村は今日もいい天気だった。外れの森の木々の間を、爽やかな風が吹き抜けてゆく。 「――んっ、じゅるっ……ずっ、ずぷっ……」 雨の日も嫌いではないが、やはり晴れた空が一番だ。枝にとまった小鳥がさえずり、地面を狐や野鼠が好き勝手に走り回る。生まれた時から見てきたのどかな風景がジャンは好きだった。 「ずっ、ちゅぱっ……どう、気持ちいい?」 そこで思考を中断させられ、気乗りしない顔で足元を見下ろす。 「――ああ、気持ちいい、けど……」 木の根元に座り込み、夢中で彼の成長期のものをしゃぶる少女。 歳は彼と変わらないはずだが、肉棒への手馴れた愛撫といいその艶やかな表情といい、とてもそうは思えないほど大人びていた。 「けど、何よ? 気のない返事しちゃって。せっかく人がしゃぶってあげてるのに失礼ね」 短く切った赤い髪。たれ目がちの可愛らしい顔。いつも見慣れたエレのはずだったが、“中身”は別人だった。魔導具のせいで、彼女の体には淫魔の魂が入ってしまったのだ。 あれから数日になるが、エレの体をした淫魔は、会う度にジャンのまだ小ぶりな肉棒を握り、こすり、そしてくわえてくる。さすがに本番はまだだが、少女のテクニックはその辺の娼婦顔負けだった。 (――エレ、あんなに大人しかったのに……) 男の本能は満たされるが、ジャンはどこか寂しさを感じていた。 「今日も行くのかしら?」 一発抜いた後、荒い息をするジャンにエレは問いかけた。 「うん、ちゃんと毎日行ってやらないと」 「精気なら気にしなくてもいいのよ。淫魔の体だからって、毎日しないといけない訳ではないわ」 「違うよ。俺がエレに会いたいんだ」 明るく告げるジャンを見て、そう、と大人っぽい口調で言うエレ。 森の中の廃屋に二人が着いたのは昼過ぎだった。高名な魔導師の住まいだったもので、迷信深いこの村では今でも近寄る者が誰もいない、さびれた家屋である。 鍵もかかっていない戸を開き、ジャンは大声を出した。 「エレ――っ !!」 中に入って二人が待っていると、奥の方から一人の若い女が顔を見せた。 どこかの令嬢を思わせる絹糸のような繊細な金髪を肩まで伸ばし、ややつり上がった目から放たれるのは紅色の魔性の光。幅が小さく、自然な感じに厚い唇は男の恋情を誘わずにいられないだろう。脚も腕も日焼けなど無関係に白く、適度に肉がついている。 身にまとっている黒い衣装は下着と間違うくらい布地が少なく、かなり大きめの胸を窮屈そうに少ない布地で押さえつけていたがどうにも無理があるらしく、歩く度に上下に揺れ、今にもはみ出そうだ。そしてもっとも目を引くのが背中から生えたコウモリのような一対の翼と、 側頭部から上に向かい曲がって伸びた二本の角だった。 もちろん人間ではありえない。女は上級の悪魔たる淫魔である。 「あ……ジャン、また来てくれたんだ」 淫魔が嬉しそうに微笑む。妖艶な顔立ちに似合わない無邪気な笑みだ。 「約束したろ? ちゃんと毎日来てやるって」 「うん……ありがと」 顔を赤らめて目を伏せ、ぼそぼそとつぶやく淫魔。先ほどから、見た目と仕草が全く合っていない。 「私も来てあげたわよ、エレ。感謝する事ね」 ジャンの後ろでエレがニヤリと笑った。 「フレイアさんも……ありがとうございます」 「何たって自分の体だもの、心配で心配で」 少女は淫魔をエレと、淫魔は少女をフレイアと呼んでいた。 そう、二人は入れ替わってしまったのである。 原因となった魔導具は壊れてしまい、まだ直っていない。そもそも製作者が死んでおり、直せる見込みがあるかもわからなかった。 あれから数日、とりあえず二人はお互いの体で生活している。 