ありふれた二人の話

 四月の空は雲一つない快晴だった。
 入学式を終えた今日、北川翔太は高校生になった。
 真新しい制服を着て、知らない顔ばかりの教室を見回していると、もう自分は中学生ではないのだと強く実感させられる。
 これから三年間の高校生活に対して淡い期待はあったが、反面、気弱な彼には不安もあった。
(僕、これからちゃんとやっていけるのかな……)
 そんなことを漠然と考えている間、教壇ではこのクラスの担任を務める三十前後の女性教師が、自己紹介のついでにお世辞にも面白いとは言えない世間話を続けていた。
 どうやら悪い人間ではなさそうだが、やけに話の内容が回りくどく、結局何が言いたいのか、聞いていてもさっぱり理解できない。生徒の中には退屈のあまり、これ見よがしにあくびをしている者もいたが、教師はまったく気にしていない。無視しているのか、それとも話に夢中になっていて気づかないのか。
 連絡事項の伝達が終わってようやく皆が解放されたのは、予定を大幅に過ぎた正午前のことだった。
 肩にカバンをぶら下げて教室を出ようとすると、同級生の女子の一人が翔太を呼び止めた。
「翔太、一緒に帰ろうよ」
 そう言って近寄ってきたのは杉山亜弥だ。新しいクラスで唯一、翔太と同じ中学校の出身で、彼にとっては気がおけない友人でもある。
「うん、いいよ。帰りにどこかでお昼ご飯を食べて帰るつもりなんだけど、そっちはどう?」
「うちはお母さんが用意してるから、真っ直ぐ帰ってこいって言われてるの。せっかくだから、翔太もうちに食べにおいでよ」
 亜弥は笑顔で翔太を誘う。今日の天気のように明るく晴れ晴れとした表情が眩しい。
「え、いいの? いきなり押しかけたら、おばさんが迷惑するんじゃない」
「何を言ってるの。翔太だったらうちのお母さんも大歓迎よ。それに、今年で私たち、十年連続で同じクラスでしょう。何だかお祝いしたくなっちゃってさ」
 亜弥が口にした言葉に、翔太ははっとさせられる。
「ああ、そっか……今年で十年か。考えてみたら、すごい記録だなあ」
 翔太は我がことながら驚嘆して、まだ幼さが残る亜弥の顔を眺めた。
 この少女とは小学校の一年生のときからずっと同じクラスだった。今年で記念すべき十回目になる。
 奇跡のような偶然だが、素直に喜んでいいのかどうか、翔太にはよくわからなかった。家に帰ってこのことを両親に報告すれば、「またか」と笑われてしまうだろう。腐れ縁とはこのことだ。
 だが、まだ右も左もわからない新入生の翔太にとって、こうして気軽に話せる友達がクラス内にいるというのは、とても心強いことでもあった。
 亜弥も亜弥で、翔太との腐れ縁を嫌がるでもなく、顔を合わせればこのように親しく話しかけてくるし、ときには一緒に勉強をしたり、食事に出かけたりもする。
 方針を決めてリードするのはもっぱら亜弥の方だったが、引っ込み思案で優柔不断な翔太には、彼女の積極性と決断力はとてもありがたいものだった。
 結局のところ、馬が合うのだろう。今年も亜弥と同じクラスになれたことを、翔太は悪戯好きな運命に感謝すべきなのかもしれない。
 翔太は亜弥と肩を並べて通学路を歩きながら、これから始まる高校生活について語り合った。
「よく考えてみたら着る制服が変わっただけで、他は今までと何が違うってこともないんだよね。高校生になってもさ」
「そう? でも、通学に電車を使うようにはなったじゃない。今まで通ってた中学校だったら、自転車で五分の距離だったよ」
「そういえばそうだね。今の学校も、あれくらい近かったら楽なんだけどなあ……」
