僕と香穂の冬休み

 師走って何のことかと思ったら、十二月のことらしい。その字の通り学校の先生が忙しく走り回っているかどうかは知らないけど、うちの両親がこないだからドタバタしてるのはたしかだった。今日も朝から車を飛ばし、二人でデパートに買い物に行ってしまい、僕は置いてけぼり。いや、別についていきたい訳じゃないからいいんだけどさ。人ごみは好きじゃないし。
 だから今、僕は家でひとり快適な休日を満喫している。
 外は寒くて、しかもどんより曇ってて、ひょっとしたら雪さえ降るかもしれない。そんな冬の日、わざわざ外に出かけるはずもない僕は、テレビの前に座ってゲーム機のスイッチに手を伸ばした。
 さて、このラスボスももう二十回は倒しちゃったし、次はどうしようかなあ……。
 そのとき呼び鈴が鳴り、玄関のドアが軽く叩かれた。
「優也、いるんでしょ? 開けてよー」
 明るくて透き通った女の子の声に、僕は思わず笑みを浮かべて玄関へと向かう。一人で留守番中に出ちゃいけないって言われてるけど彼女は別だ。それに、冬休みに入ってからずっと会ってなかったしね。今日も出かけるって聞いてたけど、予定が変わったんだろうか。慌ててドアを開け、その女の子と見つめ合う。
「や、香穂。入りなよ」
「はーい、お邪魔しまーす」
 その子は上機嫌で僕に笑いかけた。長袖の真っ白なブラウスがとても清潔そうだ。腰から下は青いソフトデニムのスカートで、普段こいつのズボン姿ばかり見ている僕にとってはちょっとした驚きだった。目線は僕よりほんのちょっとだけ高い。たった二センチ程度の差なんだけど、あまりいい気はしない。髪は肩の辺りできちんと揃えられ、大人しくて可愛い感じ。
 この子は香穂。マンションの隣の部屋に住んでる遊び友達で、小学校のクラスメートでもある。小さい頃から乱暴者で、結構なイタズラ好きだったけど、最近はそうでもなくて、学校でも家でも多少落ち着いた態度を見せることが多くなった。
 まあ、こいつも大人になったということなんだろうけど、その原因を作ったのは僕なんだから、それを思うとちょっと恥ずかしいような、照れくさいような気分になる。
 僕は香穂をカーペットの上に座らせ、ジュースでも出してやろうと冷蔵庫を開けた。
 すると、なぜか香穂が立ち上がり、僕のそばまでやってくる。一応お客さんなんだから、座って待っとけばいいのに。そう思った僕に香穂が言った。
「優也。私がやるよ」
「別にいいよ。はい、ジュース」
 僕が差し出した紙パックの野菜ジュースを受け取った香穂は、手元と僕の顔を交互に見比べた。そしてにっこり笑い、そのジュースをまた冷蔵庫に戻す。僕の手にあったもう一本のも、やっぱり戻す。そのまま冷蔵庫のドアを閉めた香穂は、僕の手を引いて部屋の向こう側へと連れて行った。正直言って訳がわからない行動だ。ジュースが飲みたくないんだろうか、変なやつ。
「どうしたのさ、香穂?」
 頭にはてなマークを浮かべてたずねる僕に、香穂が微笑みかけた。学校の皆には見せない、びっくりするほど可愛い笑顔に僕の心臓がドキリと跳ねる。
 彼女は戸惑う僕に背を向け、キッチンの椅子にかかっていた白いエプロンを手に取った。普段ママが使っている大人用のサイズのそれを身に着け、またあの顔でふわりと笑う。
「あのね、私、今日はメイドさんなんだ」
「メイドさん?」
 その言葉を聞いて、僕の頭の中にひらめくものがあった。そういえば、たしか香穂のお父さんが持ってる本の中に、メイドさんの話があったはず……。
 床に座って香穂を見上げ、確認するようにたずねてみせる。
「香穂、今日はメイドさんごっこ?」
「そうだよ。だから今日は優也がご主人様の役ね。いい?」