もちろん角と翼の生えた淫魔の体では村に入れないため、フレイアは一日をこの森の廃屋で過ごしている。悪魔であるため水や食物は必要ないが、ここには話し相手もいない。毎日やってくるジャンとエレだけが心の慰めだった。 「いい? その体は上位の悪魔、サキュバスなのよ。何事にも自信を持って、堂々と振舞いなさい。私がその体だったらこんな村乗っ取っちゃうのに……」 毎日泣き続けるフレイアを、エレはそう言って慰めた。今の自分は力のない、寿命も限られたただの人間。 泣きたいのはこっちよ。エレは頬を膨らませた。 「――はあ、相変わらず真っ二つねえ……」 ため息をついてエレが手に取ったのは、飾りのついた細い棒だった。中ほどで二つに折れたらしく、同じ物が二本あるようだ。 「手で押さえてもダメ、糊も駄目、包帯もだめ。やっぱり直せないのかしら……」 「部屋のガラクタには同じ道具はなかったしなあ」 「どこの世界に同じ道具を二本作る職人がいるのよ!」 三人は地下室にいた。狭い部屋のあちこちに魔導具らしきガラクタが転がっており、その中に二人を入れ替えた道具――の残骸――もあった。 「どこかの魔導師に直してもらうって手もあるけど……この辺田舎だから魔導師なんていないし、今の私は子供だからあまり遠くに行けないのよね。エレも私の力を使えないから外に出たら人間たちに捕まっちゃうわ。……お手上げってとこね」 「あんた悪魔だろ? 人間の道具は直せないのか?」 「――無理ね。変身とか魅了の魔術は使えるけど、人間の魔導はさっぱり。淫魔の魔術も、今使えるのは私のカッコをしたエレの方よ」 「えーと、つまりどういう事だ?」 「要は、私もあなたも役立たず。私たちができる事といったら、エレに淫魔の魔術を覚えてもらう事だけね」 エレが両手を顔の横に上げる。まさしくお手上げだった。 「エレに魔法を……?」 「体は私のなんだから、覚えたら使えるはずよ。……もっとも、今はこんな状態だけど」 「――?」 少女が後ろを指し示すと、そこにはジャンを見つめて息を荒くした淫魔の姿があった。 「――エレ、どうしたんだ?」 「……わからないの。ジャンを見てたら体が熱くなって……息がハァハァってなっちゃうの……」 「……はあ。先が思いやられるわ」 すっかり淫乱な肉体の虜になってしまっている。 恐らく彼女はジャンが好きなのだろう。だからと言って、相手の顔を見ているだけで欲情するなど――頭が痛くなってくる。 「あんたが発情してどうするの! 淫魔は相手をサカらせるのが仕事でしょ! 年端もいかない男の子相手にハァハァ言わない !!」 エレの説教をよそに、フレイアはジャンに近づき、唇と唇とを優しく重ねた。 「ん……はぁ……ジャン……」 「あ、こら――!」 既にフレイアの肌はじっとりと汗ばんでいる。先の濡れた金髪が肩に張り付き、何とも言えない魅力を出していた。 「う……」 幼馴染の少女が、年上で金髪半裸の絶世の美女になってキスをしてくれる。その状況にジャンのモノがまた硬くなりつつあった。 「……ふう、仕方ないわね。まあ一発ヤってから考えましょうか」 諦めたのか、またしてもエレがジャンのズボンを脱がしにかかる。 こうして二人の女にたっぷりと絞られ、彼は気を失ってしまうのだった。 「――とにかく、ヤってばっかじゃ話が進まないから、あなたには魔術を使えるようになってもらうわ」 ジャンを犯した後、フレイアはエレにそう言われた。 自分の体に秘められた力を自覚し、使い方を意識する。一度覚えてしまえば簡単なはずだ、とエレは言った。 