「翔太はやる気が無さすぎよ。高校生になったんだから、もうちょっとシャキっとしなさい。ねえ、クラブはどこに入るか決めたの?」
 亜弥の問いに、翔太はかぶりを振った。
「ううん、まだ決めてない。運動部は性に合わないから入らないと思うけど。亜弥ちゃんはやっぱりテニス部?」
 亜弥は小柄だが運動神経に恵まれ、昨年はテニスの大会で優秀な成績を残した。翔太も応援に駆けつけ、コート内の彼女の勇姿に見とれたものだ。
 当然、高校でもテニス部に入るものと思っていたが、亜弥の答えはまったく予想外のものだった。
「ううん、テニス部には入らないよ。私、高校でテニスをするつもりはないの」
「え、どうして?」翔太は面食らった。「てっきり、亜弥ちゃんはテニスを続けるものだと思ってたよ。だって、あんなに楽しそうにしてたじゃない。何かあったの?」
「うん。実は私ね、赤ちゃんを産もうと思ってるの。だから運動部に入るのはやめとこうかなって」
「ええっ! 亜弥ちゃん、赤ちゃん産むつもりなの?」
 驚きの連続だった。亜弥は子供を産んで親になりたいという。少し早すぎるのではないかと翔太は思ったが、亜弥は彼女らしいはきはきした口調で、今の心境を話してくれた。
「奨学金とか大学受験のこととか考えたら、今のうちに赤ちゃんを産んでおいた方が何かと有利なの。それに、今産んでおけば、高校生の間に二人目の出産にチャレンジできるじゃない。最近は一人産んだだけじゃ推薦には足りないかもしれないって言われてるから、二人産むことも考えておかないと」
「ひええ……もうそんな先のことまで考えてるんだ。すごいなあ。僕たち、今日高校生になったばかりなのに」
 翔太は驚嘆の眼差しで亜弥を見つめた。
 まだあどけなさの残る顔立ちの幼馴染みが、既に母になる決意を固めている。将来を見据えて今のうちから進路の計画を立てている亜弥に、翔太は尊敬の念をいだかずにはいられなかった。
「こういうことは早めに準備しておかないと駄目よ。いざってときに慌てたって、すぐに赤ちゃんを産めるわけじゃないんだから」
「確かにそうだけどさ。でも、どうやって妊娠するつもりなの。やっぱり出産相談所? それとも精子バンク?」
 亜弥は静かに首を横に振った。
「それも考えたんだけど……やっぱり、知らない人の赤ちゃんを産むのはあんまり気が進まないんだ。せっかく産むんだから、この人の赤ちゃんを産みたいって本気で思えるような相手がいいの」
 亜弥は自分が着ているブレザーの腹の辺りを撫でて言う。その何気ない仕草から、翔太は目が離せない。
「そうなんだ……やっぱりそうだよね」
 亜弥の言いたいことは翔太にも理解できた。今日のように学生の出産が奨励され、十代後半の妊婦が珍しくなくなった世の中であっても、子供を産むという行為が大変な労苦を伴うことに変わりはない。
 近年では出産相談所や精子バンクの利用率が高まり、妊娠に意欲的な女性が優秀な男の精子を手軽に入手できる環境も整いつつあるが、いくら才能ある男性の遺伝子であっても、見ず知らずの相手の子種を宿すことに抵抗を感じる女性は少なくないという。亜弥もその一人なのだろう。
 亜弥の口ぶりからすると、彼女には既に意中の相手がいて、その男の子供を産みたいと考えているようだった。
 亜弥は幼馴染みの翔太の目から見ても充分に可愛らしいし、それに思いやりのある娘だから、いくらでも好みの男性を選べるに違いない。
「誰の赤ちゃんを産むのか知らないけど、亜弥ちゃんの子供ならきっと可愛いだろうなあ。応援するよ。頑張ってね」
 翔太は激励の言葉をかけてやったが、亜弥は黙り込んで返事をしない。何やら考え事をしているようだったが、ふと顔を上げて翔太に言った。