「うーん、ご主人様か。まあいいけどさ」
 そうか、今日の香穂はメイドさんの役か。納得してうんうんうなずいたけど、僕もうまくできるのかなあ。少し不安だ。
「香穂はあの本のセリフ、覚えてる?」
「うん、バッチリ覚えてきた」
「僕、あんまり覚えてない」
「テキトーでいいよ。えらそーなイジメっ子みたいな喋り方で」
 まあ、ここにいるのは僕とこの子だけだし、そこまで気にしなくてもいいだろう。僕はカーペットに腰を下ろしたまま、香穂に言った。
「じゃあ香穂、命令だ。ジュース持ってこい」
「はい、ご主人様」
 なぜかわからないけど、その返事に背中がゾクリとした。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

 僕と香穂は家がお隣さんだったこともあり、昔から仲が良かった。
 外で暴れ回るイタズラ者の香穂と、いつも家でゲームばかりしてる僕。性格は全然違うし、昔は僕がこいつに泣かされたこともよくあったけど、学校でも家でも一緒にいることが多かったせいか、こうしてそばにいても不愉快じゃない。
 ただ、僕も香穂も高学年になって周りの目を気にするようになると、自然とお互いの距離がちょっとずつ広がり始めた。
 男の子は男の子と、女の子は女の子と。誰に言われたわけでもないのにそれが当たり前になって、いつの頃からか、僕と香穂は学校でほとんど喋らなくなってしまっていた。
 家が隣同士だから、学校から帰ると一緒に遊んだり、一緒に宿題をしたりはするけれど、僕の方は香穂につき合わされるのをだんだんと面倒に感じるようになった。
 きっと中学生、高校生になったら、僕と香穂は互いにどうでもいい人になって、玄関先で顔を合わせても他人行儀に“こんにちは”なんて言うようになるんだろう。何も知らない子供心ながら、僕はそう思っていて、特にそれを変だとも嫌だとも思わなかった。
 そんな僕と香穂の関係が大きく変わったのは夏休みのときだ。
 やっぱり家でひとりゲームをしていた僕のとこにいきなりこの子がやってきて、なんと自分のお父さんが普段読んでるエッチな本を持ってきたんだ。香穂はそれをエッチ本だとはわかんなかったみたいだけど、僕は香穂にそそのかされて、その本に載ってることをいくつかこの子と試してしまった。それで知らないなりに気持ちよくなった香穂は、それ以来エッチな勉強が大好きになってしまったんだ。
 隙を見ては家からエッチ本を持ち出し、僕と一緒にその真似をする。クラスメートの誰もやってない、大人だけがする禁断の遊びに、香穂だけじゃなく僕もハマってしまったのは不覚というか、何というか。
 という訳で、いけない遊びにハマってしまった僕たちは、今日も真面目にお勉強をするのでした。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

 二人して冷えたジュースを飲み干すと、香穂は僕にしなだれかかってきた。
「ご主人様……私、ごほーしいたします」
 本に書いてあったセリフそのままの言葉を口にして、座った僕に体重をかける。日焼けも治って白くなった両手で僕の顔を挟み、顔を近づけてくる。
 そしてごく自然に、当然のように僕たちはチューをした。
「ん、んん、ん……っ」
 僕の口と香穂の口がごっつんこ。香穂はピンク色の唇で僕をくわえ込み、温かな肉を押しつけてきた。
 最初は慌てたチューだけど、今じゃお互い慣れてしまった。口を丁寧に動かして、香穂の動きに応えてやるくらいの余裕が僕にもある。
「ん、んむ……はっ、んふっ……」
 二センチくらい口を離して息をかけ合い、また唇を合わせる。今度は香穂のベロが僕の中に入ってきて、口の中をなめ回した。
