞希の舌を黙って受け止め、そのまま自然に自分の舌を絡めた。
 ぴったり塞ぎ合った唇と、その中で淫靡に蠢く一対の触手。女が男を慕い、男が女を想う両者の接吻は息が苦しくなるまで続けられた。
 やがて大きな息を吐き、わずかな距離を挟んで二人は再び顔を見合わせる。
 そして瑞希はふっと微笑み、着ている服を一枚ずつ脱いでいった。
 衣擦れの音が響き、レースの入った桃色のブラに包まれた乳房がぶるんと揺れる。祐介の両手でもふんだんに余るほどの肉の塊が瑞希の胸元で弾んでいた。後ろから手を差し入れブラの上からわしづかみにすると、少女は軽く声をあげて息を吐いた。
「あんっ――はぁっ……!」
「しかしデカいな……それとも、いつものお前の胸が小さすぎるだけか?」
「やぁ、言っちゃ駄目ぇ……!」
 普段真理奈から“貧乳どころか平乳”と面白半分で揶揄される瑞希である。その親友の豊満な乳房を我がものにして心ゆくまで重力を満喫し、さらにそれを自分の彼氏に揉みしだかれるさまは彼女を高ぶらせずにはいられなかった。
 祐介の手が背中を這い回りホックが外されると、瑞希は逆らうことなく腕を回してそのまま彼に下着を剥ぎ取らせた。肉を包む胸当てがなくとも瑞希の乳房は形良く張り出し、空気に触れて寒そうに肌を震わせた。
 肩がこりそうなほどの脂肪の重み。綺麗な円を描く乳輪と、その先端の小さなつぼみ。日頃から何気なく見てきた、そして密かに羨望を抱いていた親友の乳が自分の体についている。不思議な感動を覚えた瑞希だったが、その感慨はすぐに中断させられることとなった。
「あっ !? ゆ、祐ちゃ……いきなり吸わないでよ……」
「何だよ、いつもこうしてやってるだろ? 今日は食べ応えがありすぎだけど」
「ん、んんっ……んあ、あふぅっ!」
 いつの間にか正面に回りこんだ祐介が彼女の胸を持ち上げ、赤子のようにかぶりついている。普段は味わえない感覚に少女は身をよじり、何度も何度も彼の名を口にした。
 一方、祐介も瑞希の巨乳に夢中になってむしゃぶりつき、つぶらな乳首を舌先で転がした。
 さっきはああ言ったものの、やはりこうして味わうなら胸は大きい方が良い。今まで特に大きさなど気にしていなかった彼だが、このままこの肉饅に食いついていると思わず宗旨替えをしてしまいそうな危機感を自覚させられる。
 照れ隠しも手伝って、祐介は手を下に回して瑞希のスカート、そしてやはり派手なピンク色のレースのパンツをゆっくり、そしてじっくりと脱がせていった。

 もはや瑞希の身を覆っているのは黒の厚手のハイソックスのみ。電灯の下で露になった彼女の淡い褐色の肌と色白の頭部との境界が、首筋に一本の真っ直ぐな線を描いていた。
「どうしたの? 祐ちゃん」
「ん? いや、お前の首に線が入ってるから、何だろうと思ってな」
「あ、それは……繋げてもらったから……」
「繋げてもらった……?」
 よくわからなかったが、瑞希の首から下は誰か別人の体なのかもしれない。もしそうなら、このまま肌を重ねることに抵抗がないでもなかった。
 ――素直に教えてもらえないかもしれないが、一応聞くだけ聞いておこう。
 祐介はそう思い、静かに彼女に問いかけた。
「なあ瑞希、このお前の体……首から下なんだが、誰か他のヤツの身体か?」
「うん……実はこれ、真理奈ちゃんの体なの……」
「加藤の…… !?」
 あまり当たってほしくない予想が的中し、瑞希は先ほど言い残した説明を全て語ってくれた。
 真理奈が退屈だと駄々をこねたこと。そのせいで瑞希と真理奈の首がすげ替えられたこと。入れ替わった真理奈が事態を面白がり、瑞希の体のまま帰ってしまったこと。
 途中から呆れ果ててしまったが、何とか事情を聞き終え、彼は大きなため息をついた。
「はあああ……何だよ、結局あいつのせいじゃねえか。あの馬鹿野郎め、瑞希の身体を持ち逃げしやがって……」
「ゆ、祐ちゃん、怒らないで……」