まずは集中の仕方と、初歩の魔術の練習だが―― 「え、えっと、こ、こうですか……?」 「ダメダメー! 何も変わってないじゃない! もう一度、ちゃんと集中してよね!」 「ふえ〜ん……」 結局、明かりをともす簡単な魔術すら一日かけてもできなかった。 暗くなってきたため、エレとジャンは村に戻る事にした。 「いい !? ちゃんと練習しといてよ!」 怒って怒鳴る少女を前に、淫魔はすっかり落ち込んでいる。 「ま、まあ、エレ、ちゃんとできるようになるって……」 「うん、ありがとう。ジャン」 涙目でこちらを見つめる淫魔の顔に、またどきりとするジャンだった。 「――ただいま」 「おかえり、エレ」 帰宅したエレを両親が優しく迎える。 「ご飯できてるわよ。またジャンと一緒だったの?」 「うん、そう。だってこの村子供少ないし、仕方ないじゃない」 ここ最近、娘は随分と変わったように思える。以前は内気で気弱だったので心配もしたが、この頃の様子を見ていると前とは別人のようにはきはきと喋るし、かなり気が強くなったようだ。 よかったよかった。エレも人並みに元気な女の子になれそうだ。 両親は娘と食卓を囲みながらほっと一息ついた。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ それから一月ほどエレにみっちり特訓され、フレイアは簡単な魔術をいくつか使えるようになった。 「でも、当たり前だけどまだまだね」 尊大な口調で言い、エレは胸の前で腕を組んだ。 明かりや空力など、まだフレイアが使える魔術は初歩に過ぎない。本来ならば変身で思い通りの姿に変わり、誘惑の魔眼で村人たちを思うがままに操る事もできるのだという。それができれば妖しい淫魔の姿ではなく見た目だけでも人間に戻れるし、村に戻ってとりあえずは元通りの生活を送る事もできるだろう。 もっとも、それまでに何年かかるかわからないが。 毎日ジャンは来てくれているが、あまり淫魔が精を吸いすぎると命に関わるというので、実際に交わるのは二、三日に一度という所だ。 だがジャンは思春期の少年だし、だんだんと成長して精も体力もついてくれば毎日でも大丈夫だろう、とエレは言う。 実はエレも彼の小ぶりな陰茎が好みらしく、村にいるときこっそりとくわえ込む事もしばしばあった。しかし少女の体は幼く、さすがに中身が淫魔でも無理はできないのか、まだ一度も交わった事がない処女のままだった。 村には他の男の子も何人かいるが、エレはあまり彼らと付き合わずもっぱらジャンと二人でいる時間が多い。 元々内気だった少女が突然活発になり、狭い村ではちょっとした噂になったが年頃の少女の心境の変化、という事で片付けられた。その原因にジャンの名を挙げる者は多かったが。 ――ある夜のこと。 田舎の村であるため生活は日の出と共に始まり、日暮れと共に終わる。 エレの家も明かりをつけるのは稀で、戸締りもいい加減にさっさと寝てしまう。夜に生き、闇を棲家とする淫魔の魂には退屈で仕方がなかったが、この体がこの生活に慣れてしまっているので無理もできない。エレは今夜もいつものように寝床でまどろみ始めた。 外では穏やかな風が吹いており、半ば開いた窓から部屋に流れ込んでいた。 (……ん……) 風向きが変わったのか、少し強く吹いてきたようだ。寝ているエレの髪を撫で、風が涼しさを部屋に運んできた。 窓を閉めた方がいいかもしれない。 半分眠ったままの意識でそう考え、彼女はゆっくりと身を起こし――そして思わず息を呑んだ。 「エレ…… !?」 窓の傍に、長年自分のものだった淫魔の体が立っていた。