 はじめの頃、ツバが混じって汚いとか思っていたのを思い出す。
 近頃は一日中でもこうしていたいくらいだけど、香穂の方はまだ刺激が足りないみたいで、盛んに僕の口の中をかき回しては、歯といいベロといい、自分のを必死にこすりつけてくる。すごく気持ちいいけど、これは僕もやり返さないと。
「んあっ…… !? ん、はふっ……!」
 反撃にと香穂のベロと僕のを絡めてみたけど、効果はそれなりにあったみたい。少し驚いたような息を吐いて、それから熱心に自分のベロを僕のと巻きつけ合う。もう馴染んでしまった香穂の味は、とても甘くて熱かった。
 ようやく体を一旦離し、僕と香穂とが向かい合う。
 僕のツバで口の周りを汚し、目をうるませて顔を赤くした香穂。クラスメートも先生も、香穂のお父さんお母さんでさえこんな姿は見たことがないだろう。僕だけがこの顔を見ることができるんだ。その思いにまた興奮してしまう。
「えへへ。気持ちいいね、ご主人様?」
「そうだね。僕も頭がぽわーんってしてきた……」
 いつもそうだ。香穂とこうしてエッチなお勉強をしてると、僕の心が風船みたいに舞い上がっちゃって何も考えられなくなる。よい子の僕がどこかに飛んでっちゃう。いけないこと、悪いことをしてるのはわかってるのに、止まらなくなっちゃうんだ。
 僕の手が香穂を引っ張り、柔らかい体を抱きしめる。その耳元にぼそりと言うと、この子もささやき返してきた。
「香穂、好きだ」
「うん。私も優也が好き。好きだよ」
 ご主人様って呼んでくれれなかったのがちょっと残念だけど、僕は真っ赤になって香穂の体をぎゅうぎゅう締めつけた。夏は隠そうともしなかった汗の臭いも日焼けの跡も、今は綺麗さっぱり無くなっている。
 香穂の服に手を伸ばし、一枚ずつ服を脱がせていった。
 うちのママの白いエプロン。やっぱり白い、リボンつきの長袖ブラウス。その下にもう一枚暖かそうなシャツを着てて、それも脱がせると同じく白のブラジャーが顔を見せた。大人しめのデザインの小さなカップ。今日の香穂は白ずくめだ。
 ブラに手をかけられて軽く声をあげる香穂に「ご主人様の命令には絶対ふくじゅーだ」と言い聞かせ、後ろからホックを外してブラジャーを取り去ってしまう。
 そうして現れた香穂のおっぱいはとても小さかったけど、肌は白くてキレイだった。なんか先っちょの辺りだけちょっと色が違ってて、それがまた可愛い。僕は香穂のおっぱいの間に口をつけ、ペロペロそこをなめ始めた。
「んっ……あ、あ、はあっ……」
 彼女の白い肌にべったり塗りたくられる、僕のツバ。とてもエッチで素敵な光景だ。僕のベロと口があちこち移動して、おっぱいと言わず首筋と言わず這い回る。上半身が裸になってしまった香穂は僕のオモチャになって、可愛い声で鳴いていた。
「あ、ああっ……ゆ、優也ぁ……」
 少しピンク色に染まった肌も、ちょっと硬くなったおっぱいの先っちょもとてもキレイ。香穂は気持ちよくなって、僕はいい気分になれるんだから、こんないいことなんてない。
「んっ、ちゅうっ……ん、ちゃんとご主人様って言ってよ、香穂」
「ああっ、あ、あぁ――ご、ごしゅじんさまぁ……?」
 もちろん僕も香穂も、本物のメイドさんなんて見たことない。エッチな本の真似をしてるだけだ。
 でも、こうやって僕をご主人様と呼んでくれる香穂を見てると、メイドさんもいいなぁ、と思えてくる。フリルつきのエプロンドレスを着た香穂が、毎日僕のお世話をしてくれる姿を想像する。テーブルで隣り合ってご飯を食べて、一緒にお風呂に入ったり、手を繋いで一緒に寝たり。
 ……パパ、ママ、香穂のお父さんお母さん、ごめんなさい。僕はすごく悪い子です。