「……お前に怒ってもしょうがないだろ」
 短く吐き捨て、もう一度瑞希の体を乱暴に引き寄せる。小さく悲鳴を上げた少女を無視し、祐介は彼女をカーペットの上に仰向けに押し倒した。
「きゃっ――ゆ、祐ちゃん……?」
「決めた。今日はその加藤の体とヤりまくる」
「え?」
「ムカついたからあいつへの仕返しに、今日は生で犯しまくってやる。まったく、お前も嫌なときは嫌だってはっきり言わないといけないんだぞ?」
「ちょ、ちょっと祐ちゃ……あぁんっ !?」
 祐介の左手が乳房を、右手が秘所を這い回る。
 瑞希のものになった真理奈の性器は、先ほどの乳房への愛撫で感じていたのか、それとも単に情事に慣れているだけか、軽く触れただけで湿り気を帯び始めた。
 何人もの男を侍らせた真理奈の秘所である。当然、男性経験は瑞希と比べ物にならないはずだが、祐介にも瑞希にも、その数の見当さえつけることができなかった。
「ふん、もう濡れてやがる……さすがあいつの股だな。エロすぎだ」
「ま、待って祐ちゃん……ちゃんとゴム、つけて……」
「別にいいさ。加藤の体なんだから、お前が心配することないって」
 陰唇を開かせ、入り口を指の腹でこすり上げる。乳首をつねり上げたことも加わって、瑞希の口から悲鳴とも嬌声ともつかぬ叫び声があがった。
(まったく……加藤のやつ、瑞希の身体を勝手にもてあそびやがって……)
 体を奪われた本人ではなく、なぜか自分の方に静かな怒気が湧いてくる。
 考えてみれば昔からそうだった気がする。内気で人との争いをあまり好まない瑞希は少し相手に凄まれただけで怯え、しなくてもいい仕事を押しつけられたり、ノートや筆記具を持っていかれたりするのである。挙句の果てに今回は、大事な身体を他人のものとそっくり交換してしまうなど――。
 おそらくあの勝気な女が、瑞希の身体を無理やり奪っていったのだろう。まったく非常識極まりない。祐介は少女の股間と乳房を撫で回しながら、ひとり真理奈への怒りをかきたてていった。
「はぁっ、ふああっ! あぁんっ !!」
 蜜の漏れ出した陰部に、今度は人差し指を突き入れる。大柄な瑞希の性器は苦もなくその指をくわえ込み、関節に雫を塗りたくった。
 中で軽く曲げ伸ばしして“の”の字を描くようにこねくり回す。喘ぐ少女を押さえつけ、次は中指も加えた二本の指で肥肉を貫く。
 やはりこの膣は瑞希本来のものより広く、彼の激しい愛撫にも苦しげな様子を見せなかった。むしろ刺激すればするほど汁を垂らして音をたて、五感を駆使して彼の理性を蝕んでくる。
 熟れた肉壷をかき回し、豆の包皮をこすり立て、張った乳房にかぶりつく。いつしか彼は真理奈への怒りを忘れ、ただ本能と欲望だけで瑞希を責めたてていた。
「ひああぁっ――はあ、あぁぁあっ !! やあぁっ!」
「もうグショグショだな……入れちまうか」
 洪水になった秘所から指を引き抜くと、ジーンズの中から勃起した肉棒を取り出す。
 寝転がった瑞希はあられもない痴態を晒していた。唾でベトベトになった胸の先端では二つの乳首がぴんと立ち、やや毛深い股間はよだれを垂らして祐介が突き入れるのを待ちわびている。カエルのように曲げられた肉づきのいい美脚も、だらしなく伸ばされた柔らかい腕も彼が望めばいくらでももてあそぶことができる。
 そしてそんな身体の上、首の部分には馴染みの少女の頭部がくっついていた。苦しそうな呼気と細められてうるんだ瞳が彼に向けられる。
 顔立ちこそ幼いが、その首から下は目を見張るほどの肉感を誇る今の瑞希。祐介はそんな彼女の腰を押さえ、のしかかる形で自分を突き込んでいった。
「ああ……駄目ぇ、駄目だよ……祐ちゃあん……」
「む、意外と締まるな……しかも絡みついて……やべ、気持ちいい……!」
「お願い祐ちゃん……ゴム、ゴムつけてぇ……生は駄目ぇ……」
 正上位のまま激しく腰を揺さぶる祐介に、彼女の声は届かない。