「ねえ、翔太。私、あなたにお願いがあるんだけど……」
「え、何?」
「翔太の赤ちゃん、産んでもいい? 私、翔太に孕ませてほしいの」
「ええっ !? ぼ、僕っ !?」
 信じられない申し出だった。明るくて綺麗なこの少女が、まさか翔太の子供を産みたがるとは。
 冗談ではないかと疑ったが、亜弥は今まで見たことがないほど真剣な表情で、「翔太の赤ちゃんを産みたいの。いい?」と、同じ発言をもう一度繰り返した。
「ぼ、僕はいいけど……でも、亜弥ちゃんはそれでいいの? はっきり言って、もっと他にふさわしい男の人がいるんじゃない。無理して僕なんかの赤ちゃんを産むことないと思うんだけど……」
 慌てて確認したが、亜弥は翔太の手をとって、「ううん、翔太がいいの」と強調した。
「さっきも言ったでしょう。どうせ産むんだったら、相性のいい男の人の赤ちゃんを産んであげたいの。だって翔太は私の大切な友達だから……翔太の赤ちゃんを産んであげたいなって、前から思ってたの」
「そ、そうなんだ。僕も嬉しいな。亜弥ちゃんに僕の子供を産んでもらえるなんて……」
 翔太は汗ばんだ手で、亜弥の柔らかい手のひらを握り返した。
 幼い頃、二人で遊びに行って手を繋いだことは幾度となくあったが、今はこうしているだけで動悸が激しくなっていく。血が逆流してしまいそうで、頭がくらくらした。
「よかった。じゃあ、うちに帰ったらご飯を食べて、そのあと種つけしようね。初めてだけど、できるだけ翔太に気に入ってもらえるように頑張るから」
「え、今日いきなりするの? 僕、まだ心の準備ができてないんだけど……」
「だーめ。こういうことは一度決めたら、すぐにやらないといけないの。ほら、善は急げって言うでしょう? 早くうちでセックスしましょうよ」
 と、翔太の制服の袖をぐいぐい引っ張る亜弥。いかにも積極的で行動力のある彼女らしい。
(亜弥ちゃん、本気なんだ。よし、僕も覚悟を決めよう。僕だってこういうときくらい、少しは男らしいところを見せないと)
 せっかく亜弥が自分を選んでくれたのだから、彼女の望み通りにさせてやりたい。翔太は腹をくくると、亜弥に同行して彼女の自宅へと向かった。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

 亜弥と翔太は同じマンションに住んでいる。翔太の家は二階、亜弥の家は五階だ。互いの住まいがごく近いことも、二人が気軽に行き来できる要因の一つだった。
 亜弥の後ろについて彼女の家のドアをくぐると、亜弥の母親が笑顔で翔太を迎えてくれた。
「いらっしゃい、翔太君。今日はうちの子を孕ませてくれるんですって?」
「えっ、どうしてそれを知ってるんですか?」
 翔太が驚いて訊ねると、亜弥の母はくっくっと忍び笑いを漏らして事のいきさつを語った。
「だって亜弥ったら、翔太君にバージンを捧げるのをずっと楽しみにしてたのよ。『高校生になったら翔太に孕ませてもらうんだ』って、最近はもうそればっかり。入学式の今日は、翔太君の首に縄をかけてでもうちに連れてくると思ってたわ」
「お、お母さん! 今、そんなことを言わなくてもいいでしょう !?」
 翔太の隣で、亜弥は顔を真っ赤にして抗議している。
 しかし亜弥の母親は憤慨する娘を尻目に、翔太を席につかせて食事の準備を始めた。
 おそらく、前もって支度していたのだろう。昼食とは思えないほど豪華な食事だ。
「食べ終わったらシャワーを浴びてきなさい。ベッドの用意はしておいたわ。シーツの替えも出してあるから、いくら汚しても構わないわよ」