 なんてバカなことを考えてる間にも、僕の口は勝手に動いて香穂を可愛がっていた。
「香穂、こっちもいくよ」
「……うん」
 体育座りの格好で座らせ、スカートの中に右手を差し入れる。奥にある分厚いぱんつ――きっとこれも白だろう――の上から香穂の股を優しくなでた。生地が厚いのでわかりにくいが、多分ここは濡れ始めているはずだ。最初はおもらしかと思ったけど、本を見たら大人の女の人でも濡れるそうだから違うみたい。きっと僕のちんちんがぴんと立つのと同じで、気持ちいいっていう証拠なんだね。
 香穂のぱんつをさわさわと、指でゆっくりゆっくりこすりあげる。焦らすような僕の手つきに我慢できなくなったのか、この子は目を細くして泣きそうな声をあげた。
「やあ、やあっ……優也、ゆうやぁっ」
「だからご主人様、でしょ? ほら、ちゃんと言いなよ」
「ご、ごめんなさい、ご主人様――ご主人様ぁっ……」
「可愛いね、その声。香穂はホントにエッチな子だ」
「ご主人様……お願いです、もっと……」
 本で覚えたセリフを言って、熱い瞳で見つめ合う。腰を振って僕におねだりをする香穂はとてもエッチで、僕はゴクリと唾を飲み込んだ。
 こいつ、学校の演劇じゃロクな演技できなかったくせに、どうして今はこんなに上手いんだろう。苦しそうに吐く息も、汗ばんだ裸の上半身も、ウルウルした目もすごくヤバい。もう僕、この子から離れられなくなっちゃうかも。気分はまるで蜘蛛の巣にかかった虫みたいだ。
 スカートをまくり、女の子の大事な部分に手を伸ばす。ぱんつはやっぱり白だった。腰をつかんで白い下着を慎重に引きずり下ろしていく。スカートをはいたままぱんつを脱がすなんて、すごくいけないことをしてる気になる。
 ドキドキして真っ赤な顔で香穂を見ると、この子も僕と同じ表情を浮かべていた。興奮して、でも物足りなさそうな、これからの行為に期待するエッチな顔。でも、そんな香穂が――そんな香穂のエッチな顔が、僕は大好きだった。
「んっ……」
 膝に引っかかったぱんつを一気にずり下ろすと、こいつはかすかな声を出した。冬の寒い日なのに、香穂が身に着けているのはシワのついたスカートと黒い靴下だけ。それで寒がるどころか、全身にうっすら汗をかいてるんだから感心してしまう。
 僕も我慢できなくなって、香穂をカーペットの上に押さえ込むとスカートの中身、女の子の入口に自分の手をあてがった。言うまでもないけど、そこはもうびちょびちょに濡れていて、触るととても熱かった。指の腹を割れ目に当てると、汁の絡む小さな音が聞こえてくる。
「すごい、こんなに濡れてる。香穂はインランだね」
「ち、違います。私、そんなことありません……」
 お互いにニヤニヤ顔で、エッチ本のセリフを適当に口ずさむ。あんまり意味はわかんないけど、こんな会話をしてると大人のような気分になれる。だからこのオママゴト――お遊戯でも学芸会でもどう呼んでもいいけれど、こうして大人の真似をするのは、二人とも大好きだった。
 僕はいつものように香穂のお股をなで回し、指の先で優しくこすってやる。この数ヶ月の練習の成果だろうか、僕はどうすればこの子が気持ちよくなれるか、そのやり方と加減、コツをよくわかっていた。
 中指の先っちょでクチュクチュと入口を刺激し、濡れた親指を盛り上がった部分にあてる。特にこの親指の辺り、下のお口の上の部分が敏感だ。一回手加減せずにいじり回したら本当におもらししちゃって、後片付けが大変だったっけ。しかもその後、怒った香穂に何発も殴られたり、おちんちんにマジックで落書きされたりで、まったくひどい目にあってしまった。それ以来、ここは慎重に触ることにしている。