 これは自分のではなく、大事な親友の身体を借りているだけなのに。
 ちゃんと避妊をしてくれないと、後で真理奈に申し訳が立たなくなる。涙をぼろぼろこぼして懇願する瑞希だったが、彼は心地よさげに腰を振るばかり。
 この体と祐介との相性は決して悪くなかった。それどころかいつも自分の体でする以上の快感が彼女の理性を焼き尽くし、何も考えられなくなるほどだ。
「はあぁんっ! んっ、んぐぅっ、ああぁぁっ !!」
 避妊具もつけない彼の陰茎が瑞希の中をほじくり返し、敏感な襞を摩擦する。激しい性交の快感によがり狂う真理奈の肉体に引きずられ、彼女は次第に意思を喪失していった。
 犯す側の祐介もまた、予想以上の高ぶりに自分を抑えることができないでいた。瑞希の腰を結合部ごと持ち上げると、音が鳴るほど強く肉を叩きつける。
 ねっとり絡みついてくる肉と高熱のスープ、そして自分を根元まで飲み込める奥行きの広さ。いずれをとっても普段の瑞希とは段違いの感度を誇り、悔しいがこの体の良さを認めざるをえない。
(くっそ、気持ちいい……たまらねえ……!)
 祐介の女性経験は瑞希一人だけ。比較対象としては少なすぎたが、それでもこの真理奈の膣が人並み以上の名器だということは確かな実感として理解できた。
 これは真理奈への仕返しなのだという正当な怒りもどこかへ消えうせ、気がつけば彼はただ快楽のためだけに腰を振り、彼女の中をかき回していた。
 男を受け入れて狂喜し、襞と汁とでもって彼を責めたてる膣内。胸元では豊かな肉の塊が前後に揺れ、あり余る弾力を見せつける。そしてその持ち主はどう見ても中学生、下手をすれば小学生にも思える童顔の幼馴染。
 自分を取り巻く奇異な状況と肉欲の高ぶりとに、彼はとうとう限界を迎えた。
「うっ……で、出る――瑞希、出すぞっ!」
「うあ、あぁぁあっ !! 駄目、駄目なのぉっ !!!」
 無意識のうちに瑞希の肉に爪をたて、奥の奥まで肉棒を突き入れる。瑞希の思いとは無関係に、蜜に満ちた真理奈の膣は思い切り収縮して彼に射精を要求した。そして濃厚な子種が前立腺から尿道を経て、女性器へと勢い良く注ぎ込まれる。
「うぅっ! う、はあぁ……出ちまった……」
「ああぁ……駄目、駄目って言ったのにぃ……祐ちゃんのバカァ……」
 祐介の精子が真理奈の卵子を目指し、一直線に彼女の中を泳いでいく。時機であれば両者は無事受精を果たし、愛し合ってもいない二人の遺伝子が混じり合うかもしれない。
 たっぷりと精を放出した彼はしばらく膝立ちの姿勢で身を震わせていたが、やがて力なく息を吐き、抱きかかえた相手の顔を見下ろした。
 気を失ってはいないようだが、瑞希は頬を濡らしてしゃくり上げていた。
「う、うぅ……グス、ひっく……」
「ほら、泣くなよ瑞希」
「だ、だって……これ真理奈ちゃんの体なのに、思い切り中に出しちゃって……ううぅ……!」
 涙ながらの懇願にも関わらず避妊を無視され、たっぷりと射精された瑞希。これが自分のならまだしも、大切な友人の体なのだから泣きじゃくるのも無理はなかった。
 せめて避妊具をつけていればまだ良かったのだが、もし妊娠してしまったらどうするのか。最悪、責任を取って祐介と真理奈が結ばれてしまう可能性すらあるのだ。心配性の瑞希の不安はどんどん、果てしなく膨らんでいく。
「ほら瑞希、落ち着けって……」
 そうして彼女がすすり泣いていると、不意に彼が腰を持ち上げ、膣の奥を軽く小突いた。
「はぁんっ…… !? や、やめて……祐ちゃん抜いてぇ……!」
「だってお前も気持ち良かっただろ? 加藤の体でするセックス」
「そ、そうだけどぉ……でも、ちゃんと避妊しないと……」
「お前、自分のことは無頓着な癖にあいつのことは気にするんだな。たまにはお前も他人に気を遣わないで、やりたいようにやってみろよ?」