 まさに至れり尽くせりである。翔太は出された昼食を残らず平らげると、亜弥の母の厚意に甘えてシャワーを浴びることにした。
「翔太、一緒に入ろ。子供の頃みたいに、体の洗いっこしようよ」
「うん、いいよ。じゃあ、一緒に入ろうか」
 心臓が高鳴るのを感じながら、亜弥と脱衣場で向かい合って服を一枚ずつ脱ぎ捨てていく。
 久方ぶりに目にした亜弥の裸体は、思っていた以上に肉づきがよく、体のあちらこちらが女性らしい丸みを帯びていた。服の上からは目立たなかった胸の膨らみでさえ、今は綺麗な半球の形に見える。
(亜弥ちゃん、綺麗だなあ。もう女の子じゃなくて、大人の女の人になりかけなんだね。これから、この綺麗な体の中に僕の精子を注ぎこんで、亜弥ちゃんを孕ませるんだ……)
 幼馴染みの成長を目の当たりにして、翔太は股間が熱くなるのを感じた。
「ちょっと、もう硬くしてるの? やだ、何これ。こんなに大きいなんて……」
 自己主張を始めた翔太の男性器に、亜弥が腰を屈めてまじまじと見入る。亜弥の側も長らく翔太の裸を見ていないので、勃起した翔太の一物の大きさに驚いているようだ。
 身長は亜弥とあまり変わらない小柄な翔太だが、ここのサイズにだけは自信があった。腰を突き出すようにして、雄々しくそり返った陰茎を亜弥に見せつける。
「亜弥ちゃん。僕のチンポ、触ってくれない?」
「う、うん、わかった」
 亜弥は生唾を飲み込んで、指でおずおずと翔太の性器をつまんだ。少女の細い指が表面に触れると、心地よい刺激に幹がぶるぶる痙攣する。早くも先走りの液体が漏れ出し、亜弥の繊細な指先を汚した。
「す、すごい。本当にこんなのが私の中に入るのかしら……」
 表面に血管の浮き出た長大なペニスに、亜弥は恐怖を感じたようだ。指の腹でこわごわと幹を撫で回しながら、その形状をつぶさに観察している。
「ああ、亜弥ちゃん、気持ちいいよ。亜弥ちゃんの手、とっても気持ちいい」
 大好きな幼馴染みの少女に触ってもらっているのだと思うと、翔太の感慨もひとしおだった。股間を中心にして心地よい波紋が体中に広がり、翔太を夢心地にさせる。
「ううっ、もう出ちゃいそうだ。ダメだ、亜弥ちゃん、どいてっ!」
「きゃあっ !?」
 尿道口から熱い液体が噴き出し、亜弥の白い肌にふりかかった。少し触られただけで射精に至った不甲斐なさを翔太は恥じる。
「ご、ごめん。亜弥ちゃんの手が気持ちよすぎて、つい……ホントにごめんね」
 赤面して亜弥に詫びた。
 初めて目にする射精の光景によほど驚いたのか、亜弥はしばらく目を見開いて固まっていたが、自分の太腿に生暖かい粘液がへばりついているのに気づくと、それをおもむろに指ですくって口に運んだ。
「変な味……これが翔太の精液なんだ」
「亜弥ちゃん、そんなのなめたら汚いよ」
「そんなことないよ。これを私のお腹の中に注いで妊娠させるんでしょう? 全然汚くなんてないよ」
 亜弥はきらめくような笑みを浮かべ、翔太の前にひざまずいた。彼のものをいとおしそうに握って顔を寄せる。
 若い肉棒は精を放ってもまったく萎える気配がなかった。
「翔太の匂いがする……すごく臭い。でも嫌いじゃないよ、この匂い。私を孕ませてくれるおチンポの匂い……」
 亜弥はうっとりした様子で翔太の幹に頬擦りする。あどけない少女が見せる淫蕩な仕草に、翔太のものはより一層いきりたつ。
「亜弥ちゃん……よかったらこれ、なめてくれない?」
 翔太はうわずった声で懇願した。
「え、なめるの?」
「うん、亜弥ちゃんにペロペロしてほしいんだ。お願い」
「わかった。やってみる」
 亜弥はこくんとうなずくと、小さな口を開いて舌を伸ばした。