 今日も僕の指はゆっくり、そして優しく香穂のお豆に触れた。
「あっ……そ、そこ……」
「大丈夫。優しくするから」
「うん……お願い、いじって……」
 恥ずかしそうに僕にお願いするこの子の顔がとても可愛い。この顔でおねだりされたら、授業中の教室の中でも普通にチューしちゃいそうだ。いやまあ、さすがにそこまではやらないけど、でもそのくらいの魅力があるってこと。
 その可愛い香穂は、僕の指に攻められて、またすぐに鳴き始めた。
「あ、あああっ、あぁっ……! や、あ、ああっ!」
 両手を裸の胸のところで組んで、目を閉じ脚を内股に。肩がプルプル震えてるのもいい感じだ。スカートと靴下だけの裸の女の子の大事なところを、僕の指がいじり回している。僕はズボンの中身を硬くしながら、しつこく香穂を攻めまくった。
 指がお豆をなでるたび、つつくたびにこの子の口から声がもれて部屋に響く。
「あ、あ、ああぁっ! ん、んあ――あいぃっ !?」
 最後のひときわ高い声は、僕が不意打ちで指を突っ込んだから。ちょっと乱暴だったけど、グショグショの香穂の中はすんなりそれを受け入れた。
 その刺激で香穂は飛び上がり、全身をビクビクさせて天井を向く。小さな鼻の穴も、開いたままの口の中も、香穂の恥ずかしいところが僕には全部見えてるけど、この子はそれを隠そうともせず、幸せそうにハァハァ息を吐いていた。
「はあ……は、はあ、はあぁ……」
「香穂、大丈夫? イっちゃった?」
「う、うん……イっちゃった……」
 イク、という言葉の意味は何となくわかる。香穂のこんな様子のことだ。男の子にも女の子にも使えるみたいだけど、僕よりは香穂の方がイクのは激しいみたい。僕だって気持ちよくはなるけれど、この子のこんな表情を見ているとちょっとうらやましくなる。
 女の子をイカせて興奮しきった僕は、ズボンとぱんつを脱いでおちんちんを出した。小さいけど蛇みたいに鎌首をもたげて立ち上がったそれが、香穂っていう獲物に狙いを定める。先っちょはおしっことは違うぬらぬら光る液体で濡れて、ちょっとエッチな感じ。
 むっちりして柔らかな香穂の太ももを両手でつかみ、自分の方に引き寄せた。こいつはまだイったままなのか、とろんとした顔で天井を見上げている。熱そうな呼吸をするだけで、僕に身体をかつぎ上げられても抵抗一つしない。
 先の皮がちょっぴりむけた僕のおちんちん――むけた時は痛くて一晩中眠れなかった――が同じくぬるぬるの香穂のお股にあてがわれ、割れ目の表を軽くこすった。
 こうやってクチュクチュするのが入れるときの合図だ。僕は半分気を失った香穂にちんちんをこすり続け、こいつが自分を取り戻すのを待った。
 どうでもいいことだけど、スカートに隠れて見えない辺りが逆にエッチさを増している気がする。
 早く入れちゃおうとは思ったけど、黙って入れると後が怖い。特に油性マジックが。
 香穂のスカートの中でクチュクチュ遊びながら、僕はじっとこの子を待った。

 香穂が気がついてこちらを向いたのは、僕が心の中で二十ほど数えたときだった。ゆっくりおちんちんを入口にこすりつけながら、その回数を数えていたんだ。
 まだはっきりしない目で僕を見つめ、香穂が仰向けの格好でささやいてくる。
「あ……ゆ、優也……?」
 喋った拍子に口の端からヨダレが垂れた。ちょっといやらしい。僕は今にも入れたい思いにハァハァ息をもらしていた。
「か、香穂……その、入れていい? そろそろ我慢できなくて……」
「え? あ、んんっ!」
 クチョっと小さな音がして、僕のちんちんが香穂の表面をすべった。その刺激で、やっと自分の状況をわかってくれたようだ。この子は僕にかかえられたまま、赤い顔でコクンとうなずき、かすかな声でつぶやいた。