 どうせ加藤だしな、何があっても大丈夫だって。そう言って祐介が空いた手を彼女の乳房に伸ばす。緩やかに腰を動かしつつ張りつめた胸を撫で、揉みしだく。
「やぁ、祐ちゃ、ゴム……お願いぃっ……!」
「くっ、締ま……また出るっ――くうぅっ…… !!」
 なし崩しに再び交わり始めた二人の性器は、いつまでも歓喜の声をあげて繋がり続けた。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

 その晩、加藤直人はただひたすらに困惑していた。
「なーおとっ、ほらおいで♪」
 上機嫌の彼女に呼ばれ、つい条件反射でその手をとってしまったが、この不可解すぎる事態に、彼の頭の中では先ほどから疑問符が点滅を繰り返していた。
 直人は同年代の男の子と比べても小柄で、繊細な雰囲気を持った少年だった。整ってはいるが線の細い顔立ち、短いながらもさらさらした美しい黒髪から小六になった今でも少女に間違えられることがあり、本人もそれを気にしている。性格も優しく気弱で、ほんの少し前までは級友たちに毎日泣かされる始末だった。
 その彼が一番好きな相手が、ここにいる従姉の真理奈である。
 彼女は昔から面倒見が良く、あれこれと彼の世話を焼いてくれていた。明るくて美人の従姉は幼い彼にとっては憧れの存在であり、初恋の相手でもあったのだ。
 また真理奈の方も、小さいながらも賢くて可愛らしい直人のことを憎からず思っているようで、いつかこの従弟が自分にふさわしい立派な男に成長する日を楽しみに待っている。もっとも真理奈がただ待つだけの女であるはずがなく、既に直人に手を出してしまっていたが。
 気に入った相手となれば、小学生にも平然と性行為を強要するのが加藤真理奈という女だ。直人の両親が海外出張のため自分の家で預かっているのをいいことに、小心な彼をリードして自分好みの男に育て上げるつもりらしい。
 そんな訳で今夜も直人は従姉と褥を共にし、性の手ほどきを受けることになっていたのだが――。
「お……お姉ちゃん、どうしちゃったの?」
 真理奈は女性にしては長身で、小学生の標準よりも背が低い彼はいつも見上げなくてはならなかった。頭一つ分にもなる身長差。これが自分と従姉の歳の差なのだと日々思い知らされてきたのである。
 ところが今はどうしたことか、真理奈の目線は自分とほとんど変わらなかった。顔はいつも通りの真理奈でありながら、手足は華奢で背も低く、まるで小学生かと思ってしまう。
 大きく魅力的だった尻も胸も真っ平ら、かなりずん胴の幼児体型だ。普段は彼女の膝上辺りまでを覆う桃色のワンピースのナイトウェアも今は足首にまで届きそうなほどで、まさにぶかぶかの状態だった。
 いったい従姉はどうしてしまったのか。まさか幼児化したとでも言うのだろうか。学習塾で疲労を溜めた直人はろくに頭が回らず、戸惑うことしかできなかった。
「うふふ、大丈夫よ。あんたは気にしなくていいから」
 目を丸くする少年に明るく笑いかけ、真理奈がその正面に立つ。こうして向かい合うと、自分とこの従弟が同い年になったような気がして苦笑してしまう。
 大きすぎるナイトウェアを脱ぎ捨ててパンツだけの姿になった。ブラジャーは当然のごとく手持ちのものではサイズが大きすぎたし、そもそも必要がないようにさえ思える。自分のものになった瑞希の体を見下ろしながら、真理奈はにやにや笑っていた。
「じゃあ直人、今日もあたしとエッチしようね」
「う、うん……」  真理奈と共にベッドに上がり込み、パジャマ姿のまま抱きしめられる直人。日頃こうしていると真理奈の豊かな胸や力強い腕がよく実感できるのだが、今はまるで同級生の少女と抱き合っているような錯覚を覚える。
 本当にこの女は憧れの真理奈なのだろうか。思わず疑ってしまう直人だったが、すぐ目の前にある彼女の顔は、相変わらずの大人の表情で彼に微笑みかけている。
(まりなお姉ちゃん……ほ、本物だよね……?)