 血の塊のように熱い先端部に、生暖かい粘膜が触れた。背筋がぞくりと震えて、翔太の口から切ない息が漏れ出していった。
「ああ、すごいや。亜弥ちゃんの舌、温かくて気持ちいい。最高だよ」
 亜弥の真っ赤な舌が、自分の陰茎をなめ回している。亀頭に絡みつく幼馴染みの少女の唾液に、翔太は限りない恍惚を覚えた。
「そう? こんなことをするの初めてだから、あんまり自信ないけど」
「ううん、すっごく気持ちいい。それに、とってもエッチでドキドキする」
「もう、やめてよ。何だか恥ずかしくなってきちゃうじゃない」
 亜弥の頬が羞恥に赤く染まる。可愛らしいと翔太は思った。
「ん……ちょっぴりしょっぱいかも。翔太のおチンポの味がする……」
 亜弥は上目づかいに翔太の反応をうかがいながら、彼の弱いところを舌で探り当てようとする。
 翔太は二度目の射精を我慢するのに必死だった。
 かすかに聞こえる唾の音が頭の中に反響して、翔太の忍耐を着実に削りとっていく。
「ごめん、亜弥ちゃん。僕、また出ちゃいそう……」
「出していいよ。今度は私の口の中にちょうだい」
「えっ? あ、亜弥ちゃん、ダメだよっ」
 戸惑う翔太に構わず、亜弥は小さな口をめいっぱい広げて、爆発寸前の肉棒をくわえ込んだ。やはり翔太のものは彼女の口には大きすぎるようで、苦しそうな鼻息が漏れたが、亜弥は無理をして陰茎の半分ほどを口内に納めた。翔太の先端が温かな感触に包まれる。
(亜弥ちゃんが僕のチンポをくわえてる。ああ、このまま口の中に出したい。亜弥ちゃんもいいって言ってるし、構わないよね)
 膨らんだ彼女の頬の内側を、自分の性器がみっちり埋め尽くしているのだと思うと、これ以上なく興奮して、理性や遠慮など、もはやどうでもよくなってしまう。
「ううっ、亜弥ちゃん、出すよ。僕の精子、飲んでっ」
 翔太は彼女の頭を両手で押さえて、尿道口を開け放った。
 腰ががくがく振動して、亜弥の口の中に新鮮な精液を叩きつける。そのあまりの量と勢いに、亜弥は目を剥いて、声にならない悲鳴をあげた。
「ごほっ! げほ、げほっ! ううっ、喉に引っかかって……」
「だ、大丈夫? ごめん。ちょっと調子に乗りすぎたかもしれない」
 脱衣場の床に両手をついて精液を吐き出す彼女の姿に、翔太は我に返る。自分はひどいことをしてしまったのではないかと、罪の意識を抱いた。
「ううん、いいの。飲ませてって言ったのは私だし、翔太は悪くないよ。次は全部飲めるように頑張るから」
「亜弥ちゃん……」
「それにしても、翔太の精液ってすごく濃いんだね。飲むだけで妊娠しちゃいそう」
 亜弥は冗談混じりに言って微笑んだ。長年共に過ごした幼馴染みの少女の唇の端から、とろみのある液体がしたたる。
「亜弥ちゃん、綺麗だよ」
「ふふっ、ありがとう。じゃあ、シャワーを浴びよっか」
 翔太はうなずき、亜弥を連れて浴室に移動する。前戯でべとべとになった体に熱い湯をかけると、身も心も洗われていくようで心地よかった。
 翔太はボディソープを手に取り、亜弥の体の隅々にまで泡を塗りたくった。ほどよく膨らんだ形のいい乳房も、薄い茂みに覆われた秘所も、今は彼女の肉体の全てを翔太の思い通りにできる。思春期の少年らしい好奇心の赴くままに、翔太は亜弥の体中を指と舌とで愛撫した。
「ああんっ、ダメっ。そんなところをいじったらおかしくなっちゃうっ」
 今度は翔太が亜弥を喘がせる番だった。鉤状に曲げた指で亜弥の胎内をかき回し、敏感な少女を絶頂へと追いやった。
「す、すごいっ。こんなに気持ちいいの、初めて……」
 素裸で翔太にすがりついてくる幼馴染みが、どうしようもなく愛らしい。