「う、うん……いいよ、入れて……」
 細い両腕を僕に伸ばして、僕を歓迎するみたいな仕草をしてみせる。
「ありがと、香穂――じゃあ、いくね……」
「ん、んっ……あぁ、ああぁっ……」
 スカートに隠された見えない部分で、僕が香穂の中に入っていく。汁まみれのこいつの入口は、喜びの音をたてて硬いおちんちんを受け入れていった。一回イったからか、中は熱いだけじゃなくて狭い。ギュウギュウ僕を締めてくる。気を抜いたらすぐにイってしまいそうだけど、ここは我慢のしどころだ。
 何しろ先にイクと油性マジックで象さんを描かれる。休み時間にトイレに行けなくなる。
 僕は精一杯の忍耐でもって腰を動かし、気持ちよさの波に耐え続けた。前に後ろに、激しく動く僕のちんちんが香穂の中をかき回し、声と息とを吐き出させる。
「あぁっ、あ、あんっ! んんっ、んあぁっ……」
「いい、気持ちいい――か、香穂、いいよ!」
「あ、やあぁっ、あ、あ、あぁんっ!」
 僕がこうやって香穂とエッチするようになったのは、やっぱりあの夏休みからだった。どのエッチ本を見ても一番そのシーンが多くて、一番盛り上がってるような雰囲気があった。男の人がのしかかったり、後ろから女の人を抱きしめたり、ポジションもいっぱいだ。
 僕らの初めては、今みたいに寝転がった香穂を僕が押さえ込むポーズだった。痛くてボロボロ涙をこぼす香穂の姿、そしてそれを押さえつけて半分無理やりにおちんちんを突き入れる自分に、どうしてかわかんないけどすごく興奮したっけ。
 自分から誘ってきたくせに、香穂は終わった後に泣きながら“優也のバカ!”と怒鳴りつけてきて、やっぱり女の子の気持ちはわからないなぁと思ったもんだ。
 でも、何度か繰り返すうちに香穂も慣れてきたらしく、やってる最中に泣き出すことはなくなった。今じゃ僕のちんちんをくわえ込んですごく気持ちよさそうで、積極的に体をすりつけてくるほどだ。僕は香穂の中をかき回すたび、大人ってこんなことをしてるんだ、とひとり感動するのだった。
 膝立ちになった僕が上から香穂を押さえ込み、お股のアレをこの子に突き刺す。香穂は寝転んだまま両脚を上げられ、まるでカエルみたいだった。こんな格好でも可愛いと思ってしまうのは、僕が香穂を好きになっちゃったからかな?
 僕も香穂も頭の中が弾けそうで、我慢がどんどん難しくなる。
 それでも先にイカないよう絶え続ける僕に、香穂のかん高い声が届いた。
「はぁ、ああっ……。ご、ご主人様、ご主人様ぁっ……!」
 僕が小さく笑う。どうやらこの子は、まだメイドさんごっこを続けるみたいだ。最近かなり大人っぽくなったと周りに言われる香穂だけど、僕の前ではいつも通り。そして僕もそんな香穂の子供っぽい仕草を見て、あったかい気持ちになる。
 仕方ないなぁ。僕も我慢できないけど、できるだけつき合ってやろうか。僕の口が動き、すらすらと本のセリフを読み上げた。
「香穂、どうだ? ご主人様のチンポ、気持ちいいだろ?」
「んあ、あ、あぁんっ……は、はいぃ、いいですぅっ……!」
「香穂の中も最高だよ。こんなに僕に奉仕してくれて……大した名器じゃないか」
「あ、あり、ありがとう、ございますっ! うあ、あっ!」
 半分笑いながらこんなセリフを言い合う僕たちは、きっとバカなんだろう。バカな上に子供だ。思いついたことは何でもやっちゃう。理由なんていらない。エッチ本も読めばセックスだってする。楽しければ何でもいい。構わない。
 ……おかしいなあ。大人しいインドア派で危ないことはしないはずの僕が、なんでこんなことをしてるんだろう。不思議だけどそれもどうでもよくなってくる。