美しい顔を不安でいっぱいにしてこちらを見つめている。 「――あなた、何でこんなとこにいるのよ !? 村人に見つかったらタダじゃ済まないわ、わかってるの !?」 声を何とか抑えながら、少女はフレイアを怒鳴りつけた。 が、淫魔は胸の前で組んだ手をブルブルと震わせ、寝床のエレにもたれかかる。 「――う……ぐす……ひんっ……」 「エレ……?」 泣いている。 妖艶な魅力を放つ夜の女王が、少女にもたれて子供のように泣いていた。 「うぅ……」 泣き続ける淫魔を何とかなだめ、エレはフレイアと一緒にベッドに腰を下ろしていた。月明かりもなかったが、部屋は淫魔が作り出した魔術の光でほのかに照らされている。 「私の家……私の部屋……帰りたい、帰りたいよぅ……」 金髪の魔族はそう繰り返していた。 入れ替わって一月以上、今のフレイアは家にも帰れず廃屋住まいで食物も飲み物も口にせず、ジャンの精だけを吸って過ごしている。 見た目は成熟した悪魔であっても、中身はただの幼い少女。幾度目かの孤独な夜に耐え切れず、ふらふらと村に戻ってきたのだった。 (――しかし困ったわね……) エレは淫魔を慰めつつも困惑を隠せなかった。家が恋しいというフレイアの気持ちは理解できたが、変身も魅了の魔術も使えない今の状態で戻るのは危険すぎる。 エレはもう一度、自分の隣にいるフレイアの体を見つめた。 魔術の光に照らされた細い金色の髪は装飾品のようにきらめき、宝石のような赤い瞳と共に薄闇の中で異色の輝きを放っている。かなり高めの身長の源とも言うべき長い脚にはシミ一つなく、太ももからふくらはぎまで艶かしい肌を覗かせていた。人間ならかなり大きいサイズと言える双丘は小さな黒い布で締められ、動く度に大げさに揺れ、はちきれんばかりのその存在を主張している。背中から生える漆黒の細い翼がパタパタとかすかな風を生み出し、決してそれが飾り物ではない事を物語っていた。こめかみの辺りから伸びた角もかなりの重厚感を持ち、立派なものと言える。 ……やはり、どう見てもまともな人間には見えなかった。 長年誇りにしてきた自分の体だが、村人に知れたらどうなるか。エレの表情が曇る。 そのときだった。 「エレ? 何かあったのかい?」 という言葉と共に、鍵もかかっていない戸が開き、エレの父親が顔を見せた。 「……」 「…………」 「………………」 三人はそれぞれの表情で固まったまま呆然としていた。 最初に動いたのはフレイアで、声をあげエレの父親に抱きついた。 「お父さぁああぁぁんっ !!」 「……え、えーと、どちら様でしょう?」 魔術の明かりを浮かべた部屋で羽と角の生えた金髪女に突然抱きつかれ、父親は驚きに目を白黒させていた。 「私よお父さん、エレよ! 私はエレ!」 「――エ、エレ? ……エレならそこに……」 「違うのお父さん、私がエレなのぉっ !!」 父親にすがりついてまた泣き出す淫魔。二人の身長はあまり変わらず、豊かな胸が自分に押し付けられる感触が何とも言えず気持ち良い。加えて淫魔の体からは男を惹きつける香りが発せられており、素朴な村男の性感を否応もなく刺激してくる。 「お父さん……?」 ふと違和感を感じフレイアが呼びかけると、すっかり父親は勃起していた。 (――お父さん……) 初めて目にする、男としての父親。長い間会えなかった愛しさに加え淫魔としての本能もあり、この正直な姿を見ても悪い気はしなかった。 「ん……」 そっと唇を合わせる。家族としてのキスではなく、男と女の濃厚な口づけ。当然のように歯茎を舌でこじ開け、舌と舌とを絡めあう。エレに教わった舌使いが父親の性感を一気に高ぶらせた。 