 翔太は亜弥の顎を持ち上げ、彼女の桜色の唇に自らのを重ねた。亜弥は嫌がらなかった。それどころか、自分から積極的に舌を伸ばして翔太の口内をまさぐってきた。翔太と同じように、亜弥もタガが外れてしまっているようだった。
 今日、高校生になったばかりの二人は、裸で抱き合って情熱的に舌を絡めた。
「そろそろベッドに行こうか。僕、もう我慢できないよ」
「うん、いいよ。ああ、とうとう私、翔太に種つけしてもらうんだ……」
 二人はバスタオルで軽く体を拭くと、亜弥の母親のにやけ笑いに見送られて部屋へと向かった。
 薄桃色の壁に寄り添うようにして、亜弥のベッドが主人を待っていた。
「翔太、来て」
「亜弥ちゃん……んっ、んんっ」
 翔太はベッドの上で仰向けになった亜弥に覆い被さり、再び口づけを交わした。柔らかな唇の感触を味わいながら、右手を少女の股間に差し入れた。指先に蜜が絡む。挿入の準備は既にできているようだ。
 翔太の陰茎は二度の射精を経ても変わらない硬度を保っていた。シャワーを浴びて綺麗にしたばかりのそれを、処女の入口にそっとあてがう。両脚を大きく開いた亜弥の体に、かすかな震えが走った。
「いくよ、亜弥ちゃん」
「うん、お願い……私の初めて、もらって下さい」
 亜弥は潤んだ目で翔太を見つめてくる。嬉しさに若干の不安が混じった少女の視線に促され、翔太は腰を押し出した。
 綺麗なピンク色をした肉の扉をこじ開けて、大きく膨れ上がった肉塊が亜弥の中へと侵入していく。ぬめり気を帯びたひだの奥にかすかな抵抗を感じた。力を込めて強く突くと、亜弥は小さな悲鳴をあげて身を震わせた。
 幼馴染みの処女を奪った瞬間だった。
「入ったよ、亜弥ちゃん。わかる? 僕たち、セックスしてるんだよ」
「う、うん。翔太のおチンポ、すごく硬いよ。それに熱い……ああっ」
 亜弥は苦悶の吐息をついて、破瓜の痛みを噛みしめる。やはり翔太の太いものを受け入れるのは辛いようで、額に玉の形の脂汗が浮かんでいた。
 亜弥の中は予想以上に狭く、強張った膣壁がぎちぎちとペニスを締めつけてやまない。食いちぎられてしまいそうな圧迫感と、火照った肌を触れ合わせる密着感に、翔太は情けない声で喘ぐしかなかった。
「ああっ、あったかい。これが亜弥ちゃんの中……うう、気持ちいいよう。ねえ、動いてもいい?」
「う、うん。いいよ……」
 苦痛に耐えて亜弥はうなずく。翔太はいじらしい彼女の腰をつかんで、ゆっくり己の体を前後させた。
「す、すごい。亜弥ちゃんのおまんこ、ぬるぬるして僕のチンポに絡みついてくるよ」
 腰を引っ張ると、きつく食いしばった肉ひだに雁首が引っかかって、ぞくぞくするような快感をもたらしてくれる。
 翔太は口からよだれを垂らして、初物の女陰を貪った。
 いつかこうなることを夢見ていた。快活で可愛らしい幼馴染みの少女と肌を重ね、彼女の胎内に自らの精子を注ぎ込む日を夢見ていた。
 しかし、それはあくまで空想の話。こうして現実の出来事になろうとは、思ってもいなかった。
「あ、亜弥ちゃんっ。亜弥ちゃん、好きだっ」
「ああっ、翔太、翔太ぁっ」
 翔太が腰を打ちつけると、亜弥も涙を流して彼の体を抱き返してくれる。まだ痛みが収まらないのか、結合部をかき混ぜるたびに顎を反らしてうめき声をあげていたが、それも徐々に慣れてきたようだ。
 少しでも亜弥の痛みを紛らわせようと、翔太は彼女の乳に吸いつく。ふっくらした乳房を口に含んで、先端の突起を舌で転がした。
「いやあっ、吸わないでぇっ。あん、ああんっ」
 上気した亜弥の顔の艶かしさに、翔太のものはますます膨張して、狭い膣内を内側から押し広げる。射精の欲求が一層高まった。気を抜けばすぐにでも出してしまいそうだ。