 入口をグニグニされて、恥ずかしそうに両手で顔を押さえる香穂を見ていると、大人が勝手に決めた、やっちゃいけないことなんてどうでもよくなってしまう。
 香穂、好きだよ。もっともっと好きになりたい。ずっとずっとこうしていたい。
 僕はこの子の体を引っ張り、爆発しそうなおちんちんを根元までねじ込んだ。軽く香穂の息が引きつり、火照った体がピクピク跳ねる。香穂も僕もイキそうだ。このまま香穂の中で弾けたい。一緒にイキたい。
 僕の手足が香穂に絡み、がっちり体を固定する。深々と突き刺さったまま、汗まみれのこいつを抱きしめる。下になったこの子もそれに応えるように僕に抱きつき、きつく密着してきた。顔のすぐ間近から聞こえてくるのは、甘くて熱い香穂の声。
「イクっ! イっちゃう! 私、イっちゃうよォっ !!」
「僕もっ、僕もイクよっ! 香穂、せーし出すよ!」
「んあぁっ……な、中はダメぇっ! 赤ちゃん、赤ちゃんできちゃいますゥっ!」
 赤ちゃんできちゃう――その言葉にイキかけの僕の心がドキリとした。僕も香穂もお互い一人っ子で、弟とか妹とかはどちらもいない。小さい頃、可愛い妹が欲しいってママにおねだりしたけどダメだったっけ。あのときは赤ちゃんなんてデパートやコンビニで買ってくるものと思ってたけど、今の僕たちは“赤ちゃんの作り方”を知っている。というか実践している。
 たとえエッチ本の物まねとはいえ、香穂の言葉にはゾクリとするものがあった。
 赤ちゃん――ぷっくら膨れたお腹をなでて、香穂が微笑む姿を想像すると、それもいいんじゃないかな、とか思えてしまう。僕と香穂の可愛い赤ちゃん。男の子でもいいけど、女の子がいいな。香穂にそっくりな女の子ならすごくいい。ああ、また妹が欲しくなってきた。そうだ、香穂に産んでもらおう。
 バカな考えの末にバカな結論にたどりついて――とうとう僕は弾けてしまった。
 一番奥まで突き刺さった僕のちんちんを、香穂が痛いほど締めつける。背中に絡めた両脚でグイグイ僕を押さえつけ、これ以上ないほど密着する。この子はバカみたいな顔で真上を向き、幸せそうに僕を呼んだ。
「ゆ、優也、ゆうやあぁぁっ !!」
「う、出るよっ! 香穂、ゴメンっ……!」
 なんで謝ったのかわかんないけど、僕は最後にそう言って爆発した。香穂の白い体の奥底でおちんちんが弾け、熱いジュースを注いでいく。
 出る、出る、出る。もっと出る。たっぷり出る。おちんちんがビクビクいって出しまくってるのがわかる。
 久しぶりのしゃせーの気持ちよさに、僕は半分頭が飛んじゃって何も考えられなかった。それは香穂も同じみたいで、僕のせーしを注入されながら昇天してしまっていた。可愛い顔も白い肌も全部僕に汚されてしまって、とてもキレイな姿だ。口からよだれを垂らしながらうわ言を吐き続けるのもたまらない。
「んああっ……んお、おおっ……♪」
 まともな意識なんて残ってないくせに、僕の体を意地でも離さないのが香穂らしい。
 僕だけの香穂、僕の大好きな香穂。
 僕は出し尽くしたおちんちんを香穂に包んでもらいながら、そのあったかい体をクッション代わりに倒れこんだ。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

「……そうしてお前が生まれたんだ。真穂」
 ソファに座った俺は、そこでやっと話を終え、中身の冷めたカップを口に運んだ。
 今日は休日で外は春めいて明るい。このまま妻子を連れてドライブに行きたくなる。隣を見ると、妻も同じ気持ちになったようで、俺を見返して微笑んでくれた。その腕の中にはまだ小学校にも行っていない、幼い息子が抱かれている。
「…………」