 真理奈の小さな手が直人の寝巻きにかかり、下をゆっくり脱がせていった。白いブリーフをずらされ、まだ小ぶりな男性器が恥ずかしげに顔を出す。彼女はその肉棒をもてあそぶように指で挟み、軽くしごき始めた。
「う……ん、あぁ……お、姉ちゃ……!」
「ふふ、どう? いつものあたしとどっちが気持ちいい?」
「え? そ、そんなこと聞かれても……」
 好奇心をむき出しにした真理奈に問われたが、答えられるはずもない。声が漏れる口を右手で押さえ、直人は無言で首を横に振った。
「ん〜、残念……。しっかし手だけってのも面白くないわね。でもこの胸じゃ挟めないし、フェラじゃいつもと変わんないし、どうしよっかな〜?」
「はぁ、ああぁっ……あぁっ!」
 袋と竿の根元を左手でつかみ、もう一方の手で幹と先端をしごき続ける。手馴れた真理奈の動きに、まだ経験の浅い直人は喘がされるばかりだった。すぐに肉棒はぴんと立って上を向き、未熟ながらも一人前に勃起してみせる。真理奈はその様子を目を細めて眺めていたが、やがて両手の動きを止めた。
 楽しそうに笑いながら直人を見つめる従姉。
「はぁ、はぁ……まりなお姉ちゃん……?」
「ふふふ……今度はあたしのを舐めてちょうだい」
 唯一残されたピンクの下着も脱ぎ捨て、一糸まとわぬ姿になる。蛍光灯の明かりに照らされた真理奈の肉体は、普段の官能的な肉欲ではなく、まだ幼い少女の愛らしさを直人の網膜、そして脳裏に焼きつけた。
 直人は仰向けになって寝転がった真理奈の両脚に手をかけ、ゆっくりと開いていく。
「あ……」
 日夜こうして性の知識を教え込まれているので、今さら女性器を見てもそううろたえはしない。だが今の彼女のその部分は日頃と比べ物にならないほど毛が薄く、入口も随分と狭そうだった。普段と全く異なる真理奈の割れ目の姿は、彼に新鮮な驚きを強要してやまない。
「こ、ここも小さくなってる……」
「そうよ。あんたにはこっちの方が、大きさ的にちょうどいいかもしれないわね」
 直人は内心の興奮を抑えつつ、だんだん近づいていく。そして真理奈の股間に完全に顔をうずめると、目を閉じて性器を舐め始めた。まだ湿っていない陰唇に唾を塗りたくり、舌で慎重に撫で上げていく。物慣れない少年の動きはたどたどしくもあったが、真理奈は半ば意識して声を漏らしていった。
 ――やはり感度がいまいち、見た目もそそらないだろうから雰囲気を出してやらないと。
 そう思って声と息とを吐き散らし、少年の名を連呼する。
 従姉の太ももを持ち上げた姿勢で、直人は犬のようにその秘所を貪り尽くした。
「あ――直人……ん、上手よ……」
「んっ、んん……」
 割れ目の左右を充分に舐め上げ、そして上へゆっくり移動していく。包皮に包まれた陰核はまだ露出していなかったが、彼は両の唇で真理奈の上半分をくわえ込むと舌先で優しく、だが執拗にクリトリスをつつき回した。
「あぁっ、いい……はあぁっ…… !!」
 普通の小学生にはとてもできない行動だが、これも彼女の教育の成果である。直人は賢くて物覚えが良く、しかも真理奈に絶対服従。彼女の方もこの年下の従弟をたいへんに可愛がっており、こうして毎日のように早すぎる性教育を施しているのだった。
 そろそろ男女の違いを意識し始める年頃の少年にとって、この従姉と過ごす日々は刺激が強すぎたが、どちらもやめようとする意思はなく、まさにやりたい放題といった状況だ。
「んむっ……ん、ちゅ、ぷはぁっ……」
「んっ、んああぁっ……あああぁんっ !!」
 ブルブル身を震わせ、真理奈が背筋を反らして唾を吐く。いつもの彼女と比べて絶頂に至るまでの時間がやや短かった気がしたが、それもこの身体の異常のせいだろうか。