 翔太はいつ精を放ってもいいように、肉棒をみっちり奥まで押し込んだ。これも亜弥を受精させやすくするための措置だ。
「ああっ、翔太のが奥まで入って……はああっ、ふ、深いっ」
 亜弥は喉から声を絞り出し、身をくねらせて翔太のペニスを堪能した。男を惑わせる淫らな仕草に、翔太も興奮を抑えられない。
「亜弥ちゃん。僕、もう出ちゃうよ。いくよ、亜弥ちゃんっ」
「い、いいよっ。中にちょうだいっ。あっ、あああっ」
「あ、亜弥ちゃんっ。ううっ、で、出るっ」
 体をぐっと折り曲げて、翔太は深く深く亜弥を貫く。女陰を埋め尽くした肉塊が脈動した次の瞬間、濃厚なエキスをぶちまけた。
「ああっ、出てる。いっぱい出てるよう。私、翔太に孕まされちゃう……」
 歓喜の悲鳴が上がった。勢いよく飛び散った翔太の樹液が、まだ誰も汚したことのない亜弥の膣壁に染み込んでいった。
(や、やった。僕、亜弥ちゃんに中出ししてるんだ。大好きな亜弥ちゃんに種つけしてるんだ……)
 天にも昇る心地だった。
 亜弥の中に埋まった肉棒はぴくぴくと痙攣し、今までとは比較にならない量の精液を吐き出している。幾億もの精子の群れが少女に新しい命を授けるため、胎内を突き進んでいた。
「はあ、はあっ。ふうっ、ううん……」
 たっぷり精を放ったあと、ようやく翔太は萎えた一物を亜弥の中から引き抜いた。ぽっかり穴の開いた膣口から、混じりあった二人の体液がこぼれ落ちていく。いやらしくも美しい眺めだった。
「亜弥ちゃん……」
「翔太、ありがとう……」
 若い二人は見つめ合い、静かに唇を重ねた。最愛の女性と交わったのだという事実が、翔太に確固たる自信と達成感をもたらしていた。
「今ので赤ちゃん、できたかな?」
 亜弥のか細い手を握りしめて、翔太は問う。
 自分たちの体は破瓜の血と汗、生殖液にまみれ、見るも無残なありさまだ。
「さあ、どうかしら? そんなに都合よくはいかないかもね」
「やっぱりそうかな。亜弥ちゃんのボテ腹、早く見たいんだけどなあ」
「ふふっ、大丈夫よ。これから私が妊娠するまで、毎日種つけしてもらうから。翔太の赤ちゃん産むって決めたんだから、ちゃんと孕ませてもらうまで頑張らないと」
「亜弥ちゃん……うん、そうだね。僕も頑張るよ」
「翔太、大好き……」
 翔太の腕の中で、亜弥は安らかな笑みを浮かべて目を閉じた。
 緊張して今まで気づかなかった疲労が、翔太の両肩に重くのしかかってくる。翔太は全裸の亜弥を抱きしめると、静かにベッドに倒れ込んだ。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

「翔太、そろそろ起きて! 遅刻しちゃうよ!」
 ベッドの脇で怒声を張りあげる亜弥に、翔太は心地よい朝の眠りから引きずり出された。
「うう、眠い。もっと寝ていたいよう……」
「ダメに決まってるでしょう。翔太が遅刻したら、私まで一緒に先生に怒られるんだからね。巻き添えを食う私のことも少しは考えてよ!」
「はいはい、わかったよ……」
 翔太はしぶしぶ、寝床から這い出て着替えを始める。亜弥は既に支度を終えているようで、先に朝食の席について翔太が来るのを待っていた。
「ホントにもう、最近だらしないんだから。お父さんがそんな風にいい加減だと、この子が可哀想じゃない」
 大きく膨らんだ自分の腹部を撫でながら、亜弥はいつもの説教を始める。
 予定日が近づいてきて、だんだんと精神的な余裕がなくなりつつあるからか、結婚前は翔太に優しくしてくれた亜弥も、最近は非常に口うるさくなってしまった。翔太は完全に尻に敷かれてしまって情けない限りだが、幼い頃からずっと亜弥の言いなりだった彼に、今さら彼女に逆らうことなどできようはずもなかった。