 俺の向かいにはやや小柄な女の子が座っていて、絶句してこちらを見つめていた。サラサラのセミロングの髪も、白いブラウスに包まれた華奢な体も、今の妻によく似ている。
 この子の名前は真穂。戸籍上は俺の妻、香穂の妹ということになっているが、実は俺と香穂が子供の頃、若気の至りでつくってしまった娘だった。
 何とか産ませてはもらえたものの、このままだと以後の生活に差し障りがありまくるとかで、香穂の両親が自分たちの娘ということにして引き取ってくれたのである。おかげで戸籍上、真穂は俺の義理の妹――つまり赤の他人だ――になってしまったが、俺にとっては大事な娘であることに変わりはない。結婚する前から俺は香穂の実家に入りびたり、真穂を可愛がっていた。
 しかし本人はそのことを知らず、ずっと香穂の妹だと思っていて、そして高校生になった今、ようやく真実を知らされたという訳である。
 というのも通う学校の都合上、今年からこいつがうちに下宿したいと言ってきたからで、どうせ一緒に暮らすのなら、本当のことを知っておいて欲しかったのだ。
「…………」
 真穂は喋らない。ソファにへたり込んだまま、呆然として動かない。
 無理もない。今までずっと姉夫婦だと思ってきた俺たちが、実の両親だったなんて聞かされて、年頃の女の子にとってショックでないはずがなかった。
 まして、俺と香穂が子作りしたのが小学生の頃で、しかもそのきっかけがエロ本の物真似となれば、自分の出生について悲観するというか、絶望するのもうなずける。
 やっぱりやめとけばよかったか、と思う俺の隣で、妻が口を開いた。
「ま、そういうことだから、真穂、あんたは私たちの娘よ。今まで黙ってて悪かったわね」
「お……お姉ちゃんがお母さんで、優也さんがお父さん……?」
「そうよ。全部ホントのこと」
「う、嘘だああああぁぁぁっ !!」
 とうとう泣き出してしまった真穂。香穂はずぼらで細かいことはあまり気にしない性格だが、この子は母親に似ず繊細で、こんな話はなかなか受け止められないようだ。やっぱ俺に似たからか。
 両手で顔を押さえて泣きはらす娘に、香穂の追い撃ちが続く。
「だってさ、考えてもみなさいよ。うちの両親も私も皆B型。あんただけAB型。今の今まで気づかなかった方がおかしいわよ。ねえ?」
「わあぁんっ! うわああぁぁんっ!」
「まあ、どっかから拾ってきた子供って訳じゃなくて、正真正銘、私たちの子供なんだからそんなに気にすることないって。これから親子四人、水入らずで暮らせるんだし、もっと嬉しがりなさいよ」
「イヤあああぁぁっ! おうち帰るううぅっ !!」
 ……ダメだこりゃ。しばらく泣き止みそうにない。
 困り果てて隣の妻を見やる俺に、香穂は軽くウインクして言った。
「そういう訳だから、あなた。これから皆で出かけましょ。考えてみたら家族全員で出かけるのって、これが初めてじゃない?」
「あ、ああ。そうだな」
「ほら真穂、いつまでも泣いてないで、出かける準備しなさい。あんたがエロ本に触発された小学生のセックスで生まれた子供だからって、あんた本人にとっては別にどうでもいい話じゃないの」
「イヤああああぁぁっ !! エロ本イヤぁぁっ !! あたし死ぬ、死んでやるうゥゥっ !!」
「それにしても懐かしいわねー。メイドさんごっことかさ。んで小学生だったこの人に押し倒されて」
「やああぁぁっ !! もうやめて、言わないでええぇっ !!」
 まだ二十代後半の母親と、今年高校生になったばかりの娘。よく似た親子のやり取りをほのぼのと眺めながら、俺は冷めたコーヒーをもう一口すすった。


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