 直人は従姉から一旦離れ、勃起した自分の陰茎を押さえて彼女を見守った。
 細められた目はとろんとして焦点が合わず、熱い息の漏れる唇からは一筋の唾液が垂れ下がっている。ベッドの上で仰向けのまま絶頂の余韻にひたる幼い少女。今の真理奈はそんな存在だった。
(それにしてもお姉ちゃん……ちっちゃくなって、なんか瑞希さんみたい……)
 以前この家に遊びに来た真理奈の親友、森田瑞希の姿が頭をよぎる。
 彼女も直人と同じく内気で気弱、その上小柄でかなりの幼児体型。あまり真理奈と共通点があるようには見えなかったが、不思議と仲はいいらしい。
 今の彼女を見ていると、まるで頭部以外がその瑞希のものになってしまったような錯覚に囚われる。その考えは事実を正確に捉えていたのだが、事情を知らない彼にそれ以上の推測は不可能だった。
「はぁ、はぁ……直人……」
「まりなお姉ちゃん……?」
 ようやくこちらに声をかけてきた真理奈。その表情だけは平生の加藤真理奈だ。
 彼女は軽く身を起こし、両手を広げて直人を誘ってきた。
「ごめんね、あたしだけ気持ち良くなっちゃって。あんたもそろそろしたいでしょ? ほら、こっち来て……」
「う、うん……わかった……」
 腰から下が素っ裸の少年と、一糸まとわぬ全裸の少女。顔以外はあまり変わらない年頃に見える二人の男女が近づき、静かに身体を絡め合った。
 仰向けの真理奈にのしかかり、直人がパンパンに膨張した自分のものをぐっとあてがう。真理奈も従弟の体に腕を回し、抱き合ったままゆっくり彼を受け入れていった。
 彼女の首から下、瑞希の性器が真理奈の意思で直人のものと結合して一つになる。
「う……あ、お姉ちゃ……!」
「んんっ――ふ、太いぃ……っ !!」
 小学生の未成熟な肉棒でも今の真理奈の膣を満たすには充分だった。日頃は物足りないサイズで不満の残る性交も、今は激しい快感となって彼女の脳を侵す。
 直人も直人で、自分の肉棒を締めつける狭い膣の感触にこれまでにない刺激を感じ、我を忘れて腰を動かし、結合部を力の限りかき回した。
「あぁっ……! いい、直人いいよぉっ !! あんた最高っ !!」
「うあ、あつ――こ、これなに…… !?」
 普段は年頃の男のものを苦労してくわえ込んでいる肉壷だ。小学生の大きさがちょうどいいというのは情けない話で、持ち主が聞けば怒るかもしれなかったが、今の二人はこの性器の組み合わせに存分に喘ぎ、あられもない痴態を晒して乱れ狂った。
 真理奈と祐介、瑞希と直人。たとえ愛はなくとも体の相性は極めて良好らしい。
 直人が真理奈を押さえつけ、浅い部分を円運動で責めたてる。心地よい快感に彼女が背筋を震わせていると、突然奥まで一気に突き入れられた。
「ふあっ !? ああ――あぁ……!」
「おねえちゃ、おねえ……まりなお姉ちゃあん……」
 愛しげに自分の名前を呼んで腰を振り続ける従弟。
 女を喜ばせるテクニックを順調に習得しているのは好ましいことではあったが、今の真理奈にはそれを褒めてやる余裕もない。力いっぱい彼を抱きかかえ、両脚を直人に絡めて抜けないよう身を引き絞る。おかげで根元まで突き刺さった肉棒が、そのまま真理奈の奥の奥まで突き進んできた。深い部分をえぐられる刺激に呼吸が止まり、代わりに苦悶のうめきが口をついて出る。
 直人も半ば無意識のうちに動いているようで、真理奈の苦しげな姿を省みず、必死に腰を前後させた。
 まるで小学生同士の幼い交わりにしか見えなかったが、少なくとも女の方はもう子供とは言えない容姿の娘である。
「す、すご――これ、すごいいぃっ!」