「ごめんなさいね、亜弥ちゃん。こんなぐうたら息子の世話を押しつけちゃって」
 そう言って亜弥に加勢するのは翔太の母だ。気の強い新妻と嫁の味方をする母に挟まれ、翔太はますます肩身が狭い。
「いえ、いいんです。翔太は妻の私が責任をもってしつけますから」
「そうそう、その意気よ。はい、今日のお弁当。もうつわりは大丈夫? 食べられないものがあったら言ってね」
「はい。ありがとうございます、お義母さん」
 嫁と姑は不仲というのが一般的な認識だそうだが、それは絶対に嘘だと翔太は確信している。楽しそうな女二人の会話を聞き流し、ひとりで黙々と飯をかき込んだ。
「それじゃあ、いってきます」
「いってらっしゃい、亜弥ちゃん。翔太は亜弥ちゃんとお腹の赤ちゃんをしっかり守ってあげるのよ。もしも亜弥ちゃんの身に何かあったら、二度とうちの敷居をまたがせないから」
「はいはい……いってきます」
 翔太は両手に二つのカバンをぶら下げ家を出た。その隣に妊婦用のブレザーに身を包んだ亜弥が立つ。高校一年生の初々しい夫婦の間を、冷たい北風が吹き抜けていった。
「ううっ、今日も寒いわね。天気予報じゃ雪は降らないって言ってたけど」
「うん、寒いね。凍えちゃいそうだ。亜弥ちゃんは大丈夫?」
「うん、完全装備だから大丈夫。すっごく動きにくいけど」
 亜弥は笑って自分の格好を指し示した。
 毛糸の帽子と手袋、マフラー、カーディガンなど諸々の衣類で、亜弥の体は通常の数倍に膨らんでいるように思える。そのうえ孕み腹をかかえているのだから、もはや歩くダルマと言っても過言ではなかった。翔太と腕を組んでよたよたと歩く姿がとても微笑ましい。
(亜弥ちゃん……僕の奥さん。僕の赤ちゃんを産んでくれる、大事な女の子……)
 翔太は亜弥にぴったり寄り添い、周囲の通行人に自分たちの睦まじさを見せつけた。
 亜弥が翔太の子供を産みたいと言い出したのは、この春、高校に入学してすぐのことだった。それから学校や自宅で何度も体を重ね、望み通りに翔太は彼女を孕ませた。そして妊娠が判明した日に、彼は亜弥に求婚したのだった。
「亜弥ちゃんが僕の子供を産んでくれるのは嬉しいけれど、ただ一回産んで終わりっていうのは嫌だよ。僕は亜弥ちゃんと一緒になりたい。亜弥ちゃんと一緒になって、何度でも亜弥ちゃんを孕ませたい。亜弥ちゃんに僕以外の男の人の赤ちゃんを産んでほしくないんだ。だから僕と結婚して、亜弥ちゃん。僕の奥さんになって、五人でも十人でも僕の子供を沢山産んでよ」
「翔太……」
 勇気を振り絞った一世一代のプロポーズに、亜弥は涙を流してうなずいた。
 こうして亜弥は翔太の妻となり、生涯彼の子供を産み続けることを誓ったのである。
「いけない。もうあんまり時間がないわよ、翔太。急がないと校門が閉まっちゃう」
 不意に亜弥が発した声に、翔太は現実に引き戻される。時計を見ると始業時間が迫っていた。このままでは夫婦揃って怒られてしまい、クラスの笑いものだ。
 翔太は提げていたカバンを持ち替え、歩きやすいよう肩にかけた。
「そうだね。ちょっと早足で歩くけど、亜弥はついてこれる?」
「うん。大丈夫よ、あなた」
 亜弥は微笑むと、翔太と手を繋いで歩を速めた。翔太は自分の子を体に宿した少女の手を引き、学校へと急ぐ。
 底冷えするような冬の寒さが、いつの間にか気にならなくなっていた。


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