そのエレはと言うと、横で複雑な表情をして二人を見守っていた。 やがて舌を離すと、向かい合ったままで女はひざまずいた。 「お父さんのココ……すごい……」 淫魔の細い指に取り出された肉棒は天をも突くほどそそり立っていた。いつも見慣れた少年のモノとは違う、立派な大人の陰茎を前にしてフレイアは驚き半分、期待半分といった顔をした。 「すごく、大きい……ね」 少し前まで彼女は父親と一緒に風呂に入っていて互いの裸体を隠す事なく見せ合っていたのだが、あの時と違い性欲に張り詰めた陰茎はまるで別の物に思える。 「それに……ビクビクって、動いて……」 細くしなやかな指が愛しげに肉棒を撫でる。淫魔の経験が浅いフレイアのたどたどしい手の動きはあまり誉められたものではなかったが、それでも触れる度に陰茎が脈動し二人の興奮を高めた。 「ああ……や、やめてください……娘の前で……それに、妻があっちで寝ているんです……」 「お父さん、私よ……エレよ……だから……」 顔を真っ赤に染めた淫魔の舌が、父親のモノに這わされた。丹念に唾液が塗りたくられ、口を離すと糸を引くほどである。 「これ――入る、かな……?」 意を決したように女は口をいっぱいに開くと、ジャンとは段違いの大きさの肉棒にかぶりついた。 「――あぁっ !?」 やはり――太い。ジャンの可愛らしいモノとは違い、張り詰めた父親の肉棒は口の中いっぱいに広がり、息をするのも難しい。 だが苦しくはない。むしろ言い知れない満足感が口内から伝わってくる。 淫魔は陰茎をもっと深くくわえる事にした。 自分の限界がどこまでなのか興味があったからだが、驚いた事に女の口は父親のモノを根元まで飲み込んでしまった。 (――喉、当たってる……) 人間でも可能とは言うが、これだけ深くくわえ込んでも全く苦しさを感じず、性感に結びつくあたりがやはり人間とは違う。 フレイアは肉棒の先を喉から口に戻すと、今度は舌を使う事にした。 「はあ……お父さん、お父さん……」 父親の陰茎を、淫魔は犬のように絶え間なくなめ続けた。半分はエレに教わったテクニックだが、もう半分は体が覚えていた動きだ。魂はあどけない少女のはずだったが、その動きからはそれが微塵も感じられず、誰が見ても真正の淫魔だと思うだろう。 愛しい父親を家族ではなく、男として、雄として見ている。自分の素となった肉棒を、ひざまずいて当たり前のようにくわえる。その間にもフレイアは空いた手を自分の陰部に這わせ、既に汁にあふれたそこを性欲のままにいじり回した。 「あ……はあ……」 やがて頃合と思ったのか、射精する寸前で淫魔は父親から離れるとベッドの上に倒れこむように四つんばいになり、 「お父さん――今度は……ここに」 そう言って、手でひくついた割れ目を広げてみせた。 ぼんやりした魔術の明かりに照らされた女陰は、もはや待ちきれない様子で汁をシーツに垂らして男を誘っている。 同じベッドの端には、皮肉げに口を歪めたエレが座っていた。 「……はあ、あ……」 淫魔の体にたっぷり誘惑された父親に、逆らう事ができようもない。操り人形のようにふらふらと、翼を広げたフレイアに覆いかぶさった。もはや言葉も出せず、ガチガチに硬くなった陰茎を激しい動きで挿入する。飢えた獣のような、理性の吹き飛んだ動きだった。 「――はあっ♪」 「うっ……くぅぅっ !!」 耐え切れず、入れた瞬間に盛大に出してしまう。まだ奥まで入りきっていなかった肉棒が我慢できずに、膣に白い汁を放った。 「お父さん……もう、出しちゃったの?」 どこか物足りないという口調でフレイアが言った。