 年上の余裕をすっかり無くし、小学生の男子に喘がされる真理奈。いつもはありえない混乱と困惑が胸中に湧き上がったが、決して不快なものではなかった。
 恵まれた体格、プロポーションのとれた肉体を誇りに思ってきた彼女にとって、こんな幼児体型の肉体でもこれほどの快感を得られるというのは、実に意外な発見だった。ずっとこのままでもいいとさえ一瞬ながら思ってしまったほどだ。
(まあ、さすがにそれはやめとくけどね。でも気持ちいいなあ、瑞希の体も……)
 瑞希の身体になった真理奈と、真理奈の身体になった瑞希。
 やはり彼女は自分の体で祐介を誘惑したのだろうか。彼に抱かれて鳴き叫んだのだろうか。
 従弟の少年と交わりながら、真理奈は親友の少女に思いを馳せた。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

 翌日。相変わらず客のいないドラッグストアの中で、真理奈と瑞希は元の姿に戻っていた。二人とも返ってきた自分の肢体を見下ろし、本来の身体の感触を確かめる。
「よしOK。やっぱあたしの体のが動きやすいわね」
「ああ、私の体だ……おかえりなさい」
 腰をひねって軽い運動を始めた真理奈と、腕を回して自分の体を抱きかかえる瑞希。
 そんな二人の少女を見つめ、美貌の少年は爽やかに笑ってみせた。
「で、どうだった? 二人とも、昨日は満足したかい?」
「ええ、あたしは充分。瑞希、ありがとね」
「ま、真理奈ちゃん……ごめんね」
 顔を赤らめた瑞希がうつむく。その仕草だけで彼女が昨日何をしたか容易に想像できたが、そんなことはお互い様だ。瑞希の懸念をよそに、真理奈はどこまでも上機嫌だった。
 二人の胎内にはそれぞれ恋人でもない男の精子がたっぷりと注がれ、今も卵子を求めて泳ぎ回っている。
 真理奈はくるりと一回転し、カウンターの向こうに立つ少年に言った。
「いや〜、なかなか楽しかったわよ。あんたにも感謝したげるわ」
「そう? 喜んでもらえたなら何よりだよ。どういたしまして」
「それでさ、ちょっと聞きたいんだけど、これ他のやつが相手でも首を取ったりつけたりできるのよね?」
「もちろんさ。老若男女、誰でも構わないよ」
 そこでカウンターに肘をついてもたれかかり、彼女はにやりと笑った。外の寒さも忘れてしまったのか、媚びるように少年にすがりつこうとする。
「じゃあさ、今度中川を連れてくるから、あいつの首をあたしのと交換してよ」
「えっ、祐ちゃんと !?」
 自分とつき合っている幼馴染の名前をにわかに出され、瑞希が目を剥いた。
 だが彼女は親友の困惑などお構いなく、自分の願望と欲望をずらずら並べ立てる。
「あいつなら体格も悪くないし、男の感じが味わえそうじゃない? 自分の体をあたしが襲っちゃう分には別に問題ないしさ。ねっ、お願い!」
「へぇ、それはなかなか面白そうだね。やってみようか」
「だ、駄目っ !! 駄目駄目駄目駄目、そんなの駄目ぇっ !!! 祐ちゃんにそんなことしないでっ !!」
「え〜、別にいいじゃない。きっと面白くなるって♪ どうしても嫌なら瑞希とあいつを入れ替えて、あたしがそこに加わってもいいわよ。いっそ直人も入れてシッチャカメッチャカにするのも良さそうねえ」
「よしそうだね、じゃあ早速段取りを――」
「だから、祐ちゃんを巻き込まないでってばぁっ !!」
 心底楽しそうな顔で喋り続ける真理奈と、必死でそれを止めようとする瑞希。そしてその二人のやり取りを聞いて面白がる少年。
 狭い店内には冬とは思えないほどの熱と活気が満ち満ちていた。


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