幾多の男を虜にした淫魔の肉体は、中身が幼い少女であっても、村男である父親には刺激が強すぎたのだろう。 「でも、まだ硬いまま、だよね……?」 男盛りの父親のそれは一度出しても硬さを失わず、膣内で確かな存在感を主張していた。 思いついたように微笑むと、フレイアは肉棒を入れたまま体を回転させ、仰向けになると腰を前後に動かし始めた。 「――うぁっ !!」 半ば失神していた父親が、再び押し寄せる快感に声をあげる。 「お父さんも、動いて……」 「……うぅう……」 とっさに力が入らず、淫魔の上に抱きつくように倒れこむ父親。金髪の悪魔はそんな父親の背中に手を回し、優しく抱きしめた。 「――ん……」 桜色の唇を父親のそれに押し付け、ゆっくりと舌をねじこむ。上の口も下の口も、結合部からは汁があふれ卑猥な水音が聞こえた。 やがて父親も腰を使い始め、二人は欲望のままに絡み合った。 「あぁあ……お父さん、お父さん……」 気持ちよさげに息を荒げ、自分を父と呼ぶ淫魔。 その口調と表情に、父親はようやくそれに思い至った。 「……エレ? う……エレ、なのか……?」 「そう――だよ……お父さん、私――あっ……エレ……なの」 本当の名を呼ばれ、フレイアは嬉しそうに微笑んだ。 そうしている間にも二人の動きは激しさを増してゆき―― 「うあっ !! ……くっ、エレ、エレぇっ !!」 「お父さぁんっ !!」 再びの射精。奥まで突き上げられての精の爆発に身をよじり、淫魔の本能がそれを搾り取ろうと体が喜びに震えた。 「ああ……すご……たっぷ……り」 ジャンのものよりはるかに濃厚な汁がたっぷりとぶちまけられ、体中に染み渡るような満足感がフレイアを覆う。 淫魔にとってのそれは、乾いた旅人が口にする新鮮な水のような、人間のどんな美食も敵わないほどの法悦だった。 「はあ……はぁっ……エレ……」 「お父さん……」 ありがたい事に、これだけ交わっても母親は起きてこなかった。 やっとの事で興奮が冷めると、フレイアは父親に今までの事情を説明した。 ジャンと村外れの魔導師の家を探検し、淫魔フレイアと出会った事。たまたま落ちていた魔道具のせいで自分と淫魔が入れ替わってしまった事。そして、魔道具が壊れて戻れなくなってしまった事。淫魔の体のため村に帰れず、自分の体をした淫魔を村に帰した事。 エレも話に加わって、ようやく父親は今の娘の状況を理解したのだった。 「そうだったのか……すまん、全く気づかなかった」 父親は淫魔になってしまった娘に頭を下げた。 「ううん、いいの。見た目は私だもん。でも……家に帰れなくて寂しかった」 「エレっ……すまん……」 「お父さん……!」 フレイアを抱きしめる父親。だが今度は興奮する事なく、娘の繊細な髪の毛を撫でてやった。 「すまなかった……。でももう大丈夫だ。話はわかったから、安心してくれ」 これでフレイアは娘として認められた事になる。 「――親子の再会はいいんだけど、私はどうなるの?」 エレの当然と言えば当然の質問に、父と娘は顔を見合わせた。今まで娘と思っていたのに、中身が赤の他人――しかも悪魔とあっては、穏やかでいられるはずもないだろう。 だが体は間違いなく可愛い娘のものである。いつか戻れるかもしれないと思うと手放せるはずもない。 「……あなたも私の娘として、しばらく一緒にいて下さい」 「いいの? 中身は悪魔なのよ?」 「――構いません。それでもその体はエレのものなんです」 こうして、朝になると父親はエレの母にも事情を説明し、納得の上での四人の新たな生活が始まったのだった。 続きを読む 前のを読む 一覧に戻る |